著者は、小宮コンサルタンツCEO、小宮一慶さんです。
本書の内容を簡単に私なりにまとめると。問題解決力を高めるために重要なのは
正しいプロセスを実践すること
適切なツール(マーケティング手法)を使いこなすこと
本書で紹介されている、問題解決のためのツールは、
マーケティングだけではなく、あらゆる部門のビジネスパーソンに必須のものです。
冒頭にケーススタディがありますが、見事に引っかかりました。
引っかかった人は読み進めた方がいい(つまり考えが浅はか)、とのことだったので読み進めました。
プロセスとツールを活用せよ
本書による問題解決のプロセスは簡単にいうと以下の通りです。
1. 問題を特定する
2. それぞれに優先順位をつける
3. 根本問題を特定する(問題の深掘り)
4. 解決策を考える(仮説と検証)
5. 解決策を実行する
また、これらのプロセスの実行過程で必要となる「ツール」を有効に使うことで、的確且つ効率的に問題の核心にアプローチし、解決へと導くことができます。
本書にあるいくつかの「ツール」のうち、問題の根本にアプローチするために欠かせない4PとAIDMAについてご紹介します。
4Pで解決【問題の根本を探る-1】
例えば、「売上があがらない」という問題があったとします。
この問題を商品、値段、販売チャネル、販促つまり
Product、Price、Place、Promotionの4Pを使って分解していきます。
例えば、
商品力→高い品質・耐久性はあるか、顧客が価値を認めてくれる充分な機能があるか
値段→顧客が価値を認めてくれるか、他社と比較して優位性はあるか
販売店(チャネル)→ネットか実店舗か、流通に無駄なコストがないか、
広告・販促→ターゲット層は絞られて訴求できているか
こうすることで問題の根本に近づくことができます。
商品の機能が充分でなかった、ということが根本的な原因だとわかれば
「売上が上がらない」という漠然とした問題が、
実は商品力が充分ではなかった、という具体的な新たな戦略を練ることができます。
これを本書では「ツール」と言っています。
こうしたツールを使えば、的確に効率よく問題の根本にアプローチすることが可能です。
AIDMA【問題の根本を探る-2】
AIDMAとはAttention(注意), Interest(興味), Desire(欲求), Motive(欲求を高める), Action(行動)、それぞれの頭文字です。
この順に分解して問題の根本原因を突き詰める手法です。
本書では、メルセデスベンツの例が挙げられています。
AIDMAの順に分解すると以下のようになります。
Attention 注意:CMも販売店も充分
Interest 興味:誰もが認める高級車
Desire 欲求:一度は乗ってみたいブランド
Motive 欲求を高める:高額だ、と諦める顧客が多い
Action 行動:購入に結びつかない
この場合、AID(注意、興味、欲求)は全て満たせています。
しかし、値段が高いというのが障壁となり、顧客の「欲求を高める」ことができず、その結果「行動」に結び付けられていません。
つまり
「欲求を高める」ことができていない状況が問題(ボトルネック)
と分かります。
そこで、Motive をみたし Actionにつなげるため、
低金利ローンなど、購入しやすい支払い方法を用意するなどして、顧客が抱く「高額だ」という障壁を低くし、購入したいという欲求の高まりに応えていきました。
いかがだったでしょうか。
仕事は問題解決の連続です。問題解決のためには、正しいプロセスとツールを使用することで問題の核心にアプローチすることができます。
本書で記載されている内容は、
なぜ売れないのか、
なぜ契約が取れないのか、
という、単なるビジネス上の問題解決手法というだけではなく、
上司、同僚、家族に関する人間関係の問題や、将来の自己実現・生き方に関する問題など、自分が「好ましくない」と思われる状況を改善するために必要な有効な手法と言えます。
参考:ビジネスマンのための「解決力」養成講座
著者:小宮一慶
発行所:(株)ディスカヴァー・トゥエンティワン