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雨の中の読書会/第3回米沢温泉オフ(赤湯温泉)2024.6.22~23 レポート

■■ 雨の中の読書会 ■■
第3回米沢温泉オフ(赤湯温泉)2024.6.22~23
◆ 場所:山形県南陽市 赤湯温泉「旅館大文字屋」
◆ 日程:2023年6月22日(土)~23日(日)
◆ 参加者:6名(男性4、女性2)
(参加者)
〇JACK 〇オシツオサレツ 〇ハナモゲラ
〇まりこ 〇しゅうじ
〇今村洋一(支配人)

◤1◢ 赤湯温泉について

「米沢温泉オフ」というイベント名にしているが、今年は米沢以外で開催されることとなった。米沢から北にクルマで30分ほどのところにある南陽市に赤湯温泉はある。最寄り駅はJR赤湯駅(山形新幹線)で、東京から直通で来ることができる。
赤湯温泉は、町の中に温泉街がある。近くにはぶどう畑の山があり、ワインの産地でもある。食べ物も美味しい。良いところではあるのだけど、大型の観光地というわけではない。結果としてリーズナブルな宿もそれなりにある。
ということで、第3回米沢温泉オフの名誉ある開催地となった。

「読書会なので本がいっぱい登場するのだろう?」と思っている人が大半のような気がする。いっぱい登場することは確かなのだが、それ以外の風景も数多く登場する。まあ、大人の修学旅行みたいな感じで見ていただけたら嬉しい。


◤2◢ JR赤湯駅にて集合

参加メンバーは、僕も含めて全6名。本来もうひとり参加者がいたのだけど、数日前に流行り病となり急遽断念となった。彼は過去にも、急に仕事が入り途中で離脱することがあったりと、悲しい運命にある。

僕以外は皆さん関東圏から、ひとりは自家用車で、他の4人は山形新幹線にて。
11時15分に、JR赤湯駅に集合する。
自家用車のJACKさんは、やや早めに到着。暑さに少し驚いている。
そして他のメンバーも到着し、6名が挨拶を行い、僕とJACKさんと、2台のクルマに分かれて、まずは観光となる。

ちなみに、赤湯駅は、山形鉄道フラワー長井線の始発駅にもなっている。
天井を見上げると、驚く景色があったり、ラーメンのPRが多くあったり、なかなかユニークな駅でもある。


◤3◢ 熊野大社・ジェラート・双松公園

まずはこの地域一番の観光名所となる「熊野大社」へ行く。クルマで10分ほどの移動だ。
熊野大社は、とても整備されていて、クールな雰囲気がある。観光客も多かった。
天気も良く、写真を撮るにも、最高の風景と言える場所だった。

そして、すぐ隣にあるクールなお店でジェラートを食べる。
遠方から来た人にとって、ジェラートというのは、その土地を感じてもらうとても良い食べ物、ということを実感した。
地元の食材、アスパラガスのような野菜から、サクランボなどの果物、そしてお米と、美味しい材料が揃っている。
それぞれがトリプルで贅沢に、それぞれの種類で楽しんでいた。

そしてすぐお隣にある双松公園にて、山の上から市内の景色を見渡す。
楽しいオフ会のスタートとなった。


◤4◢ フラワー長井線 宮内駅

メンバーからリクエストがあり、急に新たなる行先が加わることとなった。
「宮内駅に行きたい」と言われたのだが、正直ややキョトンとしてしまった。

遠方に住む人の方が、東北の地方の小さなローカル線の駅に、リスペクトしているようなのだ。ちらりと噂には聞いたことがあるのだけど、「宮内駅」はかなり有名なところらしかった。
この駅には、「もっちぃ」という、うさぎの駅長がいる。駅長室に入ることもでき、中にはキャラクターグッズもあった。
そして何よりも、都会から来た人をうならせたのは、この駅に到着した1両編成のローカル列車の景色だったのだと思う。「のどか」という言葉をこれほどまでに、表現している景色は、なかなか無いのかもしれない。

「フラワー長井線全駅を巡るツアー」なんてのが出来て、インバウンド客が大量に押し寄せてくる、なんて日が来るのかもしれない(まあ、たぶん、来ないと思うけど)。
本当に、素晴らしい、価値のある景色だった。


◤5◢ 冷やしラーメン

そして、クルマで30分ほど移動し赤湯温泉のある町に。
少しお昼過ぎとなる時間に「来々軒」へと入る。
ちなみに途中で「龍上海赤湯本店」という超有名ラーメン店の脇を通る。もの凄い人の並びに皆さん驚く(笑)。

実はメンバーの一人から「冷たいラーメンを食べたい」というリクエストが一年前からあった。
「冷たいラーメン」というのは、見た目的には、普通の温かなラーメンと同じ。それが、冷たくなっている。見た目として異なっているのは、表面に氷が浮いていること。
山形県の内陸地方というのは、盆地となっている関係で、夏がもの凄く暑い。麺好きの県民性というこもあって、夏に冷たい麺類を食べたい、という声が多くあったのだろう。
山形市のお店で「冷たいラーメン」が誕生した。また、山形県内では、「冷たい肉そば」というのもよく食べられる。

実はこのリクエストに少し驚きがあった。というのは、僕自身は、あまり食べることは無かったからだ。個人的には「冷やし中華」の方が好きだし、また、米沢では、そんなに「冷たいラーメンを食べる」という感覚はない。もちろん、好きだという人もいるだろうけど。
とにかく、今回は「冷たいラーメン」の美味しいお店ということで、この「来々軒」を選択した。

僕自身が、赤湯温泉に来ると、このお店によく入っていたというのも大きな理由だが。
実は、子供の頃、この近所に3年ほど住んでいた。小学生の頃だったので、「住んでいた」という感覚よりも「走り回っていた」という想い出の方が強い。自然が多く、本当に良い町だったという印象なのだ。
「来々軒」は、昔からある、町に根付いた中華そばのお店だった。

この店では「冷たいラーメン」とは言わずに「水中華」という名前になっている。6名中4名が「水中華」を注文し、あとは「あたたかな中華そば」「冷やし中華」の注文となる。
「冷やし中華」の隣には大きなマヨネーズが置かれる。山形では、冷やし中華にマヨネーズを掛けるのは、必須である。

中華そば(普通の、あたたかなラーメン)
水中華(冷たいラーメン)
冷やし中華


◤6◢ 赤湯温泉の足湯

数分で本日宿泊する宿の駐車場へと移動。
宿に入る前に、『赤湯温泉観光センター・ゆーなびからころ館』というところで、足湯につかる。この足湯は、とても良かった。キレイだし、凄く熱い(でも、ちゃんと入れる)。なかなかこうした足湯は少ないようにも思う。
参加者の皆さんは、ここでゆっくりと過ごす。足も心も、とてもゆっくりとできる場所だったようだ。


◤7◢ 旅館大文字屋

そして、いよいよ本日の宿である「旅館大文字屋」さんへ。
「駐車場が満車で」という話をすると、「宿のすぐ脇の駐車スペースを確保していましたから」と言ってくださる。すぐに、2台のクルマを移動される。これはありがたかった。

チェックインし、部屋を案内してもらって、かなり驚く。
予約のときに、「部屋は安い部屋でいいです。料理は米沢牛のコースでお願いします。男性4名、女性2名の部屋は別にしてください」というのが、こちらの希望だった。これで、ひとりあたりの料金(ちなみにとても小さな声で言うけれど、ひとり15,000円でした)は決まっていて、部屋は古いところだろう、と思っていた。部屋は古くてもそこには趣もあるし、それよりも料理の値段を上げた方が、遠方からの参加者は喜んでくれるのではないか、何と言っても米沢牛を食べたいだろう、と主催者は考えたわけだった。

男女に分かれた2つの部屋は、この宿の最高クラスの部屋だった。和のテーブルのある和室の隣には、ベッドルームがある。そしてなんと!半露天風呂まであった。
たぶん、であるが。他に大人数の団体客の入っていた関係で、こうした部屋が割り振られることになったのだろうと思う。旅行会社のサイトを通さずに、直接宿に電話して予約をしたことで、こうした幸運もあるのだろうと感じた。


◤8◢ 烏帽子山八幡宮

旅館大文字屋さんは、小さいけれど、とても良い宿だった。
1階の部屋というのもあるが、窓から外の景色が良いというわけではない。しかし、この宿のすぐ隣は、烏帽子山公園という山となっている。6月となっていて季節は異なるが桜の名所である。

荷物を置いて、烏帽子山八幡宮を散策する。ほぼ、他に観光客のいないようなところを、ゆっくりと楽しむ。やや寂しくはあったが(笑)。僕は何度か、お花見でこの公園に来ているのだけど、お花見のときは、凄い人で、とても凄い景色です。


◤9◢ 昭和な温泉宿での豪華な夕食

散策を終え、街を少し歩き、宿に戻り、温泉へと入る。温泉オフならではの、優雅なひとときを楽しむ。

そしていよいよ夕食の時間となる。
ほぼ、隣に位置する部屋で、このメンバーだけでの部屋食となる。
今回の温泉オフでは「昭和な温泉宿」というのをテーマにしていた。というのは、この数年、温泉宿という存在がいろいろと変わってきていると感じたからだ。昔だったら、社員旅行など団体客で、大きな宴会が行われた。食べきれないような料理が並べられ、料理自体も、決まっているものが多かった。しかし、最近では、旅行というのは個人客が主流となり夕食バイキングというところも増えてきた。

そんなにハイカラな料理でなくても良い。地元の料理を普通に食べるといった感覚の、まさに、昭和風の料理を食べたいと思っていた。

十分に贅沢な、温泉宿での夕食だったのではないだろうか。本当に良かった。素晴らしかった。


◤10◢ お土産集合写真

夕食後は、男子部屋に戻り、「誰がどこに寝るか」のじゃんけん大会(ってほどでもない)が開催された。じゃんけんで勝った人は、ベッドルームを希望することが当たり前のようだった。とても、喜んでいた……。

さて、少し休んだところで、読書会である。
男子部屋は、和室に布団が敷かれたことで、女子部屋の和室にて読書会の開催となる。
準備したお酒、ジュースなどの飲み物、お菓子関係を移動される。

今回、いちおう主催者として、地元のお酒、高級ジュース、酒のつまみ、お菓子などを用意していた。しかし、参加者の皆さんも、いろいろなものを用意してくれた。宿のすぐ近くのお肉屋さんのコロッケなど、とんでもなく食べきれない量が揃うこととなった。
もちろん、これらは、全員で分けて、お土産とさせていただく。


◤11◢ 読書会・本の紹介

一応、紹介の本の写真については、すべての本を掲載させていただく。しかし、紹介文については、あまり集まりの具合が悪かったことで(一応アンケートをお願いしていたが)、省略ということで、ごめんなさい。

楽しい本の紹介だった。
本の紹介というのは、その人の一面が見える。初参加のしゅうじさん紹介の鉄道に関しての本などは、その想い入れなど、十分に伝わってくるものだった。
自分がこれまで出会うことの無かった一冊が、読書会にはあると思う。そして、自分の読書という世界が、広がっていく。

本の紹介で、他の人の話を聞くことで、「もっと読みたい」という大きなモチベーションにもなる。実に、実に、楽しい時間だった。


◤12◢ 赤湯温泉街散策と朝市

2日目の朝となる。
温泉宿での朝は、朝風呂から始まる。大浴場に入ったり、部屋についている露天風呂も楽しい。
そして、温泉街といえば、朝市である。
こういうのがあるのと無いのとでは、違いがあるのではないだろうか。
メンバー全員で朝市に出かける。

場所は、数分ほど歩いたところ。
広い駐車場のあるところで、朝市を楽しんだ。


◤13◢ 温泉宿での昭和な朝食

個人的な感想となるが、この2日間で食べたものの中で、この朝食が一番美味しかった。
何よりも、白いお米が美味しい。
本当に、本当に、美味しい朝ごはんだった。


◤14◢ フラワー長井線 荒砥駅

2日目は、約1時間ほどクルマを走らせ、鮎を食べにいく予定。
地方の道路をただひたすら走るのだけど、この風景を眺めるのも、楽しい時間だった。

まずは、荒砥駅へ。山形鉄道フラワー長井線の終着駅となるところだ。
小さな、静かな、ローカルな駅なのだけど、ここも趣のある景色に満ちていた。


◤15◢ 白鷹ヤナ公園あゆ茶屋

そして、道の駅白鷹ヤナ公園あゆ茶屋へ。
ここは、ヤナ場という鮎のとれるところである。広い駐車場があり、鮎を食べるレストランがある。
ヤナ場を散策し、レストランにて、それぞれが鮎の料理を注文して食べる。
これも、本当に美味しかった。


◤16◢ 夕鶴の里語り部の館

その後、「サクランボを購入したい」というリクエストに応え、「道の駅 川のみなと長井」へ行く。
ここは地域の特産物が数多く売られている。野菜や果物など。特に、サクランボに関してはちょうどシーズンということもあり、いろいろな種類が売られていた。

一応、本を語り合うオフ会なわけで、少しばかり本に関係した文化的なところにも行かなければ、という考えがあった。
そこで、夕鶴の里語り部の館という場所に行く。静かに、鶴の恩返しの世界を楽しむ。


◤17◢ 赤湯駅にて解散

そして、お別れとなるJR赤湯駅へ。
なぜか、メンバーのほとんどは、夕食として「牛肉どまんなか」の駅弁を購入していた。

米沢温泉オフは、3回目となったが、一番移動の多い回だったように思う。
来年はどうなるのだろうか?

難しいのは、温泉宿の料金だ。今回もいろいろと調べたのだが、どんどん値上がりしている。
観光を含めてあちこちと出歩くのか、宿でゆっくりとした時間を過ごすのがよいのか、なども含め、考えていきたい。

「年に1回、6月に、山形県米沢市を中心にして、宿泊して行う」
決めていることは、このくらいである。
たまに、50人くらいが参加するような大イベントになることを夢想したりもする。例えば、ゲストにプロの作家を呼んだり、なんて。しかし、現実的には、ほんの数人(少ないときは2,3人)で、ゆっくりと温泉に入り、静かに語り合うような雰囲気になるのかな、と考える。

どうして温泉オフというものを行うようになったのか?について、少しの説明をしよう。
元々は東京で月に1~2回ほど、読書会を開催していた。東京に住んでいたこと、田舎に住むようになってからも出張で東京に行く機会が多かったことがある。読書会はそれなりに大きなもので、雑誌などに取り上げられることもあった。
しかし、今は、東京に行くこともなくなり、田舎で静かな生活をしている。
そこで、読書会のメンバーに東京からこの地方に来てもらう、ということになった。宿泊してもらうことで、この地方を満喫してもらうことができる。時間を気にすることなく本について語り合うことができるというのは、本好きな人間にとっては、天国のような時間である。美味しい料理にお酒を飲みながら本について語り合う、という読書会のスタイルを、グレードアップしたのが温泉オフだと言えるだろう。

時には、本の紹介というのは脇役になることもあるだろう。そういうのもありだ。今回は、観光がメインとなったような気がする。

時には、秘湯の温泉地で、ただただ、何をするでもなく、温泉に入り、寝転がって本を読んでいるような時間を過ごすのも、楽しいだろうと思っている。

読書会という場で、多くの人と本との出会いがあった。けれど、そうした出会いはずっと続くものではなく、通り過ぎていくものだ、という感覚がある。特に、人は不安定な時に、本を読み、読書会に参加するのではないか、みたいな印象がある。
もっと話をしたいな、と思ったところで、読書会から去っていく人も多い。
なので、「読書会は人との出会いの場で人生を有意義にする素晴らしい場所です」なんて言う気持ちは全くない。ただただ、人と本が通り過ぎていくのが、読書会なのだろうと思っている。

旅行して何らかの宿に泊まる。実はこうした行為も、通り過ぎていく、というものなのだろうと思う。以前、四国遍路を歩いたときがあり、その時に多くの宿に泊まった。まさに、自分は、通り過ぎた。

最近、とても嬉しいことがあった。
この読書会に参加してくれていたある女性が、大手の出版社から本を出した。読書会に参加していたときには、無名の人だった。その人の一時期に、僕の行っていた読書会という場で知り合いとなった。しばらく会うことはなく、まさに通り過ぎた、という状態だった。けれど、いつの間には著名人となっていた彼女は、この本の出版にあたり、僕のところに丁寧に挨拶のメッセージをしてくれた。
本というものを通して出会いがあり、何らかの成長のようなものがあり、通り過ぎるということの意味を静かに感じさせてくれる出来事だった。

温泉宿に泊まること、読書会で人と本と出会うこと、それは、すぐに通り過ぎることであり、ささやかなことなのだろう。

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