読書メモ:トヨタの危機管理 どんな時代でも「黒字化」できる底力
まず、本書が発行されたのが2020年末というのがすごい。私なんてその頃、これからどうなるかな?いつ終わるかな?いつまで続くんだろう?お店で飲みたいなあ、ぐらいの認識しかなかった頃である。そんな時に大規模な対策を自律的に打ち出し、自社の売上に直接関わらないサポートもする。そして工場を動かせない期間があったにもかかわらず黒字を保つ。そして為された対策が取材されリアルタイムに連載され編集され書籍になる。このスピード感はすごいなあ。トヨタも野地さんもすごい。
三方よしとかwin-winというのはいわれる言葉ですが、そんなもんじゃない。数多くの苦難を潜り抜けてきた同社はそれをノウハウとして残し、かつ社会貢献や復帰支援などもセットで行ってきた。むしろまずそこを考えた。政府か!って突っ込みたくなるぐらいだ。これは経営理念とか会社のカルチャーとか、そういう文脈はもちろんあるのでしょうけど、このような人モノ金三拍子揃った行動を迅速にとれないでしょ、普通。本書で一番インパクトがあったのはそこである。百歩譲って、ワンマントップの鶴の一声と統率力であれば理解できるんだが。。むしろその逆で、役員決裁はおろか役員報告さえ要らないってどういうことなんだ。そしてそういうことに決めたのはトップなのである。ぶっ飛びすぎて、正直頭が追いついていない。ここに関してはどこかに言葉になっているのかなあ。
私にしては珍しく書籍の内容に関しての内容になってしまった。危機にあたっての保全の重要性やその動き、コロナ下での販売方法の変化についても触れられていたが、黒字を保ち、さらにそれ以降も売上を上げているのに何がどう寄与しているのか、そこに関してはこれだ、という言い方はされていなかった。これだけ多角化グローバルになっていると一言ではいえないでしょうか。とにもかくにも、
『トヨトミの野望』シリーズを読んだ印象で同社のイメージが固められてたので、心地よい混乱の中で面白く読めた一冊でありました。
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カバー画像:北京の渋滞事情