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フルマラソンを走っていたら、いつの間にか本屋にいた話。

本屋巡りを趣味とする練習不足男が、マラソン大会に出るとどうなってしまうのかという記録を、ダイジェストでお送りしたいと思う。主に、走りながら考えていたことは、「足が痛え」と「はやく本屋行きてえ」のふたつである。

三重県松阪市で開催された、みえ松阪マラソンに参加してきたのだ。


【スタートから0km地点】スタート

練習をろくにしていないのにこの地に立っている。
名古屋から1時間半も車を走らせて到着。
5時起き。もはや来られただけでゴール。
もう満足。ごめんなさい。


【スタートから4km地点】早くも足が痛い

収容バスとすれ違う。怖い。
練習不足。もう足が痛い。
このあたりから終わったら本屋さんに寄ることを考え始める。
42.195kmのゴールよりも本屋の方に気が向き始める。


【スタートから15km地点】おにぎりエイドの関門前

「次の関門まで500m!あと5分!」
「関門におにぎりあるよ!」
「おにぎりいけるよ!おにぎり!」
「おにぎりまだ間に合うよ!」
「おにぎり!おにぎり!!」
「おにぎり!!」
「おにぎり!」
「おにぎり!」

沿道の皆様やペースメーカーから、怒涛の「おにぎり」の声援。
あんなにたくさんの知らない大人たちから「おにぎり」と呼ばれることはこの先もう二度とないだろう。ちなみに大きな五目おにぎりを激励とともに3個も手渡された。ランナーに3個?? 3個??


【スタートから16.5km地点】関門アウト

無念な結果に終わってしまった。残念だったが、収容バスに乗り、駐車場に戻り、車に乗り換えた頃にはもう気持ちを切り替えている。さあ本屋さんに行こう。おにぎりが16km先の津市市街地へ向かう。


【スタートから32.5km地点】奥山銘木店へ

奥山銘木店
三重県津市大門3-1(フェニックス通り)
https://www.instagram.com/okuyama_meimokuten/

痛めた足を引きずりながら、「奥山銘木店」さんにお邪魔した。本日の私にとってのメインイベントは、マラソンなのか、本屋巡りなのか。どちらも心拍数が上昇したのは間違いない。

入口ドアを開けた瞬間から、とてもいい香りがした。店内の写真を撮影していないため、ぜひ調べていただきたいのだが、中にはとてもオシャレな空間が広がっていた。

あまり前情報もなく訪れたのだが、店を見た瞬間に「建築関係の方によるお店だ」ということが分かる本棚だった。後に店主さんとお話させていただいたが、やはりその通りだった。

本棚をぐるぐると4周くらい見て回った。あまり見たことのない本がたくさん置いてあった。様々なジャンルがカバーされた、素敵な本棚だった。

「書店員経験のある店主さんなのかな、すごいなぁ」と思って見ていた。「だとすると、建築関係も、書店員経験も…ってこと?どういうこと?」と、不思議な気持ちで本棚を見て回った。

本を2冊購入し、店主さんにお話を伺うと、なんと書店員経験は無いとのことであった。この素敵な並びの本棚で、書店員の経験が無いっていうのには驚いたし、書店員経験の無い小学校教諭の本屋の店主としては、勇気づけられるものがあった。

しかし。聞くと、もうこちらのお店が出来てから18年が経つという。じゃあそりゃもう書店員さんじゃないですか!大変失礼いたしました!

複業本屋の大先輩の姿を見て、自分たちのお店にも生かせることがたくさんある気がした。とても勉強になった滞在であった。また行きたいと思う。


【スタートから123km地点】帰宅

と、いうわけで、面白そうな本が手に入った。
今からこの本をじっくり読みたい…けど、マラソンのせいで、眠たすぎる。
そのうえ足が痛い。明日、働ける気がしない。

素敵な本屋さんを発見したという喜びをパワーに変えて、乗り切るしかない。