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美味しい本 3

寒くなりましたね!
寒い日にはあったかくて美味しいものが食べたくなる!ということで、美味しい本第3弾。
今回はキャラ文編にしてみたいと思います。

まず1作目は『弁当屋さんのおもてなし』(喜多みどり 角川文庫)。

恋人に二股をかけられて、傷心状態で北海道に転勤してきた千春。ストレスから食生活もいい加減な状態で胃を悪くしてしまっていました。そんな時にみつけたお弁当屋さん、「くま弁」。なんとなく入った千春はザンギ弁当を頼むのですが、出てきたのは鮭カマ弁当。不思議に思う千春ですが、店員のユウの言うままそのお弁当を持って帰って食べることになります。
そのお弁当は優しい味で弱っていた胃でもすんなり入っていき、すこし食べにくいカマをほぐして食べている間に千春の強張っていた心もなんとなく緩んでいきます。
食べる人の心に染み込むお弁当を作るユウの優しさに千春は次第に惹かれていき……。
といったようなお話です。
心に何かを抱えた人たち、何を食べたいのかもわからなくなるほど弱った心に効く優しいお弁当。
いいなあ、こんな弁当屋さんが近くにあったら通いたい、と思うようなお店。唐揚げなどの定番系も美味しそうだし、副菜で栄養もきちんと取れそう。季節のものを取り入れてメニューが変わっていくのも楽しいし、結構な飯テロ本です。
やっぱり人間食べるのって大事ですよね〜。ご飯が美味しいと思えたら、とりあえず大丈夫な気がしますからね。
あとお弁当を作るときの参考にもなります!ずっと作っているとどうしてもワンパターンになるし、彩もいい加減になっちゃうんですが、この本にはその手があったねえ!という副菜なんかも豊富に出てくるのでありがたいです。お弁当って一食として成立してるので、そのまま献立の参考にできるのもありがたいです。
こちらは千春とユウがメインのお話が6巻、その後に続編としてひょんなことからくま弁の新しいメンバーになる雪緒がメインのお話が4巻と計10巻で完結しています。
1冊1冊は薄くて読みやすい分量なのも読みやすくていいです!

2冊目は『ゆきうさぎのお品書き』(小湊悠貴 集英社オレンジ文庫)。

母を亡くしてから食が細くなってしまった大学生の碧。とうとう貧血で倒れてしまったところを「ゆきうさぎ」という小料理屋を営む男性、大樹に助けられます。彼の作ってくれた料理や食べっぷりに心惹かれた碧は、頼み込んでバイトをさせてもらうことにします。料理も教えてもらったり、お店の常連客や、お向かいの洋菓子店の兄妹、時折店に現れる猫と触れ合ううち、碧は次第に食欲と元気を取り戻していき、大樹のことも気になってきて……。
といったお話。
ゆきうさぎを舞台に、登場人物がそれぞれ成長していく物語です。
小料理屋さんのお話なので、昼の定食、夜は食事にも晩酌にもなるメニューが登場します。どれも本当に美味しそうなんですが、お料理の描写自体はあっさり目で、物珍しい料理が登場するということはあまりないんですが、全体的に優しいほっこりしたお話が多いので安心して読める作品です。
でもメンチカツとか肉じゃがとか普通のご飯ですけど結局食欲そそられますが(笑)
こちらも全10巻で完結しています。
表紙のイラストがイシヤマアズサさんでどの巻もほっこり美味しそうです。
ちなみにイシヤマアズサさんの『真夜中ごはん』(こちらは漫画。)もいいですよ!


そして3作目は『ひとり旅日和』(秋川滝美 角川文庫)。

秋川滝美さんといえば『居酒屋ぼったくり』シリーズですよね。

『居酒屋ぼったくり』も好きなんですが、ここはあえてこの作品。
都内に住むOLの梶倉日和は自分でも人見しり女王と自認するほどのコミュ障。就活全滅かと思いきや、ゼミの教授に紹介してもらった小宮山商店株式会社に入社するのですが、相性の悪い上司にことある毎に嫌味ったらしく叱責される日々。それを心配した社長がそれとなく話を聞いてくれて、グルメや旅系のSNSを見るのが趣味だという日和にひとり旅を勧めます。少し興味を持った日和が書店にガイドブックを見に行ったところ、偶然面倒見のいいサッパリした性格の先輩・麗華と会い旅のコツを教えてもらいます。
最初は日帰りから初めて徐々に距離を伸ばして泊まりの旅行にも行けるようになる日和。それに比例して以前よりも少し自分に自信を持てるようになっていき、少し気になる存在もでき始め……といったお話。
旅がテーマなので、色んな土地の美味しいものがでてきます。もちろん美味しいお酒も。
主人公が旅ビギナーなので、いわゆる知る人ぞ知る!みたいなものは出てきませんが、定番は定番でいいよなあ、と思うような内容。
熱海で鯵のひらき、仙台で牛タン、金沢おでんに鰤、ハントンライス。福岡では水炊き、博多ラーメン、餃子。
こうして並べるとなんだ、本当に普通だな、と思われるかもしれませんが、秋川滝美さんの本を読んだことのある方はお分かりになると思います。描写が尋常じゃなく美味しそうなんです。食べ物の描写が本当に上手な方なので、ぜひ読んでみてほしいです。くどくど書かないのにその食べ物の1番美味しそうなところをガツっと書いてくださるので食べたくなること請合い。お酒の知識も豊富なので出てくるお酒も飲んでみたくなります。
いわゆる旅小説みたいなものを期待して読むと肩透かしを食うかもしれませんが(日和が回るのは観光地もメジャーどころ)、1人きままな旅の良さは十分に味わえます!
こちらは単行本だと3冊目まで出ていて、文庫版の方は2冊出ています。

またまた長くなってしまいました。
でも多分性懲りも無く続くと思います!

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