見出し画像

レティシア書房店長日誌

永岡綾 編著「ぼうけん図書館 エルマーとゆく100冊の冒険」
 2023年夏、東京で開催された「エルマーのぼうけん」展の中で、冒険にまつわる本を何百冊と集めた「ぼうけん図書館」ができました。
 「冒険にまつわる本を何百冊と集めた空間で、小説、童話、絵本、図鑑、旅行記、写真集……..さまざまなジャンルの本が並びました。体を動かす冒険、頭で考える冒険、荒野の冒険、異界の冒険…….さまざまな冒険がありました。それらの本を眺めていると、いついかなる時代も人々を駆り立ててきた『冒険』というものの不可思議な力、その熱さと切実さを思わずにはいられませんでした。
 

この『ぼうけん図書館』から着想を得て生まれたのが、本書『ぼうけん図書館』です。エルマーと一緒に楽しめそうな絵本や童話から100の冒険物語を選び、紹介しています。」と著者は本書の解説を書いています。
 10章に分かれて、「ぼうけんは、すぐそこに」「ぼうけんは、あこがれ」等のインデックスがつけられて、それに相応しい作品が並んでいます。「ぼうけんは、おもいやり」という章では、私も大好きな「オレゴンの旅」(ラスカル・文/ルイ・ジョス・絵)が紹介されています。道化師のデュークが、同じサーカス団にいたクマのオレゴンを大きな森に返してやるために、アメリカ大陸を旅する物語です。オレゴンとの約束を果たしたデュークは、今度は自分のために旅に出る決心をするのです。まるで、ゴッホの絵の様な真っ黄色のとうもろこし畑を歩く二人が特に印象に残ります。(店頭にあります 古書1250円)
 「ぼうけんは、うつくしい」ではnakabanさんの「ダーナラのひ」が紹介されています。これもとても素敵な本で、「ぼうけん図書館」の永岡さんは、長い旅の途上にあるダーナラが海辺で焚き火をするところをこう書いています。「火は、魔法のようです。じっと見つめているだけで、わたしたちの魂をぬくめ、奥深くに沈殿している記憶を照らし、再び立ち上がる力を与えてくれます。」ダーナラは「もう、行かなくちゃ」と腰をあげ、旅を続けます。と、こんな風に書いてゆくときりがありません。
 なので、最後に一つだけ。第10章「ぼうけんは、たのしくなくちゃ」では、ヒグチユウコの「せかいいちのねこ」が登場します。あれも冒険もんだったかな?
 「なりたい自分になかなかなれない。そのやるせなさ、痛いほどわかりますよね。でも、やるせないからこそ、ニャンコは底抜けにやさしいんです。だからきっと、大丈夫!ニャンコらしさが、ニャンコ自身の冒険を、うれしい方へ、あったかい方へといざないます。」こういう編者の解説が、どれも優しくて、絵本の紹介にはぴったりです。本書の最後に紹介されるのは、もちろん「エルマーのぼうけん」シリーズです!

●レティシア書房ギャラリー案内
6/5(水)〜6/16(日)村瀬進「植物から、本から」出版記念原画展
6/19(水)〜6/30(日)書籍「草花の便り」出版記念原画展 西山裕子

⭐️入荷ご案内
きくちゆみこ「だめをだいじょうぶにしてゆく日々だよ」(2090円)
森田真生「センス・オブ・ワンダー」(1980円)
友田とん「パリのガイドブックで東京の町を闊歩する3 先人は遅れてくる」(1870円/著者サイン入り!)
川上幸之介「パンクの系譜学」(2860円)
町田康「くるぶし」(2860円円)
Kai「Kaiのチャクラケアブック」(8800円)
安西水丸「1フランの月」(2530円)
早乙女ぐりこ「速く、ぐりこ!もっと速く!」(1980円)
つげ義春「つげ義春が語る旅と隠遁」(2530円)
山本英子「キミは文学を知らない」(2200円)
たやさないvol.4「恥ずかしげもなく、野心を語る」(1100円)
花田菜々子「モヤ対談」(1870円)
子鹿&紫都香「キッチンドランカーの本」(660円)
夏森かぶと「本と抵抗」(660円)
加藤和彦「あの素晴らしい日々」(3300円)
Troublemakers (3600円)
若林理砂「謎の症状」(1980円)
「たやさないvol.4」(1100円)
「26歳計画」(再入荷2200円)
宇田智子「すこし広くなった」(1980円)
おぼけん「新百姓宣言」(1100円)
仕事文脈vol.24「反戦と仕事」(1100円)
降矢聰+吉田夏生編「ウィメンズ・ムービー・ブレックファスト
(2530円)


いいなと思ったら応援しよう!