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【本079】『キッチン風見鶏』

著者:森沢明夫 出版社:ハルキ文庫

港町の老舗洋食屋「キッチン風見鶏」。この本は、そこに集う個性豊かな登場人物がつむぐ温かな物語です。小さいころから幽霊が見えてしまうウエイターの翔平、お客さんにあわせて味や食器を変えるシェフの絵里、常連客で亡き妹の子を育てる手塚、守護霊が見える占い師の寿々。みんなそれぞれに不安を抱え歩む中で、自分の心に嘘をつかないことの大切さに気づいていきます。

「自分の心に嘘をつかずに、人生を創っていきたいから。」

人は、困難にぶつかったり、いくつかの選択肢があったり、相手のことを想うとき、おおいに悩みます。でも、どんなときも優先すべき判断基準は「自分の心」でありたいものです。もちろん「身勝手」や「わがまま」ということではありません。「自分が大切にしているもの」に正直に向きあえたとき、自ずと周りの笑顔につながっていくんだと思います。

「人生に『正解』なんてないんだよ。自分で選んだ道を自分の努力で『正解』にするだけ」

とはいえ、「自分の心がどこにあるのか」、それを知るのにだって時間がかかります。そんなときは、「そもそも正解がない」って思うと、一歩が踏みやすくなるのかもしれません。前に前に...大切なことは自分の足で踏み出す勇気。この本は、私たちの背中をそっとおしてくれる優しい物語です。


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