【詩】落ち着いた声
あのひとは
とても落ち着いた声をしている
うわずることのない
地に足の着いた声
ささやかな間違いは
微笑みとその声により
何かの間違えに帰す
落ち着きは人を未知の何かに変える
落ち着きのない私には分からない
未知のその先には何があるのだろう
あの落ち着きと微笑みが失われる
そんな瞬間があるとすれば
声を失い
目を見開き
驚いた表情をして
隠されていた感情の波が
その背後から溢れるとしたら
私はいとも簡単に呑み込まれ
耐えられないだろう
ただただ
落ち着いた声の主人には
未知の存在でいつづけて欲しいのだ