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魔女の本棚

さてさて、すっかり魔女キャラが定着してきたうちの母ですが(笑)、本日はそんな母の本棚の思い出を。
我が家は古い昔からの農家の家、という感じの建物でしたので、しきりはほぼ襖と障子、なんと言えばいいのか、部屋のぐるりを廊下と縁側で囲まれているような造りでした。子供用の本棚は、縁側に2つ、子供部屋になっていた部屋にスチール本棚が2つ。
応接間的な洋間に両親の全集系がドーンと並び、両親の部屋になっていた2階にそれ以外の文庫や単行本、といった感じでした。
改めて書いてみると、本だらけだな、ウチ。
洋間にあった全集系は筑摩の日本文学全集と出版社は忘れたけど世界文学全集、あと柳田國男全集は引っ張り出して読んでました。父親のものと思われる全集系は主に岩波の哲学、宗教系(往生要集とかそんなんです)だったのでその辺はスルー💦
やっぱり1番ちょこちょこ引っこ抜いて持って行ってたのは、2階の母の本棚ですね。私が読めるようになってからは2階に戻さなくなったりして、子供用本棚がだんだんカオスになっていってました(笑)。
まずたくさんあったのは井上靖。どうやらご本人の佇まいも含めて大好きだったようで、井上靖はとにかく薦められました。以前書いたとおり、『しろばんば』から薦められましたが、母の1番のお気に入りは『蒼き狼』でした。次点が『額田女王』かなあ。まあでもほぼほぼ全部薦められたんじゃないかと思うぐらい井上靖は推されました。
そして以前記事にした北杜夫はおそらく母はトーマス・マンの方が先で後から北杜夫を読んだんだろうと思います。ドイツ文学好きだし。トーマス・マンが好きだったのでツボに入って北杜夫もコンプリしたんじゃなかろうかと踏んでます。そんなわけで以前書いたような監修付きで北杜夫は薦められました。
遠藤周作も母経由で好きになった作家なので、遠藤周作もたくさんあったなあ。三島はエンタメに特化したラインナップでした。『潮騒』とかその辺は逆に私が買ったやつだったし。水上勉もほぼほぼ揃ってたか。芥川と中島敦も好きで、別で全集買ってたのがありました。筑摩のとは微妙に収録作品が違ってたから買ったんじゃなかろうかと。
あとは五木寛之もたくさんあったなあ。『青春の門』も全巻揃ってて、中学あたりで薦められたかな。下村湖人の『次郎物語』とか室生犀星の『杏っ子』とかも母からのおすすめでした。
臼井吉見の『安曇野』も全巻そろってたんですが、こちらは私は挫折💦今なら読めるかもしれないなあ、再挑戦してみようかなあ。
松本清張もメインどころは揃ってたけど、推理小説系は案外少なめだったかも。
その他でいうと人気の女流作家ですねえ。
円地文子、野上弥生子、有吉佐和子、宮尾登美子、田辺聖子、曽野綾子、三浦綾子、山崎豊子、永井路子etc……。
この辺りは読みやすくて私もよく読みました。でもここでも代表作よりも自分の好み優先でしたので、けっこう花柳界ものとか船場ものとかそっち系統のおすすめが多かったですねえ。円地文子なんかも『女帯』から薦められたし。山崎豊子も社会派小説がよくとりあげられますけど、『ぼんち』とかの船場もの、面白いですよ!有吉佐和子も『紀ノ川』とか『木瓜の花』とか面白かったなあ。野上弥生子は『迷路』が激推しでした。でもなあ、中学生に薦めるには重厚すぎるような気がしなくもないです。けっこう頑張って読んだ覚えが。大人になってから読み直した時にはガツっと引っ張り込まれたので、読む時期ってやっぱりあるなあ、と思います。
わりと素直に母のお薦めは読んでいましたが、それでもやっぱり好みの違いはありましたし、わー、無理ー!ってなったのもあります。前に出した『安曇野』もそうでしたけど、埴谷雄高は大学生になっても無理だったなあ。お恥ずかしい。
本棚にたくさんあったのはこんな感じの作家さん方ですが、買ってる量とは関係なく母の大のお気に入りは、ひろうすさんの記事のコメントでも書いたんですが、城山三郎『粗にして野だが婢ではない』、新田次郎『孤高の人』、ロマン・ロラン『ジャン・クリストフ』。伊丹十三の『女たちよ!』も激推しだったな、そういえば。特にロマン・ロランは暑苦しいほどのお薦め具合で、これだけは早く読め、早く読め、と読むまでうるさかった(笑)。とにかく大好きみたいで、いまだにうっとりしながらロマン・ロラン作品を語ることも。確かに面白いし海外文学にしては読みやすい部類ですが、私はそこまでのハマり方はしなかったので若干ご不満な様子。
自分が大好きな本に関しては結構圧が強かったので、本を飛ばしてくるイメージになっちゃいました(笑)。私が中学生になってお年玉とかで読みたい本を買ってくるようになってからは、その中で気に入った作家は母も買ったりしていたので、それはありがたかったなあ。わりと群ようこさんみたいな軽いものも好きで、群さんの本が一時期増殖したりしてました。
そんな感じなので、最近の作家や若手の作家が全然ダメというわけではないのですが、これまたコメントのお返事で書いたことですが、村上龍も村上春樹もどっちも苦手らしく、吉本ばななはいけるけど山田詠美はちょっと……とか微妙な好みの違いはありますね、やっぱり。
宮部みゆきとか東野圭吾はわりとすんなり受け入れてましたが、京極夏彦は「そんな分厚いのもうムリ!」とかいってました。いやいや、分冊されてるだけで似たようなボリュームの佐藤賢一は読むやないか、というツッコミを入れたくなりましたが(笑)。
そんなこんなでまとまりがあるようなないような(私も人のことは言えない💦)本の魔女こと母の本棚でしたが、逆にそれが楽しかったし良かったのかもしれないな、と思います。純文からエンタメ、時代小説まで幅広く取り揃えてありました。
そうそう、以前に書いた記事の『トリフィド時代』なんかもこの本棚から発掘してますから、ほんと、なんでもありな本棚。その上私が一人暮らし時代に本棚に納まりきらなくなってきたけど売りたくはない、という本を送りつけていたので、ますますカオスになってますが、本棚ってその方が楽しいですよね!(こじつけ)
うーん、母の魔女具合を書くつもりが、私も魔女に片足突っ込んでいる気がしてきた(笑)。

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