内藤コレクション 写本 ― いとも優雅なる中世の小宇宙③
内藤コレクション 写本 ― いとも優雅なる中世の小宇宙②の続き
関連動画で、内藤コレクションを模写する工程には、色々と驚きがありました。
最初の工程から驚きだったのが、写本に紙を使っていないのです。
私はてっきり紙に写すものだと思い込んでいました。
むしろ、そう思っていたことを意識しないくらい当たり前に紙だと思っていました。
ところが、紙だと思っていたものは、獣皮紙と呼ばれるもので、羊や仔牛などの動物の皮を薄く加工して作ったものを紙として使用していました。
その後も罫線を引き、羽根ペンで筆写、装飾…
職人技のような手間暇かけた工程を経て完成するのです。
展示室で見た作品の一つ一つは、保管状態が非常によくて、ほとんど傷んでいませんでした。
絵画のようなひび割れはなく、金の輝きも残っていました。
そこには絵画とは違う、写本のよさがありました。