図書室に置いてほしいマンガ
子供の頃に読んだ本のことを書いていますが、もちろんマンガもたくさん読みました。
以前も樹なつみさんの『OZ』のことを書きましたが、本日もマンガのことを。
最初は姉が買っていた『りぼん』が始まりかな?その後『なかよし』も買ってもらうようになり、姉が中学に入ってからは友達から借りてくる『マーガレット』なんかも。
このあたりはThe 少女漫画、という感じで恋愛ものが多かった印象。その後親戚のお姉さんがくれるマンガで面白いのは白泉社だってことになって、『LaLa』に切り替わってだいぶ長いこと『LaLa』を読んでました。
それとは別に、マンガ文庫が出始めた頃に母が手塚治虫を買うようになったり、友達からのおススメや本屋さんで見かけて気になったものなどなど、本当にたくさん読んでました。
で、やっぱり名作と言われるものはほんとに名作だなあ、さすがだなあ、と思うものもたくさん。
市立や県立の公立図書館にはけっこうマンガがありますが、学校の図書室というと、マンガで読む歴史シリーズや偉人伝、あとは『はだしのゲン』ぐらいでしょうか?でも感性の鋭い年頃に読んどいた方がいいんじゃないかと思うマンガってたくさんありますよね。
というわけで図書室に置いて欲しいマンガ、という括りでいくつか挙げてみたいなと思います。
まずは手塚先生から。
『ブラックジャック』や『ブッダ』、『火の鳥』はもちろんなんですが、私としてはこの作品。
ヒトラーユダヤ人説を採ったこのマンガ。ドイツ人でヒトラーユーゲントに入るアドルフと、少年時代の友人だったユダヤ人のアドルフと、そしてもちろんアドルフ・ヒトラー。この3人のアドルフを巡る物語。
ゲシュタポや特高の残忍さや憎しみの連鎖、人間の愚かさ、弱さ、優しさ、そして人を愛すること。全てが詰まった名作です。戦争を考えるという面でもおすすめ。実際中学生で読みましたが、この衝撃はすごかったです。ところどころ手塚先生らしいユーモアも挟まれるのですが、全体的には重め。一つの文書を巡るミステリーとしても読み応えたっぷり。
たしか俳優座が舞台化していて、そちらのTV放映も見ました。舞台でどうやって演るんだろうと思いましたが、ギュッとお話を上手くまとめて、またラストシーンは秀逸でした!何も見えなくなるほどの閃光の後に、悲劇的な再会をした2人のアドルフの抱擁。あれはやられたなあ。これはぜひ図書室に置いてほしい。
正直手塚先生のは全集で置いてもいいぐらいだと思っているのですが、あえて絞るならもう一つはこれ。
権威主義との戦い、そして病や外見による偏見と差別、人としての尊厳と誇り、過酷な状況でも人を慈しみ愛するということ、そうしたもの全てがこれまたギューっと詰まった名作です。
解決はするけれど、それが救いとなるかどうかは微妙なところ。結局のところはその運命をどう受け止め、どう生きるか、自身にかかっているのだということを突きつけられるような作品です。
これもまた感性鋭い年齢で読んで欲しいマンガ。
あー、キリがなくなるから2作にしておこうと思うけど、あれもこれもと思ってしまうなあ。
『MW(ムウ)』や『奇子(あやこ)』なんかもいいけど、性描写がダメかもしれないなあ。『七色いんこ』はいけるかな。いや、やっぱり手塚先生は全集だな。
マンガで読む歴史シリーズがいいんなら、横山光輝の『三国志』も置いていいんじゃないかと思ったり。『史記』や『項羽と劉邦』も一緒に。まず『三国志』は文庫版でも30巻ですからねえ。個人で揃えるには気合いがいります(笑)。なのでリンク貼るのは控えます🤣
ちょっと顔で判別するのが難しいという欠点はありますが、上手にまとめてくださってるので、とっても読みやすくて頭に入りやすい。ひょっとしたら置いてる学校もあるかもしれないですね!
少女漫画からはやっぱり萩尾望都!
この奇跡のような短編は必読だと思うんですよね。
たった16ページで、少女のコンプレックスと愛憎、そして喪失を描くという離れ業をなさっているという。さすがです……。
もちろん『ポーの一族』や『トーマの心臓』といったガチガチの代表作もいいんですが、萩尾望都の短編はどれも恐ろしいほどの完成度なのでぜひぜひ短編を子供達に読んでほしい。マンガですが、もう文学と言っていい領域に入ってる。さすがのレジェンドです。
原作付きではあるけれど『百億の昼と千億の夜』もいい。ドラマ化された『イグアナの娘』や『残酷な神が支配する』といった毒親系も素晴らしいし、絵柄が古いとか小難しそうとか言わずに読んでほしいマンガですねえ。
本当は山岸涼子も入れたいところですが、こちらはさすがに学校の図書館に置くには過激かなあ。でも『天人唐草』は高校生あたりなら読んどいたほうがいいと思う。抑圧されて生きること、正しいと思っていたことをひっくり返されること。その時に自分をたもてるかどうか、その強さをどう得るか。そんなことも考えさせられたりするんですよね。
短編集は揃えて置いてほしいかも。『日出処の天子』も置いてほしいけど、どうだろうなあ。
ここまでに挙げたものからすると大分最近の作品になりますが、浦沢直樹の『マスター・キートン』。
元SASの考古学者、キートンが保険調査のバイトをしていて巻き込まれる事件の数々を描いた作品。考古学の蘊蓄がふんだんに盛り込まれていて歴史好きには楽しいマンガ。そして最終的には共産主義崩壊後の東欧のゴタゴタに巻き込まれていくという社会情勢も盛り込まれたり。1話完結型で読みやすいし、いろんな好奇心を突っついてくれるます。そして学ぶということはどういうことか、学問とは何か、という問いかけもあって、これもまた学生の間に読んでほしいマンガです。
あとヒューマンドラマ系で『家栽の人』もいいなあ。
少年審判が描かれる作品ですが、厳しさと優しさが同居していて、そして人を信じるということも描かれます。綺麗事だとか甘いだとかいう評価もあるかもしれませんが、人というのは完全な善でも悪でもない、そのグラデーションの中で生きていて、正しさや善というものをどう獲得していくかを考えさせられます。自分と同年代の問題を抱えた少年や少女たちがどう生き直す道を見つけていくか、そのことに触れてほしいなと思います。自分とは関わりのない世界、そうではなく、ひょっとすると踏み越えてしまうかもしれないぐらいの所にも少年犯罪はある。そして家裁ですから離婚などの家庭問題も扱われていて、そうした渦中で揺れ動く心や子供達の複雑な心理なども描かれているので、これもやはり大人になる前に読んでほしいと思ったりします。
ああ〜、また長くなってきた!
今日挙げているマンガは実際私が高校生までに読んだマンガです。私のころはマンガというだけで学校ではダメ!とされていた時代。ラノベですら学校で見つかると絵がマンガっぽいからという理由で取り上げられたりしてたなあ。
そんな狭量なことは言わず、心が柔らかいうちに触れた方が良さそうなものは手の届くところに置いといてあげた方がいいんじゃないかと思ったり。
『ベルばら』や『あさきゆめみし』なんかの王道はあえて外してみました。
最近のマンガでも『チ。』
や
『イノサン』
なんかもいいんじゃないかと。『イノサン』はダメか。でも高校生ならいいような?
ラノベなんかは最近は図書室に置いてるようなので、名作マンガもぜひ置いてほしいなあ〜。
などと妄想してみる回でした。
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