アゴタ・クリストフ「ふたりの証拠」堀茂樹訳を読んで
2024年10月13日の投稿でアゴタ・クリストフの「悪童日記」について記述させていただきましたが、今回はその続編である、「ふたりの証拠」です。
続編であるので、前作の終わりの時点、第二次世界大戦が終戦した後から始まるのですが、物語の舞台は作者のアゴタ・クリストフさんの祖国であるハンガリーがモデルになっていると言われています。
Wikipediaを読んで知ったのですが、ハンガリーは1946年に王政が廃止。ハンガリー共和国となった後、さらに共産化が進んで1949年にハンガリー人民共和国となり、ソ連の衛星国となっていたそうです。その後1989年に民主化・・・という歴史。
個人的にハンガリーといえばブラームスのハンガリー舞曲がまず浮かびます。ハンガリー舞曲を聴く限り、とても情熱的な印象を受けます。情熱的な国民性なのだなーと勝手に思っていました。特にクラウディオ・アバド指揮のハンガリー舞曲はとてもいいです。
アバドは置いておいて、そんな戦後のハンガリーをモデルにしたと思われる当小説、前作に引き続きすっごい淡々としています。
ハンガリー舞曲のような情熱はもろには感じることはできません。
そして、前作を読んだ人からすると、えっ?えっ?となる事請け合いなので、是非前作から引き続きで読んでもらいたいです。
人の記憶や記録というものはひどくあいまいで、特に混乱期においてはより多くの要因が重なり、より混濁したものになるのでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。