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ワイン造りの現場で起きる、「いろんなこと」について。

ワイン造りの現場では、「いろんなこと」が起こります。

たとえば「なぜか発酵がはじまらない!」なんていう大ピンチや、「おかしい。スパークリングになってない…」という絶望感。

発泡確認はいつもドキドキです

さらに、「ちょっと目を離したら、いつの間にか濾過が止まってた………」なんていう衝撃、などなど、これらは誰が聞いてもわかりやすく『ヤバい』、いろんなこと。

でも実は、ワイン造りの現場で起こる「いろんなこと」って、こういうド派手な゙『ヤバい』やつ、ばかりじゃないんです。

ささやかな「いろんなこと」の積み重なり。

今日はそんな「ちょっと地味」なワイナリーの日常を、東京都台東区にあるワイナリー『葡蔵人 ~Book Road~』で働く新人🔰マイコがお伝えします。

先日ブックロードでは、アジロンダックの仕込みをおこないました。

2022は「白ラベル」でした

アジロンダックといえば、知る人ぞ知るブックロードの看板ワイン。

ブックロードが最初に醸造したワインであり、以来大切に毎年醸造を続けている、ブックロードの「顔」ともいえるワインです。

醸造家須合がワイン造りの研修先を探して、勝沼のまちに降り立ったのは、今から8年前。

「わたしがワイナリー、やります!」と手を上げたはいいものの、そこから先にレールが敷かれていたわけではありませんでした。

まずは、どこから、なにを、どうすればよいのか。一体どうすればワインが「造れる」のか。誰かが教えてくれるわけでもなかったそう。

とにもかくにも、どうにかせねばと考えた須合。「ワインがたくさん生まれる場所に行ってみよう」というイノセントな想いで、山梨県の勝沼町にむかいます。

そこで出会ったのが、のちに醸造家須合を研修生として迎え入れてくれる、マルサン葡萄酒さんでした。

わたしも一度、立ち寄ったことがあります

ワイナリーで出された「アジロンダック」をひとくち飲んで、須合は驚いたそうです。「こんなおもしろいワインもあるんだ?!

香りは煮詰めたジャムのように華やかで甘く、飲んでみると、スッキリ爽やか。

アジロンダックはその豊かな、ときに、豊かすぎるほどの甘い香りがゆえに、甘口に仕上げられることも多い品種です。

ところがここマルサン葡萄酒さんでは、それを「ドライ」な゙仕上がりにされています。

こんなおもしろいワインもある。これが、ワインの世界ーー

「あのー、わたし、東京でワインを造りたいんですが………」

こうしてブックロードの長い長い物語は、小さな一歩を踏み出したのでした。

さて、そこから8年。今年もブックロードに、たくさんのアジロンたちが到着しました。

本来「ワイナリー」といえば、秋にブドウを仕込むことがほとんど。収穫されたブドウが悪くなる前に、すべてワインにしてしまうのです。

ところがわたしたち都市型ワイナリーは、ブドウを一度に仕込むことができません。なにせ面積が狭いため、タンクをこれ以上増やすことができないのです。このため、ここから先は、冷凍保存されたブドウで醸造をおこなっていきます。

繁忙期の秋が終わり、北半球のワイナリーのほとんどすべてのみなさんがほっと息をついている頃。わたしたちは日夜せっせと、ワインを造り続けています。


さてブドウが届くと、まず行われるのは「除梗」の工程です。これは、ブドウの実と茎を、機械でばらばらにしていく過程。

15キロ分のブドウが入ったケースを持ち上げては、除梗機へ。これがとにかく、重いんですよ。

ブドウを入れるのはすべて手作業
カメラを向けるとこの笑顔!

と、ここで、隣でケースを洗い続けていた新人マイコに、醸造家から新しい指示がはいります。

「マイちゃん、見て。これさあ、ほんとは茎だけが入るはずの袋なんだけど………………」

んん??どれどれ……?

茎だけ…………?

「実がたくさん出てきちゃってもったいないから、茎と実を選り分けておいてください」

なんと…!除梗機、除梗できてない。なぜだ。きみの機械としての役割どこいった。一体なにが起こってるんですか?

「ん〜、わからないんだけど、ときどきこういうことがあるんだよね…」

やりましょう

というわけで、せっせと人力で茎を選り分けていくことに。

なおこのブドウは凍結ブドウ、つまり、凍っているわけで、季節は、冬なわけで、ほとんど氷をつかむのと、同じなわけで…………おぉ、ぶるぶる

手袋を二重にし、ときどきお湯で指先をあたためながら、せっせと選り分けていったのでした。

だいぶ綺麗になったかしら

ワイン造りは、いろんなことが起こります。

そう聞くと、わたしたちはつい、ド派手な「いろんなこと」に思いを馳せてしまいます。

けれど、現場ではこんな地味なことーーたとえば、茎がなぜかばらけないとか、タンクからじわじわワインが染み出しちゃうとか、モーターが重くて持ち上がらないとか、うっかり機械の部品を曲げちゃったとか…………そういう、たくさんのささやかな「いろんなこと」が、日々積み上げられていくのです。

普段は話題にもあがらない、過ぎれば忘れてしまうようなささやかな「いろんなこと」が、ワイン造りの根底には流れています。

だからこそ、ワインはおもしろい。

同じじゃないから、また出会いたくなる。

そんな「地味な」ワイン造りを、わたしたちはこれからも、面白おかしく楽しんで続けていきたいと思っているのでした🍷

さあ、歳末がせまってまいりました!

暮れのご挨拶に、年末年始のイベントに、ブックロードのワインをぜひ!おともさせてくださいね♪

ここから新しいワインが、続々出てきますよ〜!お楽しみに!😉

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葡蔵人~Book Road~ワイナリー

東京の下町にある小さなワイナリー。醸造所を通して、葡萄と人とがつながって幸せになって欲しいという願いから「葡蔵人」と名付けました。だからこそ国産のぶどうにこだわり、日々の生活に寄り添う“笑顔になれる”ワインを造っています!

【アクセス】
東京都台東区台東3-40-2 最寄り駅:JR「御徒町」駅、日比谷線「仲御徒町」駅

【営業時間】
◆ワイナリー(販売・試飲・タップスパークリング)
月・火・木・金(※水曜日定休日)12:00~15:00、17:00~19:30
土・日・祝 12:00~17:00
◆レストラン
[ランチ]木・金・土・日 11:00~14:00(L.O)
[ディナー]木・金・土 18:00~21:00 ※TAPスパークリング月会員様限定(予約のみ)

▼ 詳しくは、ホームページや各種SNSをご覧ください♪

ホームページ:https://www.bookroad.tokyo/
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