#424 新名史典『「部下力」のみがき方』読書アウトプット(8章、9章)

新名史典さんの『「部下力」のみがき方』を読みました。8章は刺さる部分がなく、最終9章のアウトプットです。

9章 上司は「使える」部下を求めている

「リーダーは孤独である」とは、よく言われることです。私も、頭ではわかっているつもりでしたが、実際に経験した孤独感は、想像をはるかに超えるものでした。
とくに、「決める」ということに関して、自分が最終判断者なのだと気づいたときに、そのことを痛感しました。
(中略)
自分が部下だった頃は、相談する相手は上司や先輩であり、少なくとも自分よりは立場や経験が上の方だと思い込んでいました。自分より経験の浅い後輩には、教えることはあっても、相談するなどということは考えられなかったし、同僚となるとライバル心もあるため、なかなか相談することはできませんでした。
そして、自分がその上司になり、相談できる相手がいなくなったとき、相談相手として思い浮かんだのが、意外にも部下だったのです。判断を求めてきている部下本人には相談することはできませんが、それ以外で意見をくれそうな部下を探している自分に気づいたのです。
(中略)
プライドが邪魔をして、違う聞き方をするかもしれませんが、部下に相談をしている上司は大勢いるのではないでしょうか。上司は、常に信頼できる部下を求めているのだと思います。

P200-202 上司は、「孤独」だからこそ誰かに相談したい

部下が思っている以上に、上司には情報が集まっていないものです。また、仮に集まっていたとしても、断片的でつながっていないことがあります。そのため、何度でも情報提供していおいたほうが無難です。
また、仮によく知っている情報だとしても、上司からすれば、「この部下からは、すでにすべての情報を提供してもらっているということだな」ということが確認できます。
これは、信頼を得るためにはたいへん重要なことです。疑っているわけでもなくても、上司は部下に対して、常に不安な気持ちを持っています
「ポカミスで、情報を提供してもらっていないということはないだろうか?」、「必要な情報だと気づかず、大事な情報を眠らせてはいないだろうか?」といったことを、常に心配しています。そのような心配があるうちは、上司もその部下を心の底から信用することはできません。
(中略)
もちろん上司といえども、言えないことはあると思いますが、少なくとも、「必要な情報はすべてご報告しているつもりです」という態度を示しておかないと、信用を得ることはできません。

P208-210 自分の持っている情報を提供する

上司はどのような部下を求めているのでしょうか。また、どのような部下であれば、上司は喜ぶのでしょうか。
上司が仕事で求めることは、責任をまっとうすることです。そして、そこで業績を上げることです。
だとすると、そこに貢献してくれる部下が、最も必要とされる部下ということになります。ひとことで言うと、「使える」部下なのです。
では、「使える」とはどのようなことでしょうか?
ほとんどの上司は、自分が不完全な存在、つまり自分自身ができることには限りがあることを知っています。。自分が経験してきたことで、最も得意な領域はできます。
しかし、いざ上司になってしまうと、必ずしも自分が経験してきたことだけではなく、それ以外の領域にも責任を持つことになります。
さらに、担当者時代とは異なり、実務を持つことから、部下のマネジメントに軸足が移っていくことになります。
すると、自分が経験すればできるかもしれないことであっても、部下の経験を通じて判断することが中心になってくるわけです。
上司は、常に自分の過去の経験と自分の中にある常識、そして外部から得た情報を参考にして判断を行なっています。その外部から得た情報には、部下からの情報も含まれます。
それは、「自分自身ではできないこと」であり、そこを埋めてくれる人、補ってくれる人こそが、上司が求める人ということになります。つまり、自分自身ではできないことができる人、それが、「使える」部下なのです。

P215-216 上司は「使える」部下を求めている

上司と部下は、会社や組織の中における「役割分担」です。何度も書いてきたように、上司は完全な存在ではありません。求められるスキルのうちいくつかを満たし、そして経験値が多少あることによって、その役割を上層部から期待されているだけなのです。
上司は、その事実を冷静に理解しなくてはならないし、部下もその事実を認識すべきなのです。それは、上司が求めている不足の部分を補えるように努力し、そこで貢献する。そして、そこで信頼していただけるように仕事に取り組むという姿勢が大切である、ということです。
上司には、部下時代の経験があることで、まだこの事実を認識しやすいと思いますが、部下にはまだ上司の経験がないだけに、この事実を認識できないことがあります。
そのため、上司にまるで「先生」のような期待を抱いてしまうことがあります。そこには人格、知識、経験すべてにおいて、自分よりも優れた存在であるとみてしまうのです。
(中略)
上司と部下は「役割分担」である、ということが理解できれば、少しはこのような状況を防げるのではないでしょうか。
(中略)
本書でお伝えしたかったことは、知られざる上司の苦悩、上司の置かれた状況、上司の部下への想い、そういうことを部下が知ることができれば、仕事はもっと楽しくなる、仕事でもっと成果を収めることができる、ということです

P218-220 「可愛がっている」ように見えるのは、周りからの偏見

「リーダーは孤独である」は、これまでの上長を見てずっと感じていました。特に判断するときは孤独だと思います。孤独が故に相談できる部下、信頼できる部下が欲しいことには納得です。
そして、部下の体調面はもちろん、任せている業務、その業務の報連相をしてくれているか心配するのもわかります。部下としては、上司のその心配を極力なくせるだけの信頼を得ることが必要です。
上司と部下の関係は、この章でも書かれているとおり「役割分担」にすぎず、「上司は完全な存在ではありません。求められるスキルのうちいくつかを満たし、そして経験値が多少あることによって、その役割を上層部から期待されているだけ」のとおりです。それ以上でもそれ以下でもないのに、部下は上司を先生や保護者のように頼っている人はいないでしょうか?

本書を通じて、「部下力の磨き方」より、「上司の苦悩を知ること」のインプットが多かったです。どこかでわかっていたものの、これだけ言語化された文字で見ると、上司の大変さをこれまで以上に感じ取ることができました。
上司と部下はあくまで役割。上司は上司、部下は部下としてそれぞれの役割をまっとうしながら、コミュニケーションを取って、よい成果を出し、世の中によい貢献をしていきたいものです。
とにかく上司の苦悩がよくわかる本でした。


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