曹丕になるなかれ
忖度なしで最注目カードについて語ります。
もうこれは一択です。Aブロックの鈴木みのるVSタイチ。ついにこの日が来たか!と。ファンは薄々感じていたと思いますが、去年ぐらいから明らかに鈴木軍がタイチ軍(聖帝軍)化しています。ツイッターでもタイチ選手と他のメンバーの絡みはしょっちゅうあるのに、なぜかボスだけは登場しない。仲間外れの「独り鈴木軍」なのです(一度ボスが控え目に「俺もいたけどな」とリプしたのをタイチ選手がスルーした記憶もあります)。去年みのるさんがG1の出場選手から外れて大激怒していた時に、タイチ選手が「見苦しいな」とつぶやいたこともあります。誰が、の部分をぼかしていたことで逆に印象に残っています。最近だと大阪城のタッグ王座奪取後の会見で「俺ら五人でやっていく」みたいなコメントを出したのも忘れられません(その場にいたのはタイチ、ザック、金丸、デスぺ、DOUKI)。神宮でみのるさんがベルトを獲った時も誰も祝福に来なかったですし。
そんなタイチ選手を見ていると「三国志」の曹操が慕っていた周の文王を思い出します。天下の三分の二を手中に収めていながらあえて反逆せず、殷に臣下として仕え続けた人です。文王の真意はどこにあったのか? 考え方は人それぞれだと思いますが、タイチ選手の内心を想像することで何やら浮かんでくるものがあります。
「下手に反逆してしんどい思いをするよりも、ボスが衰えて退くのを待つ方が丸く収まる」「多くのファンが自分をリーダーとして認知している事実に気づけば、ボスもその声を無視することはできない」「自分が鈴木軍から離れれば他のメンバーもどちらかにつかないといけなくなる。仲間たちと戦って無駄な血を流したくない」
つまり力ずくで天下を奪うのではなく、民意が自分を後押しするように仕向ける、向こうから平和的に禅譲される状況を作る。これが文王及びタイチ選手の戦略ではないでしょうか。文王の場合は息子の武王が戦を起こして殷を倒すのですが、曹操の息子曹丕は漢の献帝から位を譲られることですんなりと新王朝の帝になりました。タイチ選手が期待していたのはこの形だと思うのです。
でもそれは無理な話ですよね。みのるさんは年齢の話をされるのを誰よりも嫌う人ですから。いまが全盛期だという気概に溢れ、実際そう思わせるだけの凄まじい試合を見せてくれています。たとえ力の衰えを感じていたとしても、おとなしくボスの座を譲るような人じゃありません。もしかしたらタイチ選手は「いまの自分ならもうボスを倒せる。でもそれでは彼のプライドを傷つけてしまうから、向こうから自然に譲る形にしてあげよう」と考えていたかもしれません。でもみのるさんからしたら「勘違いするんじゃねえ。確かにずいぶんデカくなったが、まだまだおまえには負けねえよ!」というところじゃないでしょうか。
まあ全て私の妄想である可能性が高いんですけど(苦笑)、ぜひ多くのプロレスファンに見て欲しい一戦です。鈴木みのるVSタイチは、9月23日(水)北海道・北海道立総合体育センター 北海きたえーる大会で実現します! メインでもセミでもないけど、そんなことはどうでもいい。タイチ選手にはボスの座を譲られるのを首を長くして待つのではなく、力ずくですぐにでも奪い取って欲しい。そういう熱い野心を剥き出しにして欲しい。みのるさんもそれを望んでいるはずです。