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大江健三郎さんを偲んで
憲法記念日、大江さんの短編や松浦司教さまの平和についてのご本を読んで過ごした。
僕は憲法について、改正すべき箇所もあるが9条は改正すべきではない、というスタンスである。
憲法は日本国籍を持つ以上、もっとも気にしていないといけないもののひとつのように思う。
三月に帰天された大江健三郎さんの憲法改正案反対の講演などをカトリック教会名古屋教区の松浦司教さまをきっかけに、2014年か2015年から何度か拝聴し、憲法記念日になると大江健三郎さんが登壇されたときのオーラが蘇る。
文学が好きならばぜひ、身近な社会問題へと目を向けさせてくれる大江さんを通して、さまざまに思いをめぐらせ、大江さんの意思を感じるひとたちが増えたら、と願った。
消耗的資本主義に振り回されることなく、真摯に言葉と社会を通してのじぶんやじぶんのいちばん身近なひとたちとのことを考えている。
それが大江健三郎さんだと僕は思う。
ひとというのは社会性をもつ動物であり、だからこそ否応なく帰属した社会に対して開いたスタンスで自己表現を通して平和や愛を発信したい。
僕はそういう大江さんファンと繋がりたいと密やかな野望があったりもする。
大江健三郎さんは、彼の書き残した言葉に今も生きてらっしゃると僕は思うから。
政治の力が悪い方向へ吹き荒れたときには無力に見えてもしなやかに、しかし折れずに、細くても長い運動を続けていく中で、いつかこの国を動かすほどの多くの人々が、この日本国憲法9条を掲げる平和の行進に連なっていくことを、信じています。
ヒロシマと核状況について考えることは、僕にとってまず個としての自分の、これからどう生き延びてゆけばいいか、実際に生き延びてゆくことはできるのか、さらには、それが可能だとして、どのように文学表現を続けてゆけばいいのかということと、つねに深く結びついていたのだ
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