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レティシア書房店長日誌

きくちちき「ゆきのゆきちゃん」

 「やまねこのおはなし」「ぼくだよぼくだよ」などで人気の絵本作家、きくちちきの新刊「ゆきのゆきちゃん」(2750円)がミシマ社から出ました。

「あ ゆき わたしと おなじ なまえ なんでかな」

と、猫のゆきちゃんが雪降る外へ飛び出します。そして、森の動物たちと出会います。

「こんにちわ りす わたし ゆきちゃん ゆきと おなじ なまえなの
 なんでか しってる?」

 その問答を繰り返しながら、ゆきちゃんと森に生きる動物たちが次々と仲良くなってゆく様子が、ダイナミックな線で描かれていきます。今にもゆきちゃんがページから飛び出しそうな勢いで、跳ねまわっている楽しい絵本です。出会った動物たちみんなの体に雪が降り積もったカットがあるのですが、なんかとても嬉しくなってきます。初回分だけ、著者書き下ろしのクリスマスカードが付いています。お早めに!

 本書は冬のプレゼントに最適な一冊ですが、同じく猫本なら、町田尚子の絵本もグッドです。現在三冊置いています。どの猫もなかなかにしぶとい顔つきです。最新作「どすこいミーちゃんパンやさん」は、シコを踏みながらパンを焼くパン屋のミーちゃんが主人公です。いつもブスッとしているのですが、とても美味しそうなパンを作ってくれます。パンとネコとスモウのコラボ。猫派でない人にも、ニンマリしてもらえると思いますし、パン好きな方や相撲ファンの方へも。

町田尚子猫絵本傑作です!

 もうちょっと大人向けなら、次の三冊はいかがでしょう。ヨーロッパ映画のワンカットを見ているような雰囲気のみやこしあきこ「夜のかえりみち」(新刊1430円)。動物たちが人間のように生活している町の、ある夜の情景を切り取った作品です。何度も読み返していると「平和」という言葉が浮かんできます。これこそが平和な町なのです。
 ラスカル&ルイ・ジョスコンビによる「オレゴンの旅」(古書1250円)。サーカスにいたクマさんが、自分の森へと帰ってゆく物語で、同行するピエロのおじさんとのロードムービー風の展開が心に沁みる絵本です。
もう一冊は、イタリアの文学作家イタロ・カルヴィーノが昔話を再録した「梨の子ペリーナ」(新刊1760円)で、幻想的な物語を酒井駒子が見事な絵にしています。彼女の絵本を集めている人は多いと思いますが、オススメです。
 まだまだ、素敵な絵本が入荷中です。大切な方へのプレゼントにぴったりの一冊を探してみてください。

オススメの三冊


●レティシア書房ギャラリー案内
11/29(水)〜 12/10(日)「中村ちとせ銅版画展」
12/13(水)〜 24(日)「加藤ますみZUS作品展」(フェルト)
12/26(火)〜 1/7(日)「平山奈美作品展」(木版画)

●年始年末営業案内
年内は28日(木)まで *なお26日(火)は営業いたします。
年始は1月5日(金)より通常営業いたします

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