許通・砂利道

文字を打ったり絵を書いたりして虚の時間を過ごそうと思います。 よろしくおねがいします。ポエミー・ポエちゃんです。

許通・砂利道

文字を打ったり絵を書いたりして虚の時間を過ごそうと思います。 よろしくおねがいします。ポエミー・ポエちゃんです。

最近の記事

予約と乾燥とキモチ

一本一本の繊維が25℃設定の風に揺られる もともとがピンク色だったかのような布、本当にそうだった。 ただ、名前は変わる。 ふと目を逸らした隙に、意識から外したうちに、あの日に肩を並べて夜を見た友を見失う。 憧れ、眺めていた憂いを見失う。 名は、体を表し、変わりゆく体は、現状を表しているのだろうから、その名の中に、私はおらず、ただ見失う。 良くないと思う歌、沁みないメロディは河川敷に吹きつくなにもない風のようで無音。 目分量で溢しあって、貶しながら手助けしあって街を浸す。 あ

    • 上を目で見て

      泥 泥  泥 泥 歩いて泥水    5本の深雪         静かな寒空 凍りつく夜空 丸くおさまった総列    例えばその日に豆を蒔いたとして 並んでいる蜘蛛の糸は        切らずに待っていてくれるのか    掴んだこの軍手越しのこころが ゆったりと波打ちながら 4つの目と2つの口        ポストと郵便受けの往復 重なって理解したかのようにまばたく 嘘800      丸太 角材 爪楊枝 ラビオリ型の伝言ゲーム 裏が透けてるおみくじ 三つ折りの通知表 丸めたレ

      • {越}えるハンドル・右回転

        ギュッ とした注射を打ちました、鼻の穴に 効能は滝行 糸蒟蒻糸こんにゃく 染み渡って五臓六腑に知や堕などの思考回路 ようし、といきごんで空に出る 右足左足の順、時にはその逆で歩く 平行する怠惰 金魚、雷帝、あけすけの心 プラスティック・マイナス定規 直す直す直すの繰り返し 誤、そして誤だ 人は間違うのだ、だから日々正すために目を覚ます 今日の誤りは明日の枷 明日の誤りは明後日の枷 日々のサイクル、また来て十五夜 夜海の波を蹴飛ばす うまく描けない水しぶきは わたし

        • 中央の葉、真ん中ともいう花

          肉塊入荷の写真だけが残った 人を追い、人と暮らし、人が去った後 一滴の薬酒は体を温めて揺らがせる オレンジ色のキャップ コンロの火も同じ色 クリップで易しく留められた平仮名4文字 簡単に取れますが、取りません 放置した文、蚊が飛ぶ 冬空に飛ぶ蚊 捕まえてその顔を拝んでやりたい その自由な蚊が 一体どんな必死さを顔に出しているのか見てみたい ...小刻みに揺れるのはどうして? それは蚊が、夏へと向かっている羽音よ

          いっさくじつのあの日|参照のミ

          ああだこうだ、とはどういったものだろうか。 田野畑さんはそう言って殆ど残っていないスープの皿を見つめる。 うす緑いろの綺麗なそのスープは、グリーンピースをたくさん、ミキサーにかけて丁寧に裏漉しした、他愛のない美しいポタージュだ。 向かいに座るこの私は、生まれてこのかた数十年、一度も人を殴ったことのない、他愛のない美しい女人だ。 田野畑さんは続けて言う。 「貴女のその言い分、わたしも理解したいのですよ。ただ、どうにも例え話や指示語が多すぎるのです」 「すると、私が話す内容は、

          いっさくじつのあの日|参照のミ

          ・眠道眠

          急なれば急なり お腹がいたいと泣き喚く砂つぶ ジョウロで水をかける花火 吸えども夕焼け 樽ごとよこすな花の酒 ほつれぎみの膝掛け 手で全てを編もうとするのは難しい マジックテープは原始的な仕組み わたしとあなたとがこうやって手を繋ぐのと同じようなものよ 人差し指と中指で歩くふり やってくる豆色の障害物をスキップでかわす グリンピースは必ず数えて11個 透明なガラスの筒に収納して頂戴 ぎゅるりと腹が呼ぶ 途方もない牧地を思え 素直に歩くは牛の子たち 鋪装されない道は歩きや

          見たおぼえのない舞台/ライトアップ'

          ラグの上にふわりと落ちたのは1枚のチケットだった。 1度四つ折りにした後にまた引き伸ばしたあとがあって、さらに角はずいぶんと丸くなっているそのチケットは、タイトルと出演者、日時の書かれた舞台演劇のチケットのようだった。 わたしは拾いあげてその文字を目でなぞり、記憶と照らし合わせてみたもののまるでおぼえのないそのタイトルに首をかしげるばかりだった。 というかそもそも、わたしはあまり外に出ない。 季節の変わり目にそれを感じるために1度2度外に出るのみで、それ以外は滅多なことがな

          見たおぼえのない舞台/ライトアップ'

          牛乳入りで正しい傷跡・水鞠の先

          グラスに注がれた深緑色の水面が微かに揺れている 来た、な。 要素は3がいい くらげが舞う大空 静かな隣惑星の生命 星の貝殻はいつつ 昼間、帰ってくる時におかいものをおねがいね ・ほつれ繊維 ・休診のピアス ・新聞紙 エントリーしたのは紫色の蛍光ペンで書かれた「62」 上からなぞる様に赤ペン、黒ペン、全てを消し去る白ペン 落第生 甘鯛の家畜が吠える わおん!わおおん 傷を抉られると痛い だからやめてほしい 今にも弾けそうな青葡萄 この文は? 知らない文は、知らないお

          牛乳入りで正しい傷跡・水鞠の先

          右斜め後ろ、にはやがて降り注ぐ誕生

          肩を叩かれた気がした。 だからそうやって反時計回りに身体を捻った。 「ねえ、昨日のあくる日、君はどこにいて、何をしていたい?」 狂っていく時系列の波 その中でぴんと背筋を伸ばした貴女がいう はい、腰骨を、立てます それは呪文か、号令か。 問われたいのは可能性であって、起こりうる過程ではない。 何も思い返されない。 只のとてつもない何も無さ。 虚な気持ちでは無い、それすらも無い。 肩を叩かれた気がした。 だからそうやって時計回りに身体を捻った。 「ねえ、ずっとずっと上っ

          右斜め後ろ、にはやがて降り注ぐ誕生

          留め深夜

          「急な話で、困りますよ」 「ごめんなさい。でもどうしても今」 「だからといってこんな湯船の中にまで来なくっても」 「ごめんなさいでも私どうしたらいいか...」 河渡さんは今日の日中、オフィスで大きな失敗をしたのだ。 いや、大きな、というのは河渡さんの心中を察するとそうだろうという規模感であり、客観的あるいは私個人の主観としては、そうたいそうな失敗ではない。 そういった日中を終え、私の中では事の小ささに既に忘れ去っていたのだが、何を考えたのか今になってこの河渡さんはこちらへ助

          ろっかっけいのてんまど

          誰かがあの子にそこにいろと命令したから。 だから解けたチョコレートの炎に身を焼かれながらあの子はそこに経っている。 急な知らせは、蚊のように頼りない。 到達してはハエ叩き。 また到達してはハエ叩き。 やがて炎は消える。 積み重ねられた人生のノベライズ。 囲まれて余生を過ごすのだろう。 誰かがこの子にそこにいろと命令したから。 可哀想な子。 本棚に収納してあげた。 背表紙が番号順になる様に並べてあげた。 読み終わる頃に次の巻を手渡してあげた。 綺麗な色のラグを引いてあげた。

          ろっかっけいのてんまど

          重い荷物にたゆむ腹

          「それで?」 「それで、今日を眠るときっと明日は晴れんのだろうね」 「話の末尾はいっつもそれね」 わたしはそう言ってそいつの電源を切る 眠たげな夕ごろ、身につけている服を脱ぐ 1枚、これは煩い子供達から流れ着いたわたしに似合わない麻の羽織り もう1枚、これは道路を走り抜けた先にあった露天に数百の単位で並べられていた普遍なワイシャツ もう1枚、これは着古した肌着、洗剤の香りにかすかに行き届いていない配慮の匂い 1番下にもう1枚、これは手縫いの下着、独特の形をしたわたしの下着

          重い荷物にたゆむ腹

          午前が終わると午後が来る、の窓

          おおっきな金魚掬いのポイで、天の川を下る すり抜ける水は下々のものたちへ 優劣のないA5ランクの哺乳瓶 彼らは育つ、それによって 微かな行先だ すくすくと育ってくれよ。 芽が出ると途端に早い 指先でつつく玉こんにゃくの連鎖ね 出汁に浸されてツヤツヤと空の光を乱反射 目に優しいね。そう言う声も優しかった。 ドアが軽い音で開く? カチャ 「いま、いいですか?」 「いいよ、何かな」 「玄関のところ、小さなイスみたいなところ、そこに落ちてました」 小さなその子は、小さな手のひら

          午前が終わると午後が来る、の窓

          土へ行こうかな

          海原に大の字で寝っ転がって、空を見よう。 寄せる波は、きっと僕の心を必要以上にこそぎ取ってくれる。 湯上がりの干し柿 湯上がりの干し柿が言った。 「良かったら私の宿においでよ。 内陸地でペンションをやっているのでね」 方言がきつく、はじめこそ言葉の意図が掴めなかったが、 たった4行で僕は完全にモノにした。 その晩は、すでに宿を決めていたので、 また別日にでも声をかけてくれるようお願いした。 タオルケットの繊維を数える。 白とオレンジの境目を探す。 「手が震えるのは、

          土へ行こうかな

          →呆けて→

          吐いた息が白くけぶる 温度は痛々しくその子を包む 通りかかった景気のいい歯医者 つぎは宇宙に支店を作るらしい 「へえ、景気がいいね」 吐かれる息は、やはり白い 線路を跨ぐ 工事音、アラート音が渇いた空気に伝染していく 冷え切った線路は単音しか発しない 影響されゆく色あせたコンビニエンスストア ゆれる旗の文字は、決まって3文字 こんな街にも賑やかな声が聞こえる 発信源は、入れない遊具ひろば 似つかわしくない轟音が響く 似つかわしくないね、いつまで経っても ずっとずっと上

          メーデー、家庭科室!

          メーデー!家庭科室! 余った米のとぎ汁を、おれの裏庭に捨てるな! 戸棚か、車のドアが閉まる音! 怖いのはどんなときでも猜疑心を忘れていないから 遠くの線路から響いてくる車輪の音 障害物が、減って減って 電子音 ジーーーーーーーーーーーと小さく鳴る音 ジーーーーーーーと見る猫 引き合いに出される己の身 関係ない意味はない気にすることはない 申し訳ないと、思いつつ0時 いい加減にと、思いつつ1時 サクッとして柔らかい ギュッと縮こまって仰々しい このおれの! 夢想なのか

          メーデー、家庭科室!