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『世界と日本経済大予測2025-26』渡邉 哲也

概要

本書『世界と日本経済大予測2025-26』は、経済評論家の渡邉哲也さんによる未来予測の一冊です。著者は数々の経済予測を的中させた実績があり、本書では特に2025年から2026年にかけての日本と世界経済における重要なテーマを解説しています。具体的には、「日経平均株価の動向」「生成AIバブルの崩壊」「安易な賃上げのリスク」という3つの主要トピックを中心に、経済や投資の観点から深く分析しています。また、今後のトランプ政権や中国経済の行方についても示唆があり、ビジネスパーソンだけでなく一般の読者にも役立つ内容が詰まっています。

本のジャンル

経済、投資・マネー、ビジネス

要約

日経平均株価の動向:新NISAがもたらす未来

2024年は日本経済にとって大きな転換期でした。日経平均株価は3月に4万円台を突破し、その後7月には4000円もの暴落を経験しましたが、これは短期的な変動であり、2025年以降の市場を示す重要な指標となりました。著者は、日経平均株価が2025年に一時的な調整局面を迎えながらも、将来的には5万円を超える可能性があると予測しています。

この背景には、新NISA制度の導入が大きく影響しています。2024年から開始された新NISA制度では、年間投資可能額が360万円に引き上げられ、これにより個人投資家が市場に参入する機会が増加。金融庁の資料によると、NISA口座数は約2323万件に達し、前年比で9%増加したとのことです。このような動向は、日経平均株価の長期的な上昇を支える要因となるでしょう。

NISAを始めた若い世代は「未来の経済の種」をまくようなものです。種をまいてすぐに収穫できなくても、時間が経てば大きな収穫を得ることができます。この積立投資が日本経済の土台を作り、日経平均株価の安定的な成長を支えるでしょう。

ただし、著者は政治の不安定さを警戒しています。例えば、2024年10月に誕生した石破内閣は基盤が弱く、長期的な安定政権にはならない可能性があると指摘しています。政治的混乱が続く場合、株価の上昇は一時的に抑制されるかもしれません。

生成AIバブルの崩壊:技術と現実のギャップ

生成AIは、2023年から2024年にかけて急速に注目を集めました。しかし、著者は生成AI市場に「バブルの兆候」があると警告しています。AI技術が進化を続ける一方で、開発に必要な膨大な電力や資金が大きな課題となっています。

例えば、テスラは生成AIへの多額の投資を行っていますが、現時点で期待される収益を生み出せていません。また、インテルはAI分野での経営効率化を目指して人員削減を発表しました。このような現状を見ると、生成AIは技術的には有望でも、経済的な持続可能性には疑問が残ると著者は述べています。

さらに、AIが大規模に導入されるには、電力供給の拡充が不可欠です。AI技術の普及が進むほど電力需要が高まり、既存のインフラがその需要に追いつかない可能性があります。この問題を解決するためには、再生可能エネルギーや電力効率化技術の開発が求められます。

生成AIはスポーツカーのような存在です。非常に速くて魅力的ですが、燃料(電力)がなければ動きません。この燃料供給が間に合わないと、スポーツカーがただの飾りになってしまう可能性があります。

著者はこの電力問題が投資の新しいチャンスを生むと示唆しています。たとえば、電力消費を抑える技術や電力供給を効率化するビジネスに注目することで、新たな投資先を見つけることができるかもしれません。

安易な賃上げのリスク:自動化が解決策になる

日本では人手不足が深刻な問題となっており、これを解決するために賃上げが進められています。しかし、著者は「安易な賃上げは命取りになる」と指摘しています。なぜなら、売上に見合わない賃上げは企業の収益を圧迫し、結果的に企業価値や株価を下落させる可能性があるからです。

一方で、自動化技術の導入はこの問題を解決する一つの手段です。例えば、飲食業界では調理ロボットやセルフレジの導入が進み、人件費を削減しつつ効率を上げる成功事例が増えています。このような取り組みは、賃上げによる負担を軽減し、企業の収益性を維持する助けとなります。

賃上げだけに頼る経営は、穴の開いたバケツに水を注ぐようなものです。いくら水を注いでもバケツが満杯になることはありません。穴を塞ぐ(自動化技術を導入する)ことで、初めてバケツが水で満たされるのです。

著者は、企業が長期的に成長するためには、単純な賃上げではなく、効率化と革新を進めることが重要であると強調しています。

まとめと感想

本書を読むと、未来を見据えた経済の動きをどう捉えるべきかが具体的に理解できます。特に、新NISAや生成AIに関する考察は、投資家にとって重要な視点を提供しています。また、賃上げと自動化のバランスについても、企業経営における実践的なアドバイスが満載です。

渡邉さんの鋭い洞察力とわかりやすい分析が光る一冊であり、これからの経済を考える上での必読書と言えるでしょう。ネット上でも高評価が多く、「未来のヒントが詰まっている」との口コミが目立っています。興味のある方は、ぜひ詳細をチェックしてみてください。

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