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『ジャーニーシフト デジタル社会を生き抜く前提条件』藤井 保文
概要
『ジャーニーシフト デジタル社会を生き抜く前提条件』は、デジタル時代において顧客提供価値がどのように変化しているかを描いた一冊です。これまでの「モノや情報の提供」から、「行動支援」へとシフトする企業の価値のあり方を具体例を交えながら解説しています。著者の藤井保文さんは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性を説いた「アフターデジタル」シリーズで知られ、本書ではその集大成として、より具体的な行動支援型のビジネスモデルへの移行を提案しています。特に、Web3やメタバースといった新技術がもたらす「意味性の進化」と「利便性の進化」を整理し、企業や個人が混乱しがちな時代のバズワードを正しく理解し、行動を起こすためのコンパスとなる内容が詰まっています。
本のジャンル
ビジネス、テクノロジー、ポジティブシンキング
要約
1. ジャーニーシフトとは何か
ジャーニーシフトは、顧客提供価値が「モノや情報」から「行動支援」へと進化していることを示す概念です。これまでの企業は、商品や情報を届けることで顧客に価値を提供していました。しかし、デジタル時代では、それが顧客の行動を支援し、成功体験を生み出すものでなければ、価値を感じてもらえない時代になっています。
たとえば、これまでは商品を購入することで終わりだった顧客体験が、今ではその商品を使って「どのような成果が得られるのか」が重視されます。たとえば、フィットネスジムがただ設備を提供するのではなく、アプリを通じてトレーニング計画や食事管理をサポートする仕組みを提供することが求められるのです。
2. DXとジャーニーシフトの関連性
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、単なるデジタル化ではなく、企業が顧客体験を中心に据えたビジネスモデルを作ることを意味します。この中でジャーニーシフトは、顧客の行動支援を主軸に置いた価値創造の方法を提案します。
たとえば、ECサイトを運営する企業が商品の販売だけでなく、購入後の使い方やコミュニティの形成を支援することを考えてみてください。これにより顧客は、購入体験を超えた「満足感」や「成功体験」を得ることができ、それが企業の持続的な成長につながります。
3. 意味性と利便性の進化
本書で重要視されているのが、顧客体験の「意味性」と「利便性」の進化です。
• 利便性の進化
利便性は、不便を解消し、効率性を高めるものです。例として、UberやAmazonのように、簡単で迅速なサービスが挙げられます。これらは顧客に時間や手間の節約を提供することで価値を生み出しています。
• 意味性の進化
意味性は、自分らしさや独自性を重視した価値です。たとえば、オーダーメイドのジュエリーや、希少価値の高い限定品は、意味性を高める典型的な例です。企業は、顧客がその商品を選ぶ理由を「ストーリー」や「共感」を通じて伝えることで、強いブランド価値を築くことができます。
この2つの進化は、どちらか一方ではなく、両方をバランスよく組み合わせることが重要です。たとえば、Appleは洗練されたデザイン(意味性)と使いやすさ(利便性)の両方を追求することで、圧倒的な顧客支持を得ています。
4. 世界の事例から学ぶ
著者は、インドネシアや中国などの新興国が、デジタル技術を活用して行動支援型のサービスを生み出している事例を紹介しています。たとえば、インドネシアのGo-Jekは、単なる配車アプリから始まりましたが、現在では決済やショッピングなど多岐にわたるサービスを提供しています。これにより、顧客の日常生活全体を支援するエコシステムを構築しています。
日本は、こうした新興国に比べてデジタル化が遅れていると指摘されていますが、細部へのこだわりや品質の高さといった強みを活かすことで、独自の価値を提供できる可能性があります。
5. 日本がデジタル後進国から脱却するために
日本がデジタル社会で競争力を高めるためには、以下の点が重要です。
1. 目的を明確にする
日本企業は、効率性の追求に長けていますが、それだけではなく、顧客の成功体験を目的としたサービス設計が必要です。
2. プロセスの再設計
既存のプロセスを見直し、行動支援を中心とした仕組み作りを行う必要があります。
3. データの活用
顧客の行動データを収集・分析し、それをもとにサービスを最適化する能力が求められます。
まとめと感想
『ジャーニーシフト デジタル社会を生き抜く前提条件』は、これからの時代を生き抜くために必要な視点を提供してくれる貴重な一冊です。デジタル化が進む中で、単に商品やサービスを提供するだけでなく、顧客の行動を支援し、成功体験をもたらすことの重要性を深く理解できました。
特に、意味性と利便性の進化という考え方は、ビジネスだけでなく私たちの日常生活にも応用できる内容です。本書は、新興国や国内外の具体的な事例を通じて、日本企業が持つ可能性や課題を明確に示してくれています。
口コミでも高い評価を得ており、ネット上でも「目から鱗」「現代社会の必読書」といったコメントが多く見受けられます。この本を通じて、時代に合わせた新しい価値観を身に着けたい方におすすめです。
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