地獄行きオクトーバー (6/10)
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十月七日。裏路地。
その日もお姉といっしょに深夜までぶらぶらしていると、シルクハットの英国紳士が待ち構えていた。月明かりの下、ナイフをべろんと舐めている。
「キッヒヒヒ……。今晩は、お嬢さんがた。私は魔人ジャック・ザ・リッパー。貴女たちをズタズタに切り裂きたいんですが、いいですよねェ?」
ジャック・ザ・リッパー! かつてロンドンを震撼させた伝説の殺人鬼だ。わたしは不謹慎にもちょっと興奮した。
「いいわけないでしょボケ。裂くのはあたしの服だけにしとき