一本一本の繊維が25℃設定の風に揺られる もともとがピンク色だったかのような布、本当にそうだった。 ただ、名前は変わる。 ふと目を逸らした隙に、意識から外したうちに…
泥 泥 泥 泥 歩いて泥水 5本の深雪 静かな寒空 凍りつく夜空 丸くおさまった総列 例えばその日に豆を蒔いたとして 並んでいる蜘蛛の糸は …
ギュッ とした注射を打ちました、鼻の穴に 効能は滝行 糸蒟蒻糸こんにゃく 染み渡って五臓六腑に知や堕などの思考回路 ようし、といきごんで空に出る 右足左足の順、時に…
肉塊入荷の写真だけが残った 人を追い、人と暮らし、人が去った後 一滴の薬酒は体を温めて揺らがせる オレンジ色のキャップ コンロの火も同じ色 クリップで易しく留めら…
ああだこうだ、とはどういったものだろうか。 田野畑さんはそう言って殆ど残っていないスープの皿を見つめる。 うす緑いろの綺麗なそのスープは、グリーンピースをたくさん…
急なれば急なり お腹がいたいと泣き喚く砂つぶ ジョウロで水をかける花火 吸えども夕焼け 樽ごとよこすな花の酒 ほつれぎみの膝掛け 手で全てを編もうとするのは難しい マ…
ラグの上にふわりと落ちたのは1枚のチケットだった。 1度四つ折りにした後にまた引き伸ばしたあとがあって、さらに角はずいぶんと丸くなっているそのチケットは、タイトル…
グラスに注がれた深緑色の水面が微かに揺れている 来た、な。 要素は3がいい くらげが舞う大空 静かな隣惑星の生命 星の貝殻はいつつ 昼間、帰ってくる時におかいものを…
肩を叩かれた気がした。 だからそうやって反時計回りに身体を捻った。 「ねえ、昨日のあくる日、君はどこにいて、何をしていたい?」 狂っていく時系列の波 その中でぴんと…
「急な話で、困りますよ」 「ごめんなさい。でもどうしても今」 「だからといってこんな湯船の中にまで来なくっても」 「ごめんなさいでも私どうしたらいいか...」 河渡さ…
誰かがあの子にそこにいろと命令したから。 だから解けたチョコレートの炎に身を焼かれながらあの子はそこに経っている。 急な知らせは、蚊のように頼りない。 到達しては…
「それで?」 「それで、今日を眠るときっと明日は晴れんのだろうね」 「話の末尾はいっつもそれね」 わたしはそう言ってそいつの電源を切る 眠たげな夕ごろ、身につけて…
おおっきな金魚掬いのポイで、天の川を下る すり抜ける水は下々のものたちへ 優劣のないA5ランクの哺乳瓶 彼らは育つ、それによって 微かな行先だ すくすくと育ってくれ…
海原に大の字で寝っ転がって、空を見よう。 寄せる波は、きっと僕の心を必要以上にこそぎ取ってくれる。 湯上がりの干し柿 湯上がりの干し柿が言った。 「良かったら私の…
吐いた息が白くけぶる 温度は痛々しくその子を包む 通りかかった景気のいい歯医者 つぎは宇宙に支店を作るらしい 「へえ、景気がいいね」 吐かれる息は、やはり白い 線路…
メーデー!家庭科室! 余った米のとぎ汁を、おれの裏庭に捨てるな! 戸棚か、車のドアが閉まる音! 怖いのはどんなときでも猜疑心を忘れていないから 遠くの線路から響い…
許通・砂利道
2024年6月8日 02:14
一本一本の繊維が25℃設定の風に揺られるもともとがピンク色だったかのような布、本当にそうだった。ただ、名前は変わる。ふと目を逸らした隙に、意識から外したうちに、あの日に肩を並べて夜を見た友を見失う。憧れ、眺めていた憂いを見失う。名は、体を表し、変わりゆく体は、現状を表しているのだろうから、その名の中に、私はおらず、ただ見失う。良くないと思う歌、沁みないメロディは河川敷に吹きつくなにも
2024年6月8日 02:01
泥 泥 泥泥歩いて泥水 5本の深雪 静かな寒空凍りつく夜空 丸くおさまった総列 例えばその日に豆を蒔いたとして並んでいる蜘蛛の糸は 切らずに待っていてくれるのか 掴んだこの軍手越しのこころがゆったりと波打ちながら 4つの目と2つの口 ポストと郵便受けの往復重なって理解したかのようにまばたく 嘘800 丸太 角材
2021年11月10日 22:44
ギュッとした注射を打ちました、鼻の穴に効能は滝行糸蒟蒻糸こんにゃく染み渡って五臓六腑に知や堕などの思考回路ようし、といきごんで空に出る右足左足の順、時にはその逆で歩く平行する怠惰金魚、雷帝、あけすけの心プラスティック・マイナス定規直す直す直すの繰り返し誤、そして誤だ人は間違うのだ、だから日々正すために目を覚ます今日の誤りは明日の枷明日の誤りは明後日の枷日々の
2021年11月9日 01:17
肉塊入荷の写真だけが残った人を追い、人と暮らし、人が去った後一滴の薬酒は体を温めて揺らがせるオレンジ色のキャップコンロの火も同じ色クリップで易しく留められた平仮名4文字簡単に取れますが、取りません放置した文、蚊が飛ぶ冬空に飛ぶ蚊捕まえてその顔を拝んでやりたいその自由な蚊が一体どんな必死さを顔に出しているのか見てみたい...小刻みに揺れるのはどうして?それは蚊が、夏
2021年10月2日 21:04
ああだこうだ、とはどういったものだろうか。田野畑さんはそう言って殆ど残っていないスープの皿を見つめる。うす緑いろの綺麗なそのスープは、グリーンピースをたくさん、ミキサーにかけて丁寧に裏漉しした、他愛のない美しいポタージュだ。向かいに座るこの私は、生まれてこのかた数十年、一度も人を殴ったことのない、他愛のない美しい女人だ。田野畑さんは続けて言う。「貴女のその言い分、わたしも理解したいので
2021年9月3日 21:07
急なれば急なりお腹がいたいと泣き喚く砂つぶジョウロで水をかける花火吸えども夕焼け樽ごとよこすな花の酒ほつれぎみの膝掛け手で全てを編もうとするのは難しいマジックテープは原始的な仕組みわたしとあなたとがこうやって手を繋ぐのと同じようなものよ人差し指と中指で歩くふりやってくる豆色の障害物をスキップでかわすグリンピースは必ず数えて11個透明なガラスの筒に収納して頂戴ぎゅるり
2021年9月3日 00:00
ラグの上にふわりと落ちたのは1枚のチケットだった。1度四つ折りにした後にまた引き伸ばしたあとがあって、さらに角はずいぶんと丸くなっているそのチケットは、タイトルと出演者、日時の書かれた舞台演劇のチケットのようだった。わたしは拾いあげてその文字を目でなぞり、記憶と照らし合わせてみたもののまるでおぼえのないそのタイトルに首をかしげるばかりだった。というかそもそも、わたしはあまり外に出ない。季
2021年9月1日 20:38
グラスに注がれた深緑色の水面が微かに揺れている来た、な。要素は3がいいくらげが舞う大空静かな隣惑星の生命星の貝殻はいつつ昼間、帰ってくる時におかいものをおねがいね・ほつれ繊維・休診のピアス・新聞紙エントリーしたのは紫色の蛍光ペンで書かれた「62」上からなぞる様に赤ペン、黒ペン、全てを消し去る白ペン落第生甘鯛の家畜が吠えるわおん!わおおん傷を抉られると痛いだ
2021年9月1日 00:15
肩を叩かれた気がした。だからそうやって反時計回りに身体を捻った。「ねえ、昨日のあくる日、君はどこにいて、何をしていたい?」狂っていく時系列の波その中でぴんと背筋を伸ばした貴女がいうはい、腰骨を、立てますそれは呪文か、号令か。問われたいのは可能性であって、起こりうる過程ではない。何も思い返されない。只のとてつもない何も無さ。虚な気持ちでは無い、それすらも無い。肩を叩かれた
2021年7月22日 23:52
「急な話で、困りますよ」「ごめんなさい。でもどうしても今」「だからといってこんな湯船の中にまで来なくっても」「ごめんなさいでも私どうしたらいいか...」河渡さんは今日の日中、オフィスで大きな失敗をしたのだ。いや、大きな、というのは河渡さんの心中を察するとそうだろうという規模感であり、客観的あるいは私個人の主観としては、そうたいそうな失敗ではない。そういった日中を終え、私の中では事の小
2021年7月22日 22:22
誰かがあの子にそこにいろと命令したから。だから解けたチョコレートの炎に身を焼かれながらあの子はそこに経っている。急な知らせは、蚊のように頼りない。到達してはハエ叩き。また到達してはハエ叩き。やがて炎は消える。積み重ねられた人生のノベライズ。囲まれて余生を過ごすのだろう。誰かがこの子にそこにいろと命令したから。可哀想な子。本棚に収納してあげた。背表紙が番号順になる様に並べて
2021年6月7日 10:21
「それで?」「それで、今日を眠るときっと明日は晴れんのだろうね」「話の末尾はいっつもそれね」わたしはそう言ってそいつの電源を切る眠たげな夕ごろ、身につけている服を脱ぐ1枚、これは煩い子供達から流れ着いたわたしに似合わない麻の羽織りもう1枚、これは道路を走り抜けた先にあった露天に数百の単位で並べられていた普遍なワイシャツもう1枚、これは着古した肌着、洗剤の香りにかすかに行き届いてい
2021年6月5日 12:23
おおっきな金魚掬いのポイで、天の川を下るすり抜ける水は下々のものたちへ優劣のないA5ランクの哺乳瓶彼らは育つ、それによって微かな行先だすくすくと育ってくれよ。芽が出ると途端に早い指先でつつく玉こんにゃくの連鎖ね出汁に浸されてツヤツヤと空の光を乱反射目に優しいね。そう言う声も優しかった。ドアが軽い音で開く?カチャ「いま、いいですか?」「いいよ、何かな」「玄関のところ
2021年1月20日 02:02
海原に大の字で寝っ転がって、空を見よう。寄せる波は、きっと僕の心を必要以上にこそぎ取ってくれる。湯上がりの干し柿湯上がりの干し柿が言った。「良かったら私の宿においでよ。内陸地でペンションをやっているのでね」方言がきつく、はじめこそ言葉の意図が掴めなかったが、たった4行で僕は完全にモノにした。その晩は、すでに宿を決めていたので、また別日にでも声をかけてくれるようお願いした。
2021年1月11日 16:13
吐いた息が白くけぶる温度は痛々しくその子を包む通りかかった景気のいい歯医者つぎは宇宙に支店を作るらしい「へえ、景気がいいね」吐かれる息は、やはり白い線路を跨ぐ工事音、アラート音が渇いた空気に伝染していく冷え切った線路は単音しか発しない影響されゆく色あせたコンビニエンスストアゆれる旗の文字は、決まって3文字こんな街にも賑やかな声が聞こえる発信源は、入れない遊具ひろば
2021年1月11日 00:53
メーデー!家庭科室!余った米のとぎ汁を、おれの裏庭に捨てるな!戸棚か、車のドアが閉まる音!怖いのはどんなときでも猜疑心を忘れていないから遠くの線路から響いてくる車輪の音障害物が、減って減って電子音ジーーーーーーーーーーーと小さく鳴る音ジーーーーーーーと見る猫引き合いに出される己の身関係ない意味はない気にすることはない申し訳ないと、思いつつ0時いい加減にと、思いつつ1時