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本のドキュメンタリー

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経営とメディアを中心に、事業戦略、組織戦略、マーケティング、営業、チームビルディング、財務、会計などジェネラリストに必要なビジネス知識を幅広くお届けしていきます。
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#ダイバーシティ

競争と協調を使い分ける

「競争から共創へ」というフレーズをメディアの仕事を通して見聞きする機会が本当に増えてきましたが、一方で実際のビジネスの現場では「競争」を意識せざるを得ない方がまだまだ多い、という実感があります。 そんな中、「競争」と「協調」にはどんな関係があり、どう考えて実践するのが良いのか、という疑問に対して、この本では様々な視点を提供されていました。 社会心理学を専門とするコロンビアビジネススクールのアダム・ガリンスキー教授らによると、 「相手の意見に折れて協調すべきか?」 or

ダイバーシティ経営を支える価値表明

多様性を活かしたチームをつくる必要性とチャレンジをさまざまな業種の方から伺う機会が増えており、チーム運営の方法をもっと知りたいと手に取りましたが、ダイバーシティを活かすマネジメントに必要なノウハウがわかりやすい実用書でした。 特にマネジメント方法として参考になったのは、ある日系メーカーのインド支社のケースです。 インド支社の日本人マネージャーは、インド人の部下から親族の結婚式のためにその年6度目の1週間休暇を申請され、悩んでいたそうです。 背景にはインドと日本の結婚式の

DE&Iと問いかける技術

ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの取り組みによって職場の多様性が増すなか、「問いかけ」の技術がより必要とされていると最近感じます。 組織心理学を50年以上研究するエドガー・H・シャイン教授は、多様性が増す現代の最大の問題は「人間関係」より「課題の遂行」に価値を置く文化が増えたことだといいます。 その文化は自覚されにくいため、費用対効果を求めると人間関係の構築は時間がかかるからやめておこう、となりやすいのですね。 著書が長年の研究から明らかにしたのは、社会的に大

男性の家事・育児時間を増やす

あるD&I推進担当の方がメディアで紹介されており、日本の少子化対策を考える上で女性だけでなく男性にとっても必読の入門書でした。 「産む」と「働く」という繊細なテーマは、話し言葉でコミュニケーションを取るのはなかなか気を遣いますが、活字はデータと合わせて現在の課題をより深く理解でき、入門的な知識を得る際に有用なメディアですね。 女性のライフステージと働くことの関連性は、ここまで直接的に数値として表れるものなのか…と驚く点が多くあり、特に「不妊治療大国の現実」という章によると

生産性を上げるダイバーシティ

多様性の推進は多くの企業が経営課題として取り組まれていますが、もし「何でダイバーシティって必要なんですか?」と聞かれたら「いや、多様な意見が必要ですし…」と明確に答えられないと感じていた中、さまざまなヒントをくれる本でした。 組織から多様性が失われるといかに破滅的なリスクにつながるか、逆にダイバーシティはいかにイノベーションを爆発的に高めるかが語られていますが、「へー、そうなんだ!」と思ったエピソードを1点ご紹介したいと思います。 ある労働経済学者が5万人の従業員の「生産

ダイバーシティの遅れの原因

人事部やダイバーシティ推進室の方と女性活躍推進に関わる仕事をする機会があり、日経BP・羽生祥子さんの『多様性って何ですか?』が参考になりました。 日本は国際比較して「ダイバーシティ(多様性)」がいかに遅れているかをデータで示しつつ、『日経xwoman』の取材で浮かびあがってきた多様化が進まない「言い訳トップ5」を著書で紹介されています。 ▼女性活躍が進まない「言い訳トップ5」 1)女性だけ特別視する必要ってある? ・仕事の場では、男性も女性も関係ない ・実力主義でやって