優しい雨
少し肌寒い日が続いている。7月も下旬になろうとしているのに。
梅雨が終わらない。
東京都心では19日連続で雨が降っているらしい。
驚いた。
もし、月曜日も雨が降ったら、3週間ずっと晴れの日じゃないことになってしまう。
3週間。
長い。
いや、そりゃ「キャンパスに足を踏み入れられないよ記録(ちなみに、あと少しで半年)」に比べたら短いが、雨の日が3週間って、長いと思う。例えば中学生のとき、テストの2週間前から計画的に勉強をすることはあっても、3週間前から意識することはなかった。
こんな時は、優しい雨が降ってほしい。
ぞうさん如雨露からアサガオに注がれる水のような、雨。
太陽の光が反射して、あの子の髪の毛がキラキラするような、雨。
災害がおこらないような、雨。
「あの、まだですか」
私は優しい雨に向かって尋ねた。しかし返答がない。聞こえなかったのかもしれない。
「あの、まだですか」
今度は体育館中に響くような声量で尋ねた。けれど、返答がない。諦めようとした、その時。
「グァァァノー」
それは家族や友達で一番イビキが大きい人の倍の声量だった。
優しい雨は、まだ寝ているらしい。
優しい雨は、いつか降る。
そしてきっと、スカーっと晴れる夏が来る。
今はそう信じて踏ん張ろう。
優しい雨は、いつか降る。
(了)