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『科学的根拠に基づく最高の勉強法』安川 康介

概要

「科学的根拠に基づく最高の勉強法」は、最新の研究成果に基づいた最も効果的な勉強法を紹介する本です。著者の安川 康介さんは、慶應義塾大学医学部を卒業し、南フロリダ大学医学部で助教授を務める医学者です。アメリカの医師国家試験にトップ1%の成績で合格した経験を持つ彼が、自ら実践した科学的根拠に基づく勉強法のノウハウをまとめています。学生から社会人まで、効率よく学びたい全ての人に役立つ内容が詰まっています。本書では、従来の非効率な勉強法から、最新の研究で効果が証明された勉強法まで具体的に解説しています。

本のジャンル

自己啓発、ビジネス、メンタル・マインドフルネス

要約

本書の中心テーマは、従来の勉強法がいかに非効率で、最新の研究に基づく方法がいかに効果的であるかを示すことです。まず、多くの人が行っている「ダメな勉強法」として以下の3つが紹介されています。

1. 繰り返し何度も読む
読み返しによる勉強は一見効果的に思えますが、実は脳への負荷が少ないため、記憶の定着にはあまり寄与しません。何度も同じ文章を読むことで、「勉強した」という達成感は得られるかもしれませんが、実際には内容を深く理解することができません。これはまるで、筋トレで軽いダンベルばかり持ち上げるようなもので、負荷が少なく効果が薄いのです。

2. ノートに書き写す
ノートをきれいにまとめる作業もまた、勉強した気になるだけの行為です。重要なのは情報を自分の言葉で整理することですが、単に書き写すだけでは思考が深まらず、学習効果は期待できません。これは、調理法を知らずにただレシピをコピーするようなもので、実際に料理を作ってみることとは大きな違いがあります。

3. ハイライトや下線を引く
重要な部分にハイライトを引いたり、下線を引いたりすることは一見、効果的に見えるかもしれませんが、これもまた実際には記憶を深めるための負荷がかかっていません。強調することで内容に注目しているように感じますが、情報を脳に定着させるには十分ではありません。

これらの方法が効果的でない理由は、脳に強い負荷をかけることができないためです。勉強の際には適度な負荷をかけることで記憶が定着しやすくなるため、より効果的な方法を取り入れる必要があります。そこで、本書が推奨する「効果の高い勉強法」について紹介します。

効果的な勉強法

1. アクティブ・リコール
アクティブ・リコールとは、学習した内容を自分の力で思い出す練習です。これは、単に情報を読むのではなく、覚えた内容を何も見ずに思い出すことで脳に負荷をかけ、記憶を強化します。具体的には、白紙の紙に覚えた内容を書き出したり、誰かに教えるつもりで声に出して説明したりすることが有効です。たとえば、英単語を覚える際には、単語を見ずにその意味を説明したり、紙に書き出したりする方法が効果的です。この方法は、勉強の直後には「本当に覚えたのか?」と不安になることがあるかもしれませんが、繰り返すことで徐々に効果が実感できるようになります。これは、筋トレで筋肉に負荷をかけることで筋力が向上するのと同じ原理です。

2. 分散学習
分散学習は、長時間連続して勉強するのではなく、短い時間に分けて学習を行う方法です。例えば、1日3時間連続して学ぶのではなく、1時間ずつ3日に分けて学ぶといった形です。分散学習の効果が高い理由は、脳が情報を徐々に忘れる性質を持っているためです。何度も繰り返して学習することで、脳に「これは重要な情報だ」と認識させ、記憶の定着を図ることができます。著者の安川さんは、新しい情報を学ぶ際には、最初は短い間隔で復習し、その後、徐々に間隔を延ばしていくことを推奨しています。例えば、1日後に復習し、次に2日後、その次に4日後といった具合です。

3. インターリービング
インターリービングとは、異なるトピックを交互に学ぶ方法です。たとえば、数学の問題を解く際に、同じ種類の問題ばかりを解くのではなく、異なる種類の問題を組み合わせて学ぶことです。これにより、学習中に異なる問題解決方法を考える必要が生じ、脳に負荷がかかります。南フロリダ大学で行われた実験では、インターリービングを取り入れた学習法の方が、同じ内容を繰り返し学ぶよりも高い効果を上げたことが示されています。ただし、インターリービングには注意が必要で、全く関連のない分野を混ぜて学習するのは効果が薄いため、ある程度関連性のある内容を混ぜて学習することが推奨されます。

連続的再学習のすすめ

本書では、アクティブ・リコールと分散学習を組み合わせた「連続的再学習」が最も効果的な勉強法として紹介されています。連続的再学習とは、一定の間隔を空けながらアクティブ・リコールを行う方法です。例えば、英単語を学ぶ場合、まず単語の意味を覚えてアクティブ・リコールを行い、その後、1日置いて再度同じ手順を繰り返します。このプロセスを何度も繰り返すことで、記憶の定着が大幅に向上します。

具体的な手順としては、以下のような流れが推奨されます。

①単語の意味を覚える。
②覚えた内容を何も見ずに思い出す(アクティブ・リコール)。
③翌日または数日後に再度アクティブ・リコールを行う。
④記憶が定着するまでこのプロセスを繰り返す。

まとめと感想

「科学的根拠に基づく最高の勉強法」は、私たちの学び方に革命をもたらす一冊です。従来の勉強法がいかに効果が低いかを実感させられると同時に、最新の科学に基づいた方法で効果的な学習ができることを教えてくれます。忙しい社会人にとっても、効率的に学ぶことが求められる現代において、本書の内容は非常に役立ちます。特に、アクティブ・リコールや分散学習のような方法は、短時間での学習効果を最大限に高める方法としてすぐにでも実践可能です。

この本を手に取ることで、ただ時間を費やすだけの勉強法から脱却し、より効率的で実践的な方法で学びを深めることができるでしょう。忙しい日々の中で少しずつでも勉強法を改善したい方にとって、この本は必ず役立つ一冊となるはずです。勉強の新しいアプローチを試してみたい方、今の勉強法に限界を感じている方にとっては、大きな助けとなることでしょう。

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