センスが800年遅れた本屋、ブタコヤのショップカードが完成。
いやマジで16年間、チョークを黒板に打ち付けることしかしてきませんでした。
もしくは子供同士の喧嘩の仲裁をしたり、危険を取り除いたりと、教室の平和維持活動しかしてきませんでした。
チョークで上手に字を書くことができるようにはなりました。
本当は友達を叩いちゃったのに、自分を守ろうとして頑なにその事実を認めない低学年児童に、安心してゲロらせる技術も身につけることができました。
さて、こんなスキルはどこで生きるんでしょう。
必要とされる方は遠慮なくお申し付けください。
そんなニッチで特殊なスキルは高まりましたが、ず〜っと校舎の中で子どもと保護者と同僚と格闘していたわたしには、アラフォー社会人として必要な一般的な常識やスキルがかなり欠如しています。
「教員はずっと学校の中にいるから社会のことを知らないよな」と、突然上から目線で絡んでくるタイプや、お前の社会しか知らねえくせに世の中のことを全て知ったような顔でドヤドヤ言うようなタイプの奴が言うことは、まあ残念ながら、私の場合においては、その通りとしか言いようがありません。
だからこそ、一歩学校の外に出てみたいというわけでもあります。
例えば「名刺」。
私の周りには名刺の文化がありません。
小学校教員の大半が、名刺を持っていない(はず)です。
だからお渡しする時、めちゃくちゃ怯えています。
これで合っているのかな、何か失礼はないかな。
こんな悩みを吐露すると、鼻で笑われてしまうことがあります。
「せんせぇはそうだよね、しょうがないよねぇ」
「そうなんすよ、へへ」
とか言いながら、内心、
「ほんならあんた、高学年女子が「◯◯ちゃんに、睨まれている気がするんですけど」とか訴えてきたら、うまく振る舞えるんか。これは担任としてめちゃくちゃ試されてるぞ。信頼関係の構築と、繊細な判断が求められる一触即発のワンシーンだぞ。おい。どうなんや、おい。おい。」
とかめっちゃ早口で思ってます。
そんなわたしがショップカードをつくりました。
同時進行で個人のブタコヤ店主としての名刺もつくっている最中です。
緑の背景は、黒板のイメージ。
箱から出した途端に、とてつもない既視感をおぼえました。
ちょっと厚めの紙で作りました。
この質感、この緑の色合い…
どこで出会ったんだろう…。
緑の背景に、少しざらついた厚めの紙。
手に取ると、どこか古風な雅さを感じる。
うーん。
あ、
百人一首!
「なるべくステキに仕上げよう」と思ってつくったら、百人一首ができあがりました。
「百人一首みたいにしよう」だなんて、1ミリも思っていなかったのです。
「小倉百人一首」の誕生は1200年ごろだそうだ。
なるほど、センスが800年遅れている。
ときのながれにおくれ、いとはずかしきことなり。
自分のものづくりのセンスは疑った方がいいということが、よくわかりました。
まあでもこの先、このショップカードは800年生きます。
というわけで、2月になったらかさでら図書館の本棚に置いておこうと思います。
どこかで見かけた際には、古の歌人の雅な暮らしや、社会人の基礎スキルの欠如に苦しみながらも社会の荒波の中でもがく店主のことなどを思い出していただけたら幸いです。