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導入事例記事を書こう

最近、導入事例の依頼が非常に増えてきています。
ビジネス系ライターの仲間うちで話していても、「導入事例、なんか多いよね」とよく話題に上がります。

昨年の冬、私はクリエイターEXPOという展示会に参加しました。
その展示会は、来場された企業の方と商談をする場なのですが、そこでもやはり導入事例についての問い合わせがすごく多くて。
そこから複数の受注に至っています。

また、そのとき名刺交換をした方から、いまだにご連絡をいただくことがあります。(9ヶ月も経っているのに)
そして、その約半分が導入事例についてのお問合せなのです。


なんで今、導入事例がキているのか?

なんで今、導入事例がキているのか? ということについて、勝手に考えてみました。

最近、生成AIすごいじゃないですか。
正直、商売あがったりというか、そのうち仕事がなくなるんじゃないかと心配になるレベルで、進化しつづけている。

こうなると、AIでも作れそうな記事については、高い原稿料を払ってライターに書かせている場合ではなくなってくるのではないかと。

あと、生成AIには書けないような記事を掲載していかなければ、どこも似たり寄ったりな情報ばかりになってしまうのではないかと。

そう考えたとき、導入事例ってどうでしょう。

導入事例というのは、完全なオリジナルコンテンツなんですよ。

導入事例は、「自社のプロダクト」を「クライアント企業」が使って成功した「体験談」。
ほら、オリジナル要素ばっかりじゃないですか。

しかも、プロダクトを導入してくださったお客様にインタビューするのだから、まさかAIに担当させるわけにはいきません。
人が行ってお話を伺って...という形を取らなければ。

もちろん、オンライン取材のこともありますが、インタビュアーがアバターとか、ちょっと考えにくい。

そんなこんなで今、ライターに導入事例の仕事の依頼が増えているのではないかと、私は思っています(あくまで私見)。

ただ、ライターに頼もうと思っても、コネクションがなくてライターが見つからない。
かといって、制作会社さんに依頼すると予算オーバーだから、仕方なく社内で作っている。
そんなケースが結構多いんじゃないかと思います。

そんなこんなで、「潜在的な需要って、意外と大きいのではないか」と踏んでいるわけです(これも私見)。


だから、導入事例を書こう!

ということで、多くのライターさんに「導入事例のお仕事、めっちゃおススメですよ」とお伝えしたい。
かような思いで、この記事をしたためております。

これは、私が仲間想いのイイ人だからという理由ももちろんありますが、「導入事例に対応できるライターが増えたら、企業側の潜在的な需要が表に出てくるんじゃないか」という意図もございます。

導入事例についてお伝えしたいことがたくさんあるので、何記事かのシリーズになると思います。
ご興味のある方は、ぜひ、フォローをお願いします。

ということで、ここからようやく本題に入っていきます。
前置き長くてごめんなさい。


導入事例って一体ナニ?

先日、あるライターコミュニティの勉強会に登壇し、導入事例についてお話ししました。
(オンラインでも登壇っていうのかしら。。ま、いっか)

そうしたら、「導入事例って、初めて聞きました。そんなお仕事があるんですね」という方が、チラホラいらっしゃったんです。

ビジネス系の執筆をしている人なら、導入事例という言葉はよく聞くと思います。
でも、そうでなければ、たしかにあまり耳にしない言葉かもしれません。

ということで、導入事例とは一体何なのか、というところから説明していきます。


企業のメディアに掲載される「お客様の声」

導入事例というのは、企業のメディアに掲載される、いわゆる「お客様の声」です。
このお客様の声は、購入を検討している人の背中を押します。

ベンダー(販売業者)がいくらいいこと言ったって「そりゃあ、売りたいからでしょう」と思われてしまいます。
しかし、実際のユーザーからの声であれば、ベンダーの主張よりずっと信頼できる

だから、お客様の声を集めて公開することは、さまざまな商材にとって有効なマーケティング施策となるのです。


BtoB向けがメイン

導入事例を作成するのは、基本的にBtoB(Business to Business)の商品です。
つまり、販売側も顧客もビジネスをしている企業であることがほとんど。

これが、化粧品や洗剤みたいなBtoC(Business to Consumer)商品なら、「お客様の声」は口コミやレビューとして気軽に書き込んでもらえます。

しかしBtoBの場合、お客様も企業です。
自主的に商品の口コミなど書いてくれません。
レビューを書くメリットがなければ、モチベーションもない。

だから、取材で聞き出していく必要があるわけです。


導入事例の掲載先

掲載される先は主に企業のオウンドメディアです。
その他、ホワイトペーパーや商品カタログなどにも使用されます。

基本的にはWebに掲載されるパターンが多いですが、紙のチラシや冊子に掲載されることもあります。
紙の場合、デザインによって文字数の制限がかかってくるので、書くときにちょっとした工夫が必要です。

最近、紙媒体の導入事例のご依頼も増えてきました。
以前はほとんどがオウンドメディアだったんですけれど。
たまたまなのか、そういう流れになってきているのかは分かりませんが。

なお、導入事例のご依頼主は、スタートアップから大企業まで、さまざまです。


導入事例はバリエーションが大事

ベンダーとしては、たくさんの記事を掲載したいというところがあります。

なぜかというと、たくさんの記事を掲載することによって、導入実績がたくさんあることを示せるから。

あと、掲載した導入事例が大企業や有名企業だった場合、「こんなすごい企業と取引があるのか」というところから、信頼感アップにつながります。

また、異なる業界の顧客や、使っているサービスのバリエーションなど、多様な事例を掲載することによって、さまざまな業種業態のさまざまな課題が解決できることがアピールできます。

だから、バリエーション豊富に記事を掲載したい

ということは、ライターからすると、継続案件に繋がりやすいというメリットがあるわけです。


導入事例の目的

導入事例の目的は、ざっくり言えば、導入事例を読んで「この商品いいな」と思ってもらうことです。
さすがにこれだとざっくりしすぎているので、もう少し掘り下げて見ていきましょう。


潜在顧客の購買意欲を高める

導入事例の一番の目的は、「潜在顧客の購買意欲を高める」ことです。

これが、BtoC の、例えばシャンプーとかであれば、口コミを見て「なんかよさそうだから買っちゃおうかな」と即購入することもあると思います。
しかし BtoB の場合、そんなことはまず起こりません。

BtoB商材には、単価が高かったり、社内に浸透させるのに手間がかかったりするものも多く、なかなかカジュアルに「買っちゃおう」とはならない。
さまざまステップを踏みながら、購入のプロセスを進んでいく...というところがあります。

そのプロセスを進んでもらうための助けの一つになるのが、導入事例なのです。

「潜在顧客の購買意欲を高める」ことが一番の目的だと言いましたが、どの潜在顧客に向けて書くのかを知ることが、大事なポイントです。

BtoB と BtoC との一番の違いは、購入を検討する人と、決裁権を持っている人と、実際に使う人が異なるという点です。

なので、導入事例を書く際には、どの立場の人に購買意欲を高めてほしいのかを、クライアントに確認しておくことが大切です。
導入事例に限らず、記事を書く際には「読者ターゲット」を確認しますよね。それと同じです。

この記事では、誰のハートを掴みたいのか。
それによって、取材で聞くこと、原稿に書く内容や表現が自ずと変わってきます。


読者のアクションを促す

「導入事例記事を読んだあと、読者にこんなアクションを起こしてほしい」と明確な狙いが存在することもあります。
その「狙い」とは、メルマガの登録であったり、ホワイトペーパーのダウンロードであったり。

もちろん、導入事例の記事一つでそんなアクションを起こしてもらえる確率は、そう高くありません。
それでも、ゴールとなるアクションを知っておくことは、ライターにとっても大切です。

読者ターゲットと同じように、狙っているアクションによっても記事の書き方や結び方が変わってくるはず。
少しでも狙ったアクションを起こしてもらう確率が高まるような記事を書きたいものですね。


製品・サービスの”具体的”な価値を示す

導入事例の取材では、「実際に使ってみてどうだったか」というリアルな話を聞くことができます。

これは、カタログには書いていない部分です。

スペックがどうのということではなく、具体的なシチュエーション。
それが業界特有の困ったシチュエーションだったりすると、すごくイイ

業界の困った「あるある話」を書くことができると、「そういえば、うちにもそんなことがあったな」と共感を呼び、関心が高まります。


潜在的な課題に気付かせることができたら、サイコー!

BtoB でよくあるのが、見込み客が自社の課題に気づいていないこと。

すごく効率の悪いことをしているのに、それで何とか回っているから、課題に気づけない。
「長年これでやってきたし、特に問題ないよね」という感じでしょうか。

「うちの商品を使ってもらったら、もっともっと楽になるのに...」と、もどかしい思いをしているベンダーさん、多いことでしょう。

「え、今はそんな便利なものがあるの?」
「もしかしてうちって、すごい無駄なことしてる?」
と、導入事例で課題に気づかせてあげられると、サイコー!

この潜在的な課題に気付かせるというのは、実は、私が導入事例記事を書く際の裏ミッションです。



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