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本屋をつくる小学校教員が、最近教室で読み聞かせをした絵本15冊。

「先生に読んでもらった本、この間本屋さんで見つけたよ!」
「あの絵本、昨日本屋さんで買ってもらったよ!」

最近、教室の子どもたちに、こんな嬉しい報告をもらいました。
本屋を志す教員としては、子どもが本屋さんに行って本を買ってくれるということがとても嬉しいのです。

ちなみに、教室で絵本を担任が読み聞かせすると、家でも自然と本の話題になるそうです。親子で本の話をするのって、なんだか良いな。



11/16『すきなことにがてなこと』 新井洋行 絵:嶽まいこ くもん出版

自分の苦手なことがあるからといって自信をなくすのではなく、ちょっとだけ顔を上げて周りの他人に目を向けて、お互いで助け合って過ごしていけたらいいね、という話のあと、学級活動の時間に読んでみた。


11/19『子どもに語るアラビアンナイト』 再話:茨木啓子 西尾哲夫 訳:西尾哲夫 こぐま社

絵本『シンドバッドの冒険』を読んで以来、教室の一部の子に千一夜物語ブームが到来している。何も伝えずに『漁師と魔人』を読むと、「え、ディズニー…?」とそわそわし始める子もいた。


11/19『スイミー』 レオ・レオニ 訳:谷川俊太郎 好学社

一年生は『スイミー』、二年生は『アレクサンダとぜんまいねずみ』、三年生は『どきん』を読む。 三年生にスイミーを読んだ。「久しぶりだね」と言うと、元気に「うん!」と言った。みんな、静かに聞き入っていた。
ちなみに三年生の教科書の【上】を引っ張り出してきて、谷川俊太郎『どきん』も読んだ。(「どきん」は春に行う単元) 子どもたちはちゃんと覚えていて、
私:「おしてみようかなあ…?」
子:「ゆらゆら!」
私:「もすこしおそうかなあ…?」
子:「ぐらぐら!」
と、朝からコール&レスポンス大会になった。凄い。


11/20『もこ もこもこ』谷川俊太郎 絵:元永定正 文研出版

1ページだけ無音のページがある。我が子がまだもっと小さかった頃、2人でそのページにオリジナルの音をつけて読むのが楽しみだった。教室でもあの無音のページで笑いが起きた。私はあの「無音のページ」が大好きだ。


11/20『きつねのホイティ』 シビル・ウェッタシンハ 訳:松岡享子 福音館書店

国語は「海外の民話」を扱う単元。なので今日はスリランカのお話を。私物の絵本を読んだが、その後に図書室から同じ『きつねのホイティ』を見つけてきた子が嬉しそうにしていた。気に入ったみたい。


11/21『おばけなんてないさ』 せなけいこ ポプラ社

帰りの会。ギターの音に合わせて元気よく「おばけなんてないさ」の大合唱。最後はライブ会場よろしくジャカジャカジャカ…ジャン!!と、みんなでジャンプをしてさよならをした。これをやると子どもたち、割とご機嫌。


11/22『落語絵本 まんじゅうこわい』 川端誠 クレヨンハウス

読んだ後に教室で「あたしゃ宿題が怖いんだよ。あーこわいこわい!」と言ってみた。すると子供達はすかさず「じゃあ宿題出すのやめるね!」と口々に返してきた。うまくいかないねぇ!と笑った休み時間だった。


11/22『きみはきみだ』 斉藤道雄 子どもの未来社

自分らしく生きるということの大切さを、子どもたちの生き生きとした表情で伝える写真絵本。登場する子どもは、全員耳が聞こえない。この絵本を読んだ後、図書室に行き、手話の本を借りる子もいた。


11/25『なにになれちゃう?』チョーヒカル 白泉社

以前、同じ作者の『じゃない』を読み聞かせをしたことがある。『なにになれちゃう?』の表紙を見せて、読み聞かせを始めようとすると、
「その本、『じゃない』をかいた人の本?」
と気付く子がいた。
ボディペイントで体のパーツが変身する絵本。
「なにになれちゃう?」
ページをめくる前に、あれかな、これかなと想像するのが楽しい。


11/27『アナベルとふしぎなけいと』 マック バーネット 絵:ジョン クラッセン 訳 なかがわ ちひろ あすなろ書房

国語の「冬を感じた瞬間」を扱う授業でこの本を読んだ。「そうだ、冬はセーターの出番だね」と。
ある子が元気に手をあげて「冬を感じた瞬間」を発表した。
「『ゆきやこんこ』の音楽が外から流れてきて、何か売ってました!!」
私の住む地方では、灯油を乗せたローリー車が、軽快な『ゆきやこんこ』の音楽を流しながら、灯油の巡回販売を行っている。 灯油ストーブの出番は今の家庭にはあまりないのか、子どもたちは意外と、あれは 何を巡回販売しているのかを知らなかった。
「果たして何を売っているんだろう?」
クラスで1、2を争う物知り少年が勢いよく手を挙げてこう答えた。
「あれは豆乳を売ってます!」
なるほど。
「灯油の巡回販売です」
「豆乳の巡回販売です」
なるほど。
あまりにも自信満々に胸を張って答える彼。これは笑ってはいけないヤツだ、と、笑いを堪えながら授業を続けた。  


11/28『声にだすことばえほん 寿限無』 齋藤孝 絵:工藤ノリコ ほるぷ出版

『ノラネコぐんだん』の工藤ノリコさんの絵。 「有名な絵本と同じ人が絵をかいているんだけど、わかる?」と聞くと、「ノラネコぐんだん!」と即答した子がいた。 「寿限無」をすらすらと唱えた子が拍手に包まれた。


11/29『おせち』 文・絵:内田有美 料理:満留邦子 監修:三浦康子 福音館書店

冬の暮らしについて扱う国語の授業で読んだ。おせちの中身がどんな縁起を担いでいるのかクイズをしながら読んだ後に、「これ、実は絵なんだよ」と言うと、「え、ウソ?」と子どもたちは大騒ぎになった。隅々まで見て、椎茸から鉛筆の線が一本ちょろんと出ているのを見つけ、本当だ!と喜んでいる子がいた。


12/2『ふとっちょねこ』 ジャック・ケント 訳:まえざわあきえ 朔北社

この話に出てくるねこは、出会う人々をどんどん食べる。ページを捲るたびに、ねこが新たな誰かに出会うたびに「わあ!また食べられちゃう!」と、どよめきが広がった。 繰り返しの展開は、やっぱり面白い。


12/4『はらぺこサンタのクリスマス』 はらぺこめがね ほるぷ出版

ちょっと早いかもしれないが、12月に入ったので、サンタの絵本を選んだ。 空腹のサンタが行く先々で色んなものを食べ物に見間違えるお話。おいしそうな絵が描かれている。「お腹が空く4時間目に読まなくてよかった」という声を聞いて笑ってしまった。


12/5『アンパンマンのサンタクロース』やなせたかし フレーベル館

給食中に『アンパンマンマーチ』がかかると、「ひえー!赤ちゃんかよー」と、馬鹿にしたように笑う子がいる。

(多分キミも、もっと小さかった頃、このヒーローに夢中だったんじゃないのかい。世の中の子どもを育てる大人が、どれだけこのヒーローに救われているか知ってるかい)

彼らの様子をぼんやりと眺めながら給食を飲み込み、そんなことを考えていた。
クリスマス縛りの選書が続いているので、せっかくだから三年生相手にアンパンマンを選んだ。表紙を見せるやいなや「アンパン…マン…?」と困惑していた。読んだ後は、やなせたかしさんや歌の背景について力説してみた。

一生懸命伝えたつもりだが、皆、分かったような、分かっていないような顔をしていた。
「なんか、久しぶりだった!」という感想を聞くことができた。
定期的に、アンパンマン、また読もうと思う。



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以上、教室で読みきかせをした本15冊でした。
クリスマス、お正月…と、行事が多い季節。ぜひ、行事の絵本を手にとってみてはいかがでしょうか。


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