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今週のおすすめ本 vol.13
店舗とオンラインストアで取り扱っている本から、おすすめのタイトルを紹介するマガジン「今週のおすすめ本」。
今回取り上げるのは、小原晩『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』です。
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2022年3月に刊行されたこのZINEが、現在改めて注目を集めています。
きっかけは、お笑い番組のプロデューサーで知られる佐久間宣行さんの「NOBROCK TV」というYouTubeチャンネルで4月20日に投稿された動画「ダウ90000蓮見 嫉妬した芸人&クリエイターベスト10!」にてこの本が紹介されていたこと。
動画の8分頃から、ダウ90000の蓮見さんが『唐揚げ弁当』の魅力について語っています。
『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』はZINE、リトルプレスと呼ばれる出版物で、大きな出版社から刊行される一般書籍とは違い、個人や小規模のグループが、自分で手売りしたり、販売店と直接取り引きをして流通しているものです。そういった理由から、うちのような個人書店が販路の中心となっており、動画公開後にはそのときあった在庫は即完売。追加注文分も入荷後すぐに売り切れる状態がしばらく続いていました。
現在はある程度落ち着いて、しっかり在庫も確保できています。一時的に在庫切れになっても再入荷しますので、急いで注文しなくても大丈夫。必ず手に入ります。
どんな本なのか?
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高校卒業後に就職のため上京し、会社の寮で生活するようになってからのことを自ら綴ったエッセイ本。文庫判の95ページとコンパクトなサイズで、すっと読めてしまうのですが、東京生活のエピソードの数々がどれも印象的で、繰り返し読みたくなる。大きな事件が起きたりするわけではないのですが、小原さんの日常のちょっとした悲喜交交が感じられて、じんわりと心に残る一冊です。
何と言っても気になるのが、『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』というタイトル。装画にも唐揚げ弁当が入っているであろうビニール袋を抱えた人物が描かれていますが、タイトルの謎については、最初のエピソードでしっかりと回収してくれます。500字ほどの短い文章なのですが、クスリときたりちょっとドキドキしてしまったりで、一気に作品の世界に引き込まれます。
自分、古参アピいいすか?
『唐揚げ弁当』の初版は2022年3月。2年以上前の本です。
この本が出た頃、ちょうど店舗をオープンするための準備をしていました。それまではオンラインで古本のみを販売していたのですが、店舗を開くタイミングで、新刊本やZINE、リトルプレスの取り扱いも始めるべく、情報を集めたり、実際に発注をしていたのです。『唐揚げ弁当』はそんな時期に出会ったZINEで、個人的にも思い出深い一冊。今こうして改めて多くの人のもとに届けられることを嬉しく思っています。
ちょっとその頃のことをくわしく思い出してみようと、メールなどの履歴をたどってみましたが、2022年の4月に小原さんがうちのオンラインストアの問い合わせフォームから連絡をくれたのが、取り扱いを始めることになったきっかけだったようです。
『唐揚げ弁当』は発売当初から話題になっていて、SNSのタイムラインですでに何度か目にして気になっていたので、すぐに返事を送って、取り扱いを始めさせてもらうことになりました。店舗がオープンする前からイベント出店に持ち込んだりもして、オープン後も常に棚の一角でお客さんに手に取ってもらい続けている、うちにとっては安心と信頼の『唐揚げ弁当』なのです。
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オープン2ヶ月前、2022年5月のイベント出店時。中央に『唐揚げ弁当』あり取り扱いを始めるときに送ってもらったのは、三刷目のようでした。発売1ヶ月後くらいの時期だったはずですが、すでに二刷まで完売していたようです。
ということで、「最古参」はさすがに名乗れませんが、ちょっとした『唐揚げ弁当』古参勢だということを自慢させて下さい。
ちなみに現在十八刷。昨年は商業出版デビューもされて、大変活躍されている様子を後方腕組みで見守っています。
うちだけでもすごい売れてました
2年前の4月に最初に5冊注文して、すぐに売れたので10冊追加をして、その後も定期的に注文し続けている『唐揚げ弁当』。最近は「一冊!取引所」という書店用のプラットフォームを使って注文しているので、メールでのやりとりはしていないのですが、ちょっとメッセージを添えたりなどはしつつ、毎回小原さんから直接『唐揚げ弁当』を送ってもらっています。
今までどれくらい注文してきたか、メールと「一冊!取引所」の履歴を辿ってみたのですが、見落としがなければ、これまでに130冊注文していたようです。今では販路も広がって、これよりもはるかに多くの冊数を売っている書店さんはいくつもあると思いますが、うちのような小規模な個人書店では破格のヒット作。ありがとう『唐揚げ弁当』。これからもよろしく。
ちなみに、2023年9月に大和書房から刊行された、商業出版デビュー作『これが生活なのかしらん』も合わせて取り扱いしています。
こちらもYouTubeがきっかけで人気が再燃していて、この記事を公開する時点で品切れになってしまっているのですが、近日中に再入荷予定です。
今回はここまで。
取り上げた本は、店頭、オンラインストアで販売しています。在庫数は限られているため、売り切れの際はご容赦ください。
本の取り置きや、在庫がない本の取り寄せも承りますので、お気軽にお申し付けください。それではまた次回。