『嫌われる勇気』岸見一郎、古賀史健

概要　🎧

『嫌われる勇気』は、自己啓発書というジャンルに入ります。この本は、アドラーという心理学者の考えを元にして、「どうすれば自分らしく生きられるか」ということを教えてくれます。

本の中では、哲人（知識が豊富な人）と青年が対話をしながら話が進みます。青年は、他の人から嫌われるのが怖くて、自分らしく生きられないと悩んでいます。そこで哲人は、「人は他の人の期待を気にしすぎないで、自分が本当にやりたいことをやるべきだ」という考えを教えます。

特に「嫌われることを恐れないで、自分の人生を生きることが大切だ」と強調しています。また、「すべての悩みは人間関係の悩み」という話や、「自分の課題と他人の課題をしっかり分ける」というアドバイスも含まれています。

この本は、悩んでいる人や自分の生き方に自信がない人に向けて、自分らしく生きるためのヒントをくれる一冊です。

本のジャンル

自己啓発

要約

『嫌われる勇気』は、アドラー心理学をもとにした自己啓発の本です。アドラー心理学は、人の悩みのすべては「対人関係」から生じると考えます。この本では、その悩みをどう乗り越えて自分らしく生きるかについて書かれています。

まず、アドラー心理学では、私たちが他人との関係で悩むのは、「承認欲求」、つまり他人に認められたいという気持ちを持っているからだと言います。この欲求があるからこそ、他人からの評価や期待に縛られてしまい、本当の自分を抑えてしまうのです。その結果、私たちは自分らしい生き方ができなくなり、他人に合わせて生きることになります。

アドラー心理学では、この悩みを解決するために「承認欲求を捨てなさい」と説いています。つまり、他人にどう思われるかを気にするのではなく、自分が本当にやりたいことを大切にし、自分のために生きることが大切だと言うのです。

また、アドラーは「課題の分離」という考え方も大事だとしています。これは、問題が起こったときに、その問題が「自分の課題」なのか「他人の課題」なのかを見極めるということです。たとえば、他人がどう感じるかやどう行動するかは他人の課題であり、それに対して自分が何かを強制するのは良くないということです。自分の課題と他人の課題をしっかりと区別し、他人の課題に口を出さず、自分の課題に集中することで、対人関係の悩みを減らせるとアドラーは主張しています。

たとえば、職場の上司に認められたい、家族にもっと大事にされたいといった気持ちは「承認欲求」から来ていますが、アドラーの考え方では、他人が自分をどう思うかは「他人の課題」であり、自分ではどうしようもないことだと考えます。他人の評価を気にするのではなく、自分のやりたいことをすることで、本当の自由が手に入るというのがアドラーの教えです。

しかし、ここで問題になるのは、果たして「承認欲求」を本当に捨てられるのかということです。アドラー心理学は「承認欲求を捨てることで自由になれる」と言いますが、進化論的な観点から見ると、それは簡単ではないかもしれません。

進化論では、人間は集団で生き残るために「他人に認められたい」という気持ち、つまり承認欲求を持っていると考えます。昔の人間は集団で協力し合いながら狩りをしたり、食料を分け合ったりして生き延びてきました。もし、集団の中で他人に認められなければ、集団から追い出されてしまい、生き残ることができなかったでしょう。だからこそ、私たちの祖先は他人に認められるために努力し、その結果として私たちの中にも承認欲求が強く残っているのです。

このように、承認欲求は私たちが生き残るために進化の過程で得た重要な感情です。だからこそ、アドラーが言うように「承認欲求を捨てる」というのはとても難しいことかもしれません。もし、本当に承認欲求を捨ててしまえば、集団の中で浮いてしまい、対人関係が崩れてしまう可能性があります。

つまり、アドラーが言う「承認欲求を捨てて自分らしく生きる」という考えは理想的ですが、進化論的に見ると、実際にはそれが非常に難しいのではないかという意見もあります。承認欲求は私たちの本能的な感情の一部であり、それを完全に無くすことは難しいかもしれないのです。

結局のところ、アドラー心理学は人間関係をスムーズにするための一つの考え方ですが、進化論の視点から見ると、それを実現するのは難しいということがわかります。だからこそ、「承認欲求を持つことは悪いことではない」とも考えられるかもしれません。他人に認められることで自信を持ち、社会の中で自分の居場所を見つけるのも一つの大切な生き方です。

要するに、『嫌われる勇気』は私たちに「他人の目を気にせず、自分の人生を生きよう」と教えてくれる本ですが、それを実践するのは簡単ではないということです。それでも、この本を通じて、自分の生き方や考え方を見直すきっかけを得ることができるかもしれません。

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え

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