レティシア書房店長日誌
みうらじゅん「みうらじゅんFes」
京都駅近くの「えき美術館」で開催中の「みうらじゅんFes」に行ってまいりました。呆れかえるやら、驚くやら、爆笑するやら、刺激的で心ウキウキの展覧会でした。
「『みうらじゅんFES』とは、何であるか?』
しかも、このフェスはツアー。
ロックバンドの体テイで各地を回っているのは、僕がこれまでに集めてきた品と、創作物。数えたこともないし、数える気もないが、膨大な数のメンバー(もちろんツアー中にその数は増え続けている)が、“キープオン・ロケンロール!”または、“ループオン!”
みなさまに「ようこんだけ集めたはるわ」とか「ようこんだけ描かはったなァー」と、呆れて貰うためのツアーである。
当然、それらは世の価値観では計り知れない無駄な熱量と物量。
ただ呆れただけでは帰しませんよ。
“人の一生って何なんだろう?”
そんな深いことをお考えになっても構いませんよ。
百聞は一見にしかり!この機会に是非、『みうらじゅんFES in京都』に参加して下さいね。」
とのこと。おっしゃる通り「ようこんだけ集めたはるわ」「ようこんだけ描かはったなァー」の言葉以外見つかりません。例えば、旅行会社の店先やら新聞によく入っている「カニツアー」の赤いチラシを集めたり、「水道工事いつでも受け付けます」みたいな宣伝で電話番号が印刷された磁石ステッカーを山ほど集めて、冷蔵庫に貼りまくって作品にしたもの等々、見捨ててしまいそうなものをよくもこれだけ集めた!と感動します。感性にググッときたら、執拗に、長い間、集めに集めるその情熱。
あるいは、般若心経に書かれた文字の入っている看板や標識を写真で撮影し、写真版般若心経を製作したりとか、どういう脳細胞が詰まってんねん?と本人にお聞きしたくなりました。
数十年前になりますが、私は京都市内の輸入盤やインディーズレコードの店に勤務していました。その店では若いミュージシャンたちが、自分で作った音源をよく持ち込んできていました。ある日店のスタッフが「店長、大島渚が来られてます」と伝えてきました。なんで映画監督の大島渚が来るのん?とは思いましたが、あの頃の店には浅田彰や、京大系の若手研究者の卵がちょくちょく来店していたので驚きませんでした。が、そこには「大島渚」というバンド名のカセット(だったと思います)を持った青年が一人。どうやら、彼のバンド名みたいでした。こんなん勝手に出していいの?と聞くと、いいんじゃないすか、とノホホンとしたお答え。若い日のみうらじゅんさんでした。(大昔の出来事ゆえ、細かい記憶が極めて怪しいけど)
イラストレーターからスタートして、様々なジャンルの本を執筆。いとうせいこうとの共著「見仏記」、宮藤官九郎との共著「どうして人はキスをしたくなるんだろう」、彼が尊敬する松本清張について論じた「清張地獄八景」、彼自身の青春時代を描いた小説「色即ぜねれいしょん」、辛酸 なめ子との共著「ヌー道 nude じゅんとなめ子のハダカ芸術入門」、自分探しのバカバカしさを軽妙なタッチで描いた「自分無くしの旅」。そして、小さい時から好きだった仏教を論じた「マイ仏教」と数多くの著書を読み、深夜TVで放映していた抱腹絶倒の洋楽紹介番組「笑う洋楽」まで、長きに渡るファンです。
展示会場を回りながら、今まで読んだ本のことを思い出しました。馬鹿げていること、無意味なことにここまで情熱を傾けることができる人の才能と熱量を体験してみてください。(25日まで)
●レティシア書房ギャラリー案内
8/21(水)〜9/1(日) 「わたしの好きな色」やまなかさおり絵本展
9/4(水)〜9/15(日) 中村ちとせ 銅版画展
9/18(水)〜9/29(日) 飯沢耕太郎「トリロジー冬/夏/春」刊行記念展
⭐️入荷ご案内
子鹿&紫都香「キッチンドランカーの本2」(660円)
些末事研究vol.9-結婚とは何だろうか」(700円)
夕暮宇宙船「小さき者たちへ」(1100円)
「超個人的時間紀行」(1650円)
柏原萌&村田菜穂「存在している 書肆室編」(1430円)
稲垣えみ子&大原扁理「シン・ファイヤー」(2200円)
くぼやまさとる「ジマンネの木」(1980円)
おしどり浴場組合「銭湯生活no.3」(1100円)
岡真理・小山哲・藤原辰史「パレスチナのこと」(1980円)
GAZETTE4「ひとり」(誠光社/特典付き)1980円
スズキナオ「家から5分の旅館に泊まる」(サイン入り)2090円
向坂くじら「犬ではないと言われた犬」(1760円)
「京都町中中華倶楽部 壬生ダンジョン編」(825円)
坂口恭平「その日暮らし」(ステッカー付き/ 1760円)
「てくり33号ー奏の街にて」(770円)
「アルテリ18号」(1320円)
「オフショア4号」(1980円)
「うみかじ9号」(フリーペーパー)