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意外と面白い? 注目を集める室町時代
近年、室町時代が注目されている。これまでは平安末期の源平争乱や群雄割拠の戦国期に挟まれて今ひとつ人気がなかったように思うが、社会構造が変化する状況が現代と重なることなどが指摘されている。研究者の積極的な発信もあって見直されてきているようだ。
3年前の夏、九州国立博物館(福岡県太宰府市)が足利将軍にスポットを当てた特別展を開いた。このような企画もちょっと前では考えられないことだった。歴代将軍の愛用品、美術品を通じて彼らの素顔を垣間見ると一人一人が個性派で、地味だった「室町」のイメージが一変した。
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強く感じるのは、足利将軍をはじめ激動期を駆け抜けた人々が生き抜こうと、あらゆる手を使って懸命だったことだ。例えば11代将軍義澄。一般的には初代尊氏や3代義満ほどは知られていない彼の石清水八幡宮への願文が生々しい。何と一番に願っていたのは、長年争ってきた憎きライバル・義稙(10代将軍)の死なのだ。そこには将軍としての品格は全くない。ポストに執着する人間の本性は、いつの時代も変わらないことがうかがえる。
また、朝鮮との通交権の維持・拡大を図るため密貿易を行っていた対馬の宗氏は、室町将軍印を偽造して偽の使節を派遣していたというからしたたかだ。さらに、その偽造された木印「徳有鄰」は、本物の将軍印が失われた現代では事実上の「本物」として貴重な文化財になっているというのだから面白い。
権力、文化、財力への人間の飽くなき欲望や執念…これらだけを見ても現代に通じる室町時代の奥深さを感じる。
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NHK大河ドラマなどで取り上げられることはめったになく、歴史に興味がない人には知られていない時代だが、将軍から庶民に至るまでのあふれる活力と人間味は魅力だ。明らかになった近年の時代考証をもとに新たな映像作品ができれば、室町人気はさらに上がるように思う。