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レティシア書房店長日誌「和田誠展」

駅美術館で開催中の「和田誠展」に行ってきました。開店と同時に入ったのですが、もう大勢のお客様で一杯でした。
特に観たかったのが、かつて新宿にあった「日活名画座」で22歳から30歳の頃の若き日に彼が描いていた映画のポスターでした。。1959年から1968年までの9年の間、彼は無償で制作していました。
日活名画座のポスターは和田誠初期の活動を紹介するうえで、欠かせない重要な作品です。粟津潔や杉浦康平など、グラフィックデザイナーに活用されていたシルクスクリーンの工房サイトウプロセスからの依頼によって、月に2枚程度制作されていました。
その映画の特徴あるシーン、あるいは主演の俳優の顔を独特のタッチで描いてあって、映画ファンなら、何の映画かすぐにわかるのです。何点か会場にあったので大いに堪能しました。
ちなみに当店の名前の「レティシア」は、フランス映画「冒険者たち」のヒロインの名前から取っていますが、そのポスターも和田でした。
当店には、「和田誠日活名画座ポスター集」(4500円)を販売しています。本書は和田誠事務所に保管されていた185点の幻のポスターをまとめたものです。シルクスクリーンのヴィヴィッドな色合いや、大胆な構図は今でも、新鮮でスタイリッシュです。

僕にとって、彼は映画への憧れを増幅させた作家であると共に、音楽の魅力を教えてくれた人でもありました。およそ、今までに出された音楽紹介本で、村上春樹と組んだ全2冊の「ポートレイト・イン・ジャズ」(古書各巻2000円)ほど、音楽が聞こえてくる本はありませんでした。これから、ジャズを聞こうと思う方は、まずはこの本を買われることをお勧めします。会場にはジャズミュージシャンをイラストや、レコードジャケットも飾られています。お見逃しなく。


彼は数多くの絵本も手がけています。その中でも、最も愛すべき一冊は
「ねこのシジミ」(古書1200円)でしょう。毎日、幸せな日々を送っているシジミの姿がとてもキュートに描かれた絵本です。その原画が展示されていました。もし、この会場から1枚持って帰っていいのであれば、間違いなくこのこの原画です。観ているだけで、とても幸せな気分にしてくれます。
いや、正確に書けば、もう一枚どうしても欲しいと思ったのがタモリ主演の映画「キッド・ナップ・ブルース」です。写真家の浅井慎平が演出をした作品です。映画の中身より、このほのぼのとしたポスターこそ魅力的です。

会場を何度も、あっちへウロウロ、こっちへウロウロと徘徊し続けました。ウキウキ、ワクワクさせてくれる和田作品は、やはり面白い!もう一度見たい!という思いでいっぱいでした。
展示会は「えき美術館」で18日(日)までです。

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