【読書メモ】『コテージのビッグ・ウェンズデー 半芸術編』
1月。誠光社で買う。堀部篤史さんの作る本はどれも独特の佇まいがあっていつも気になっていたのだけれど読み物を読むのはこれが初めて。
取材のときに感じたことは堀部篤史さんという人はやりたいことをした結果として本屋をやっているということで、「本屋として……」みたいなことを全く言わなかったということだった。
そこが本屋好きとしては面白いところだったけれども本文は本についての話だからここは端折るとして、書きたいことは堀部さんのやりたいことである。
仰っていたのは「自分がいままで摂取してきた音楽や映画、本といったカルチャーのつながりを提示したい(大意)」ということだった。
それを聴いて内心ドキドキする僕。あれ? もしかしてこれって僕が尊敬するというか大ファンの吟遊詩人・小林大吾さんが"至近距離の人"と呼ぶ方が開いた古書店「アルスクモノイ」と同じことを言っているんじゃないか!?(東京新聞連載BOOKS2019年11月の記事参照)
というわけで、そんな堀部篤史さんが話したイベントをまとめたものは買わざるを得ない! となり買った次第なのである。
前置きが長くなったが本書について。
本書は恵文社一乗寺店時代の堀部篤史さんが開催していた連続イベント「コテージのビッグウェンズデー」の一部をまとめたものだ。アンディーウォーホルと赤瀬川原平を中心に半芸術、バッドテイスト、反芸術あたりのことを時代とともに語られているわけだけども、その知識の幅と深さに圧倒されつつ話し言葉なのでスンナリと頭に入ってくるこの感じ。日常に塗れて狭くなりつつあった自分の視野が開かれるような。読んでいてそんな感覚があった。
アンディーウォーホルと赤瀬川原平も表面的にしか知らないけれど、キャンベル缶とか千円札裁判とかその時代の空気感みたいなものには興味があって、それってインターネットとその考え方ががようやく浸透しつつある今の社会の混乱みたいな状況に通じるものがあるんじゃないかと思っていて。現在と未来に興味がある(って当たり前だけども)僕にとってはここで紹介された本や映画や音楽について一度摂取してみるのもいいかもしれないと思った。