短編小説 椅子と机
この短編小説は、2022.7.23 本と珈琲と〇〇
第三編「本と珈琲と古物」のイベントに合わせて
書き下ろしたものになります。
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椅子と机
ふふっ。ある土曜日の夜、私は、
自宅マンションのリビングにて、にやけていた。
げぷっ。ちょっと飲み過ぎてしまったか。
まぁ家だし、誰にも迷惑かけてないし、いいでしょ。
ふはっ。にやけが止まらない。
側から見たらただの酔っ払いなのはわかっている。
でも、テンションの調整が
アルコールも相まって効かなくなっている。
仕方ないのだ。
今がとにかく幸せなのだ。
思わず愛らし過ぎて、頬を寄せて擦り擦りしてしまう。
少し骨張ったところもあるけれど、
後ろからしっかりと私の身体を受け止めてくれる。
私の腕も今までにないフィット感で
支えてくれるものだから、
握り締めてしまうではないか。
なんという幸福感。
堪らない。
一目惚れだったこともあり、より堪らない。
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3,051字
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