『とにかく仕組み化 ── 人の上に立ち続けるための思考法』安藤広大

概要

『とにかく仕組み化』は、属人化を防ぎ、組織全体を効率よく機能させるための「仕組み化」の重要性を解説するビジネス書です。本書では、リーダーやマネージャーが陥りがちな「自分で抱え込む働き方」を改め、仕組みを作り周囲を巻き込みながら成果を上げ続ける方法が具体的に述べられています。著者の安藤広大さんは、組織コンサルタントとして3500社以上に「式学」という組織論を導入しており、その経験を元に、仕組み化の基本ステップから実践までを丁寧に解説。本書は、リーダーシップに悩むすべての人に向けた「実践型の教科書」といえる一冊です。

本のジャンル

ビジネス、自己啓発

要約

仕組み化とは何か？

本書の冒頭で著者は、「会社の歯車になれ」と挑発的な言葉を投げかけます。このフレーズに込められた意図は、「仕組み化された組織の一部として機能することが、リーダーとしての成功の鍵である」ということです。多くの人は「自分にしかできない仕事」を目指しますが、それが属人化を招き、組織の非効率を生み出す原因になります。著者は、属人化を排除し、誰でも同じ結果を出せる仕組みを作ることで、組織がスムーズに動き続ける環境を作ることの重要性を強調しています。

仕組み化を理解するために、道路交通法の例を挙げています。信号や車線ルールがあるからこそ、私たちは安心して道路を利用できます。同様に、仕事にもルールや仕組みが必要であり、それが自由な働き方や成長を可能にします。

なぜ仕組み化が必要なのか

序章では、「仕組み化」を進める理由とその効果について述べています。著者は、仕組み化を進めるためには「性悪説に基づく発想」が重要だと語ります。人は本能的に楽をしたがる性質があるため、仕組みがなければ組織は属人化し、停滞してしまいます。

ソファでリラックスしてしまい読書が続かない人が、本棚をソファの前に置くことで読書習慣を自然と身につけられるようになる例を紹介。これは「環境設計」の一環であり、仕組み化の一例として挙げられています。

仕組み化を進めるための基本ステップとして、以下の5つが示されています。

1. 責任と権限を明確化する
2. 危機感を利用する
3. 比較と平等に配慮する
4. 企業理念を再認識する
5. 使命感を持つ

これらのステップが次の各章で詳しく解説されています。

責任と権限を手に入れる

責任と権限の明確化は、仕組み化の第一歩です。ここで著者は、「線引き」の重要性について語ります。責任と権限の曖昧さが組織の混乱を招く原因であるため、何を誰が決定するのかを事前に明確化する必要があります。

例えば、部屋探しでは、優先順位を明確にし、条件を絞ることでスムーズに選択ができます。しかし、仕事になるとこの線引きが曖昧になり、「全てを満たしたい」という欲望が混乱を生む原因になります。

具体的なアクション
• 良い権限と悪い権限を区別する
• 意思決定の責任を持つ
• 朝令暮改を恐れない柔軟性を持つ

危機感を利用する

危機感は、人や組織を動かす原動力になります。例えば、プロジェクトに締め切りを設けることで、適度なプレッシャーを与え、全員が集中して取り組む環境を作ることができます。

例えば、子供が店内を走り回るのを防ぐには、危険を避ける方法だけでなく、注目を与えることで問題行動を防ぐことができると述べています。同じように、社員には「なぜこの行動が必要なのか」を理解させ、危機感を共有することが大切です。

比較と平等に配慮する

人は比較されることで成長します。本章では、「成果を出した人を正当に評価する仕組み」の重要性が語られています。ただし、比較が行き過ぎて競争が過剰になると、組織の崩壊を招く可能性もあります。

お客様の前では私語を控え、閉店後にスタッフが楽しく話す職場環境が理想的な例として紹介されています。メリハリをつけることで、プロフェッショナリズムと楽しい職場の両立が可能になります。

企業理念の再認識

企業理念は、組織の方向性を示す羅針盤です。著者は、「企業理念を理解し、それに基づいて行動すること」が、仕組み化の成功につながると述べています。

自社の商品やサービスに反発する社員は、時間や労力を無駄にするため、企業理念に共感できる環境に身を置くべきだと語られています。

使命感を持つ

最終章では、チーム全体で大きな成果を上げるための方法が解説されています。ここでは「帰属意識」と「長期的な視点」が強調されています。

腕の良い釣り師が自分の技術を他者に教えることで、社会貢献と自己満足を同時に達成できるというエピソードが紹介されています。

まとめと感想

『とにかく仕組み化』は、現代のリーダーやマネージャーが直面する「属人化」や「非効率」を解決するための実践的な方法論が満載の一冊です。特に「責任と権限の明確化」や「危機感の活用」、「企業理念の再認識」は、日常業務にすぐに応用できる内容でした。また、著者の経験に基づいた具体例が豊富で、読者にとって非常に分かりやすい構成になっています。

口コミでも高評価を得ており、「組織運営に悩んでいる人の必読書」として広く支持されています。本書を通じて、仕組みを活用した効率的な働き方を学ぶことができるでしょう。詳細を知りたい方は以下のリンクをご覧ください。

とにかく仕組み化 ── 人の上に立ち続けるための思考法