【人のためが分からなくなったときの1選】
タイトル
思いがけず利他
著者
中島岳志
思い遣って行動したはずが、あまり感謝されずに更には迷惑がられてしまう。なぜそうなってしまうのかの構造がよく分かる一冊です。
「人のために」の中に込められた胡散臭さ。その正体が分かります。
誰かが人の行動に感謝するとき、案外行動した本人はその出来事を忘れていたりしますね。それはなぜかというと「意図していないから」。
この意図せずに利他的行動をとってしまう例として、作者は落語の「文七元結」を例に挙げ解説しています。
利他とは、やろう!と決意してするものではなく、オートマチックに起こるものだと言います。たしかに、「あなたの為を思って」の中には、自己中心的な、支配的な感情が見え隠れします。利他とは、知らず知らずのうちに種を蒔き、時間の経過とともに発動するものです。
この本から得たことは、一人ひとりが自分の人生を楽しく全力で生きることにより、知らないうちに利他的行動の種がまかれている、という事でした。
これは、ニーチェのツァラトゥストラでも言われている事と同じです。
自己を肯定し、自分の人生を全力で全うすることはあらゆる哲学や宗教でも言われており、かなり心理に近い事なのではないでしょうか。
自分本位の人間が集まる世界という意味ではなく、自分を楽しんでいる人間の集まりになれば、オートマチックに利他的で幸せな世界が広がるように思えました。
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