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【本を出したい人に向けて 第2回】「仮タイトルが超重要な訳
そもそも仮タイトルってなに?
と思われた方が多数ではないでしょうか?
本を執筆したことのある方であれば、
「もしかしたら○○のことかな?」とイメージできるかもしれません。
これから本を出したいと考えている方、企画書を作りたいという方は
まだわからないかもしれませんが、とても重要なことなので、
是非押さえていただけたらと思います。
仮タイトルとは、簡単に言えば、企画会議に提出する時に
付されているタイトルです。
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企画の内容を表すもの、そして、その時点で売れそうだとおもって
もらうためにつけられるものとされています。そのタイトルがなぜ重要なのか本日は書いていきたいと思います。
「え? 企画会議で出すタイトルが本のタイトルとして
つけられるものではないの?」
そう思われた方が多数かもしれませんが、これは自信を持って言えますが、
「100%それはありえません」とお答えいたします。
ほとんどの出版社が本が出る前に、販促会議やタイトル会議があります。
「2か月後にでるこの企画、プロモーションプラン、そして
タイトルどうする?」
ということが会議でもまれるのです。
そして、たいがい、
「この企画のタイトルはこうだったけど、今のトレンドやバズワードに
もっと合わせたほうが…」
「キャッチのほうがパンチが強いので、タイトルとキャッチを入れ替えたほうが…」
「この著者であれば、メッセージ性の強いタイトルにしたほうが…」
などと営業部や宣伝部からアドバイスがあり、
変更となります。
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「え? 内容を知っている編集者がつけたタイトルで挑むべきでは?」
そう思われた方が多いと思うので、説明いたします。
本は初版3000部くらいであれば、原価が100~200万円くらいします。
それに比してキャッシュは300~400万円ほどしか入ってきません。
つまり、売れて重版しないと稼げないモデルです。
ということは、多くの部署がかかわって、タイトル決めをしないと
いけません。なんせ、タイトル次第で売り上げが変わる可能性もある
わけですから。
損益分岐点を超えられるか超えられないか、そんな重要なことを
メンバーの意見なしに、最初に決めたタイトル(仮タイトル)でいく、
それは経営的にまずいと思います。
もう一点考えられることとしては、結局著者と編集者の脳しか使わなければ、それだけの世界観であるということ。
経営、広報、宣伝、営業、マーケティングの脳が使われてこそ、
タイトルや企画の総合力は上がるのです。
もちろん「船頭多くして船山に上る」という事態は回避しなければ
ならないので注意は必要ですが。
「ということは、最初に決めたタイトルはあくまで仮。
だったら企画書のコンセプトや目次案をブラッシュアップしておけば
いいのかな?」
と割と多くの方が考えます。
そして「仮タイトルは編集者がかんがえればいいのでは?」
となって、パンチのない、力が入っていない企画タイトルがくることもよくあります。
実際よく言われたのが、「企画が通るようにタイトルは考えておいてください」
です。
しかし、待ってください。
仮タイトル本当に適当につけて大丈夫ですか?
「タイトルワークに失敗して、落ちるかもしれませんよ?」
ーえっ? 編集者はタイトルワークのプロでは?
わかりやすく2点に分けてお伝えします。
①確かにわれわれはタイトルのプロです。しかし、その本のコンテンツのプロではありません。
コンテンツのプロは著者。著者がどういう差別化をしたいのか? どういう人に届いてほしいのか?
そのあたりを編集者につたえなければ、いいタイトルにはなりません。
②われわれは日々類書研究でタイトルをめちゃくちゃ見ています。
無意識にそれらによってしまうケースが多数あると思います。
その場合パンチがありそうでないタイトルになることが予想されます。
『○○が9割』『教養としての○○』『武器としての○○』『○○の教科書』
などとよく見たタイトルにされてしまい、著者のエッジ、コンテンツのエッジがそぎ落とされるケースがあります。
「でも、それで会議にとおるのであれば、やはり丸投げを…」
という気持ちもわからなくはないので、1つ仮タイトルが超重要である訳を
新たに書きたいと思います。
仮タイトルの企画書が通り、
「やったこれで執筆できる」
「ライターさんに文章を依頼しよう」
となると思います。
その時、仮タイトルが自分でかんがえたものでない場合、
良い文章が書けるでしょうか?
たとえば、自分では、
『毎日100円投資すれば、10年後に○○万円の資産を築ける方法』
と考えていたとして、
編集者が
『1日1分やるだけで、10年後の資産を倍増させる方法』
と考え企画が通過した場合どうしますか?
1章 投資メンタルの磨き方
2章 おすすめ投資銘柄はこれ!
3章 まずはNISA講座を解説しよう
4章 NISA成長投資枠にも投資しよう
5章 投資するためのお金の作り方はこれ
6章 あとはほっとくだけでうまくいく
という目次が並んでいる場合、毎日100円と1日1分では
訴求や、やり方が結構変わってくると思います。
その場合、自身がやってきた経験、持っているノウハウ
思考とそぐわないものを書かなければならないケースが
想定されます。
書籍は1冊約6万字ほどあります。
それだけのものを自分が想定していなかった
書きぶりでいけるものでしょうか?
よしんばかけたとして、今の読者は本当にクレバーです。
そして情報取得ツールもたくさんあります。
読者を満足させられる情報を出すことができるでしょうか?
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ぼくは編集者としての経験はまだ4年しかありませんが、
これまで80冊近くの本を世に出してきました。その経験から
いえることは、執筆が途中で止まってしまうのは、
ほとんどこのケースであることが多いということです。
「このタイトルになるんですね? 了解です。書けます」
しかしふたを開けたら書けなかったというケースはざらに
あります。
仮タイトルを企画に通すためのタイトルと考えると
ここで痛い目をみるのです。
そして原稿ができなければ、タイトル会議にもマーケティング
会議にも行けません。
つまり「仮タイトルが超重要」ということなのです。
「企画をまずは通せ」という思考ではなく、
「本当に世の中に影響を与えるためのコンテンツ、タイトルは
なにか?」を必死に考えてください。
本はタイトルに始まり、タイトルに終わるのです。