映画『関心領域』の鑑賞記録
話題の映画『関心領域』を観てきました。
第2次世界大戦中のアウシュビッツ収容所のとなりに住む所長一家の話です。
映画ファン界隈?では話題だったり、知人にすすめられたこともありますが、個人的には、学生時代ヨーロッパ放浪時にアウシュビッツを訪れたこともあったので、観ようと思っていた映画ではありました。
思ったことについて書きたいと思います。
監督やプロダクションについて
まず、簡単に監督やプロダクションや配給会社について。
監督は、ユダヤ系イギリス人のジョナサン・グレイザーで、お話は同名小説もとにしています。アメリカ、イギリス、ポーランドの3カ国の共同製作で、国際的な配給はA24が行っています。
メインのキャストの俳優さん達は、ドイツ出身の俳優さんたちです。
監督のジョナサン・グレイザーは、過去に企業とタイアップをしたCM作成や、イギリスの有名ロックバンドRadiohead のMVの製作・監督に関わっており、例えばは、ジャミロクワイのVirtual Insanity のMVは、私の遠い記憶にもありました。(床が動いてみえるあのMVです。)
映画監督としては、ニコール・キッドマン主演の『記憶の棘』という映画が代表作の一つだそうです。
映像の描写について
映画『関心領域』は、アカデミー賞で音響効果賞を受賞するなど、映画の音響効果の面で評価がされていますが、重要なことの一つは、画面の中では凄惨な出来事はなにひとつとして起こっていないということです。
観客からみえる所で、凄惨な事は起こっていないという点は演劇的でもあり、実際に映画のレイティング(R-15など)がされていません。
塀の外で起こっていることは、視聴者の想像力に委ねられています。
私たちの関心領域は?
タイトルでもある『関心領域』ですが、確かにこの映画はアウシュビッツでのナチスによるホロコーストを描いた作品です。けれど、私達とは関係ないと言えるのでしょうか?
例えば、今日本から地理的に遠くとも続いている戦争のこと、北朝鮮での状況、もしかしたらもっと身近なことで、私たちが使っている製品での労働力の搾取だったり、誰かが犠牲になっている状況。「私たちの今が、壁の向こうの人の不幸の上に成り立っているのではないか。」と問いかけられているように感じました。
大人のコモンセンスを揺さぶるメッセージ性のある作品だと思いました。