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『エブリシング・バブル終わりと始まり:地政学とマネーの未来2024-2025』エミン・ユルマズ

概要

エミン・ユルマズさんの著書『エブリシング・バブル終わりと始まり』は、日本経済の未来を明るい視点で描いた作品です。著者は2024年以降の地政学的な変化が、経済に大きな影響を与えると述べています。アメリカと中国の冷戦、少子化やインフレ、そしてAIの進化が複雑に絡み合い、日本が新たな経済成長期に入る可能性を論じています。特に、日経平均株価が2050年までに30万円に達するという大胆な予測が本書の目玉です。具体的には、中国経済の失速や世界的なインフレ傾向、環境意識の高まり(グリーンフレーション)など、さまざまな要因が日本にとって追い風になるとしています。この本は、経済や投資、社会変動に興味のある人にとって、実践的で知的な刺激を与える内容です。

本のジャンル

経済、投資・マネー

要約

1. 日本経済はなぜ再び輝くのか

地政学的な転換:アメリカと中国の冷戦の影響

著者は、現在進行中のアメリカと中国の冷戦が日本経済を大きく押し上げると述べています。歴史を振り返ると、アメリカとソ連の冷戦時代(1947年~1989年)、日本はアメリカから経済的な支援を受け、成長を遂げました。同様に、アメリカと中国の対立が続く限り、アメリカは日本を経済的・戦略的に支える立場にあると著者は指摘します。

また、中国経済が抱える問題も日本にとって有利に働きます。不動産バブルの崩壊、人口減少、地政学的リスクの高まりなど、中国からの資本逃避が起きています。その資本が日本に流れ込み、日本企業への投資や日本製品の需要を押し上げる構造が形成されています。実際、台湾のTSMCが熊本に新工場を設立するなど、日本への投資の流れが顕著です。

2. インフレの時代:好循環が日本を救う

インフレは悪いことばかりではない

著者は、日本がインフレ時代に突入し、これが経済の成長を促すとしています。インフレとは物価が上がる現象ですが、それと同時に企業収益も増加し、賃金が上がる好循環を生む可能性があります。例えば、アメリカではラーメン1杯の価格が3000円にもなる一方、時給が5000円以上になっています。このように賃金上昇が物価上昇を上回れば、インフレは経済を活性化する要因になります。

インフレを促進する3つの要因

①中国からの脱却
多くの企業が中国以外での生産を選択しており、これが生産コストの上昇を引き起こします。著者は、この動きが長期的なインフレの要因になると述べています。

②世界的な人手不足
人口減少が進む中、労働力の不足が賃金上昇をもたらします。これにより、物価が上がる一方、労働者の購買力が向上します。

③環境への配慮(グリーンフレーション)
環境に配慮した生産活動(例:脱炭素化、再生可能エネルギーの活用)は、生産コストを押し上げる要因となります。この「グリーンフレーション」は、持続可能な社会の実現と経済成長を両立させる鍵になります。

3. 日本の割安な株と投資のチャンス

株式市場の魅力:割安な日本株

著者は、日本株が世界の投資家から注目を集める理由を解説しています。アメリカの株式市場(S&P500)と比べ、日本のTOPIXにはまだ割安な銘柄が多く残されています。特に、PBR(株価純資産倍率)が低い企業は、投資家にとって大きな魅力です。例えば、任天堂やトヨタ、カプコンなど、世界的に有名な企業が多数存在する一方で、それらの株価はまだ伸びしろがあるとされています。

また、著名な投資家ウォーレン・バフェットが日本の商社株に大規模な投資を行ったことも、世界的な注目を集めるきっかけになっています。著者は、これからの日本株はグローバル市場で高く評価されるようになると予測しています。

4. 少子化とAIの時代:日本の優位性

少子化はピンチではなくチャンス

日本は少子化が進んでいますが、著者はこれを悲観的に捉えていません。むしろ、AI(人工知能)の進化が少子化を補完し、生産性を高める可能性があると述べています。AIによる労働の効率化が進む中、人口が多い国では失業問題が深刻化する一方、日本のような少子化社会ではその影響が最小限に抑えられるとしています。

さらに、AIの進化によって生じる余剰価値を活用し、経済全体の効率を高めることで、日本は再び経済大国としての地位を確立できると著者は主張しています。

5. これから私たちがやるべきこと

金融資産の分散

インフレ時代には、現金の価値が目減りするため、株式、不動産、金などの金融資産に投資することが重要です。特に、著者が予測するように日経平均株価が上昇するなら、日本株への投資は魅力的な選択肢です。

スキルアップとリスキリング

AIの進化により、単純作業が自動化される時代に備えるため、自分ならではのスキルを身につけることが求められます。創造性や人間らしさが求められる仕事が、これからの時代の強みになります。

まとめと感想

本書は、日本経済の未来に希望を与えてくれる一冊です。著者は、過去の経済のサイクルや現在の地政学的状況を分析し、日本が再び成長期に入る理由をわかりやすく解説しています。特に、少子化やAIの進化、グリーンフレーションといった現代的な課題をプラスに捉える視点が新鮮でした。

また、実践的なアドバイスとして、金融資産の運用やリスキリングの重要性が具体的に示されており、これからの時代に必要な知識を学ぶことができます。ネット上の口コミでも評価が高く、経済や投資に興味がある方には必読の一冊です。ぜひリンクから内容を確認してみてください。

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