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学習しながら実行する組織

多様化する職場の中で目標を達成するために、効果的な協働に必要なプロセスとは何かを紐解いた「組織づくり」の名著ですね。

組織学習や心理的安全性を研究するエイミー・C・エドモンドソン教授は、「学習する組織」を長年のテーマとし、チームワークが発揮されるプロセスを「チーミング」と名付けました。

チーミングとは、「学習しながら実行する」を持続させることであり、組織学習の原動力であるといいます。

さまざまな企業へのコンサルティング実績から、成功しているチーミングには下記の「4つの行動」があるそうです。

▼成功しているチーミングの「4つの行動」
1)率直に意見を言う
個人間で直に誠実な会話ができる

2)協働する
尊敬し合い、目標を共有している

3)試みる
一度でうまくいくことを期待していない

4)省察する
行動の結果を批判的に検討し、結果を評価したり新たなアイデアを見出している

そして、チーミングを妨げてしまう最大の要因は、「沈黙」です。

ビジネスパーソンの行動に最も影響力を持つのは「対人不安」であり、他の人にバカにされる、上司や権力を持つ人の前でイメージを傷つけられることを恐れる傾向があります。
その結果、自信が持てないときは意見を言わない、まちがいを認めない、何より「質問しない」ということにつながります。

何もせず、何も言わないことは、創造性を制限し、イノベーションを妨げ、本物の人間関係をつくる可能性をゼロにし、パフォーマンスと安全性に対するリスクを生み出してしまうのですね。

これは私も経験があり、かつて働いていたテレビ業界では、放送後に各チームごとに「反省会」というミーティングがありました。そこで30代の中堅プレイヤーが全員の前でアシスタント(いわゆるAD)のミスを強調して取り上げ、笑いものにする習慣がありました。その意見を40代のマネージャーはニヤニヤしながら聞き、改めて「なぜ〜をしなかったのか」と公然と責め、最後は20代が「反省」してお詫びをする、というのが毎週のルーティンでした。

「沈黙」がこれほど正当化されるカルチャーはなく、マネージャーや各リーダーが学ばないと、組織はこうなってしまうのかと痛感した体験でした。

やはりチームワークを引き出すカギを握るのは「リーダー」であり、特に重要なのが「失敗」から学ぶプロセスです。

著者は、下記の「失敗した理由のスペクトル」を分類していました。

(↑批難に値する)

・逸脱
・不注意
・能力不足
・プロセスの不備
・困難な仕事
・プロセスの複雑さ
・不確実性
・仮説検証
・探査実験

(↓称賛に値する)


また、下記の2つの「学び」は逆にチームワークを妨げてしまうといい、大切な視点ですね。

1)中身のない学び
ただ手順を踏んでいないだけ

2)自分勝手な学び
市場への批判など


そして多様性ある職場のリーダーに求められるのが、下記の「探究志向」と呼ばれる考え方です。

・不確かでリスクが高く、過去に経験がない状況では、ものの見方を意図的に変える
・あいまいさを受け入れ、互いの相違を認める
・失敗したら必ず報告を求める
・試す機会を積極的に探すよう促す


こうしたリーダーと共に失敗を歓迎する組織は、競争相手より早く学習し、革新を生み出しやすくなるのですね。

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