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本屋をつくる小学校教員が、9~10月に教室で読んだ絵本21冊を振り返る。

教室で、なるべく毎日絵本を一冊読むようにしています。ちなみに私は今年度は3年生の担任。本屋を開くということを決めてからは、読んだ本と感想を、記録に残しています。せっかくなので、noteにも毎月残しておきます。だれかの、何かの参考になるといいな。



9/18『しんごうきピコリ』 ザ・キャビンカンパニー あかね書房

特別授業として「交通安全の授業」を行ったので、ちょっと変わった交通ルールの絵本を読んだ。帰りの会で、「信号の色をよく見て帰れよぉ~、赤・青・黄色だけとは限らないぞぉ〜」と言って、さようならをした。


9/19『じっちょりんとおつきさま』かとう あじゅ 文溪堂

お月見が過ぎ、理科の授業で昆虫のすみかを探したばかりの3年生にぴったりすぎるくらいぴったりな内容の絵本を読んだ。草むらでいきいきと暮らすじっちょりん。草むらのバッタを捕まえては教室のカマキリに食べさせることを快感としているクラスの元気なあの子も、今日は複雑な顔をしていた。


9/20『ピヨピヨ スーパーマーケット』工藤ノリコ 佼成出版社

社会科のスーパーマーケットの単元が始まった。絵本の中に出てくるタイムセールの場面を見て、値下げは誰の権限で決めているんだ?という疑問が生まれた。いいねえ。読み聞かせをした後は、取り合いになっていた。さすが、大人気、工藤ノリコさん。


9/24『うろおぼえ一家のおかいもの』出口かずみ 理論社

何から何まで「うろおぼえ」な、あひる一家の微笑ましいお話。かくいう私も「うろおぼえおじさん」として毎日を必死に生きている。うろおぼえくらいが丁度いいんだよ人生は。みんなもっと解像度を下げて生きよう。


9/24『ちいちゃんのかげおくり』あまんきみこ あかね書房

3年生国語(光村)の下、一発目の単元は『ちいちゃんのかげおくり』。絵本で読むと、教科書で読むのとはまた違った印象を受ける。戦時中の様子は、一回読んだだけではうまく伝わらない。ちょっとずつ、詳しく読んでいく。


9/25『うかぶかな?しずむかな?』文:川村康文 写真:遠藤宏 岩崎書店

3年生算数の「重さ」で、はかりを扱う。この絵本には丁度はかりで重さを量るシーンがある。重くて大きいのに浮かんだり、その逆だったり。「浮くでしょ」「沈むに決まってる」と、ページをめくる度に大盛り上がりだった。


9/26『ようい どん』文:渡辺茂男 絵:大友康夫 福音館

明日からいよいよ運動会の練習が始まる。一生懸命走っているのになかなかうまくいかないくまくんを、全て「あれあれ。」の一言で優しく包み込む空気感がとても素敵な絵本。運動が苦手な子が、ちょっとだけ救われる気がして。


9/30『はしれ、ゴールのむこうまで!』 作:くすのきしげのり 絵:稲葉卓也 講談社

運動会は運動嫌いな子どもには地獄の時間。得意な子には輝ける時間。変に誰かが目立つことなく、無事に、ベタに終わればいい…といつも願っている。そんな思いとは真逆の絵本だが、子供からは歓声が上がった。


10/2『さかさことばでうんどうかい』 西村敏雄  福音館

運動会の練習真っ盛り。昔は一ヵ月くらい同じことを何度も何度も練習させていたが、コロナ禍&働き方改革の流れの中で、ずいぶんと運動会自体が簡素化された。本校では一週間ちょっとしか練習を行わなかった。ショー化する運動会から脱却しなくちゃいけない。「見た目」を優先してしまい行進や整列に時間をかけすぎる無駄な時間がなくなるってのは、いいことだ。


10/2『がっこうにまにあわない』ザ・キャビンカンパニー あかね書房

理科の授業で遮光版を使い太陽の観察を行った。初めて太陽を見る子が、「月みたい!!」と感動の声をあげていた。というわけで遮光版が登場する絵本を読んだ。疾走感と焦燥感が入り混じる素敵な絵本だった。読んでいるのに、映像を見ているみたい。


10/4『ぼくを探しに』 シルヴァスタイン 講談社

通知表を渡した。「◎や△の数ばかり気にしたり、悪い評価の教科ばかり気にしたりしがちだけれど、自分が得意な分野に目を向けるのも大切だよ」という話を子どもたちにした。というわけで、三年生にどれだけ伝わるかはわからないけれど、名作を読んでみた。算数でコンパスを習ったばかりなので、「あ、円を勉強したからこれにしたんでしょう!」と言われ、笑った。


10/7『ぼくが子どものころ戦争があった 「いくさの少年期」より』 作:寮美千子 絵:真野正美 原作:田中 幹夫 ロクリン社

三年生は国語で「ちいちゃんのかげおくり」を読むので、戦時中のイメージがより深まるこの絵本を読んだ。私の祖父の兄弟は赤紙を受け取り、船もろとも海に沈んだ、という話を興味をもって子どもたちは聞いてくれた。たまたまその当時の私の祖父は戦争に行けない状態?で、幸運にも死なずに済んだんだと祖母がよく話した。もしも私の祖父が赤紙を受け取っていたならば、みんなの担任は私ではなかったことになるね…と話すと、驚いていた。今の生活と当時の戦争が繋がっているということが、少しでも意識できたらいい。


10/9『うごきません。』 作:大塚 健太 絵:柴田 ケイコ  パイインターナショナル

ひたすら動かないハシビロコウ。この絵本は読み聞かせの後も、教室の子に大人気だった。 とにかく「うごきません」。私ももうなるべく動きたくない。既にハイボールを飲んでしまった今晩の私ももう「うごきません。」


10/10『とびません。』 作:大塚 健太 絵:柴田 ケイコ パイインターナショナル

「◯◯しません。」と表明し、言い切っちゃうことは働く上でめちゃくちゃ大事なことだよなあと、絵本の内容とは無関係なことを考えながら読み聞かせた私はきっと、ブラック労働者。そんなおじさんの思いなど関係なく、多くの子が笑顔で聞いていた。面白い、このシリーズ。


10/11『パンどろぼう』 作:柴田 ケイコ KADOKAWA

柴田ケイコさん繋がりで今日はパンどろぼう。子どもは知ってることを全部言っちゃいたい生き物だから、顔を真っ赤にしてオチや正体を前のめりになって言っちゃう子が続出。それだけパンどろぼうが人気だということだ。ちなみにXにパンどろぼうについてつぶやくと、パンどろぼうの公式アカウントが高確率でいいねを押してくれる。本物のパンどろぼうとやりとりしているみたいで、ちょっとうれしい。


10/16『パンどろぼうとなぞのフランスパン』作:柴田 ケイコ KADOKAWA

表紙を見せた瞬間、「それ3巻だよ~」と言う子どもたち。詳しい。なるほど、シリーズの2巻をとばして3巻を持ってきてしまった。でも読んだ。


10/17『ガンピーさんのふなあそび』 作:ジョン・バーニンガム 訳:光吉夏弥 ほるぷ出版

この「ガンピーさん」みたいな大人に、私はなりたい。とにかく優しい。親、教員、上司…誰かしら人を育てる立場にある人は、心の中に小さなガンピーさんをもつといいと思う。シリーズの『ドライブ』や『サイ』も、そのうち読みたい。


10/18『パンどろぼうvsにせパンどろぼう』 作:柴田 ケイコ KADOKAWA

クラスではにせパンどろぼうが人気。ちなみに「レーズンパン」は、最近の給食にはあまり登場しなくなった。なんでだろう。レーズンだけほじって床やトイレに捨てる不届者がよく出現するからだろうか…?あんなに美味しいのに、子どもたちはよく残す。


10/23『パンどろぼう おにぎりぼうやのたびだち』『パンどろぼうとほっかほっカー』 作:柴田 ケイコ KADOKAWA

最近、絵本が読めないほどバタバタしていたせいか、教室が落ち着かなかった。運動会の後、目標を見失う11月というのは教室は乱れがちなのである。今日はたっぷり2冊も読んだせいなのか、落ち着いた一日になった。さすが、パンどろぼう。



10/25『パンどろぼうとりんごかめん』 作:柴田 ケイコ KADOKAWA

パンどろぼう最新作。教室の子どもたちはケタケタ笑っていた!さすがパンどろぼう。そして『おにぎりぼうや』『ほっかほっカー』を読んだ日に休んでしまった子が寂しそうに、「また読んで…」と言いにきた。ああ、読もうじゃないか。



以上、21冊の教室で読んだ本のリストでした。
ちなみに、読んでいるけど記録に残していない本もあるので、実際には30冊くらいでしょうか。3年生という学年はまだまだ絵本を一生懸命聞いてくれる年齢なので、読んでいるこちらも楽しいのです。


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