散歩道 鎌倉文学館
午前中、お姫様をかーちゃんに預け、妻と歩いて鎌倉文学館(旧前田邸)へ。
9時過ぎの外は曇り空で少し寒い。
片道30分〜40分ほど歩き、到着。
子どもの頃以来の来館。
大正ロマン漂う立派な三階建ての洋館です。
僕は長い坂道を妻と歩きながら、ロールスロイスの後部座席で自宅の洋館へ向かうのを想像しながら歩きます。
稲村ヶ崎から徒歩で来るわけがない。
ちゃんと帽子を被った60代のお抱え運転手が運転しているのです。
英国紳士のようなテーラーで仕立てた控えめなデザインのスーツに身を包んで運転手としての誇り、いや、紳士としての誇りを感じさせています。
白髪混じりの髪は短く刈り込まれ、端正な顔つきと優しい目が帽子からのぞいています。
白い手袋が彼の手にぴったりとはめられ、優雅にハンドルを軽く握っています。
運転手には身分違いの華族の美しい恋人がいました。美しい少年少女の純愛と言っていい恋愛をしていましたが、実らず、彼は独身を貫く男です。
僕の隣には愛するシモーヌが座っています。彼女はじっと車の窓から洋館の自宅に着くのを安堵したかのように眺めています。
話がそれました。
ひとり300円の見学料を払わなければなりません。
右手でポケットを探って僕はキチンと100円玉が6枚ある事に感動すら覚えたものです。
川端康成の雪国、太宰治の人間失格や芥川龍之介などの日本を代表するかつての大文豪たちの直筆の原稿を見て妻は感動。
「字が凄い!日本語だ」
そりゃそうだ。
恐らく、達筆だと言いたかったのでしょう。
眺めていると、数寄屋造りの純日本家屋の一室で、畳の上の座椅子にあぐらをかきながら座り、それらの原稿を書く彼らの姿がぼんやりと脳裏に浮かびます。
川端康成と三島由紀夫が並びながら芥川賞の選考をしている写真も、文学館で販売されている本の見本で眺めたり。
世界の川端と三島が芥川賞選考委員ですよ?
そこには、痩せた神経質そうなおじいちゃんと少しエキセントリックスーパースター感漂う2人の姿が映っていました。
ステンレス製のステンドグラスのような栞🔖を二人でお土産に買い、文豪おみくじなるものを頂いたり。
僕は与謝野晶子、妻は萩原朔太郎を引きましたので、読んであげると、みだれ髪の与謝野晶子が欲しかったと目で訴えながら無言の圧力をかけてくるシモーヌ。
僕も本当はそちらを気に入っておりましたが、交換。
洋館を出ると、僕らのロールスロイスも英国紳士風のいぶし銀のような60代の運転手も見当たりません。
渋々歩くことにしました。
大正〜昭和初期ロマンをご満悦していただいた後、某所でチーズピロシキを仲良く食べて焼きそば片手に現実へ帰還。
🔖
やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君
与謝野晶子 歌集「みだれ髪」明治34年より
🔖
われ君を恋す恋しき心より
君を思へば胸ただ火なり
萩原朔太郎 詩歌集「ソライロノハナ」大正2年より
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