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在宅介護の1年間を振り返る

実母の在宅介護が始まり丸一年が経ちました。
あっという間でした。この一年(特に最初の半年間)は何回も泣いたし、何回もこれからどうなるんだろうとつい考えました。
よく「介護は大変」と言いますが、一体何が大変だったのか。大変ななかで私がぼんやりと考えていたこと。
あくまでも「私の場合」「我が家の場合」ですが、ちょっと自分の忘備録的にその辺りを文字として書いておこうと思います。




身体的な大変さ

山形市→高畠町まで片道で50分くらい。運転して実家に着いたそのあとに、私の介護手伝いは始まります。母の介護のほか、介護の担い手である父が食べる夕食作りなど、一つひとつはそんなに身体的に大変なことではないかもしれません。ただ、私は自宅へ帰宅後もまた家族分の夕食を作ったり子どもたちの宿題を見たり、ずっと「誰かをケアすること」が続いていきます。そんな生活の繰り返しに、とにかくこちらの身体が疲れてしまう。そんなことはよくありました。疲れを感じやすくなる私の年齢的なものもあるのかもしれませんが・・。
夫にもそれらを話して、夫に早く帰ってきてもらう・夕食は夫にお任せにするなどで過ごす日は今もあります。ケア労働はリモートではできないし自ら動くしかないので仕方がないのですが、なかなか大変だなあと思います。

精神的な大変さ

身体的な疲労よりも、断然精神的な大変さのほうが大きかったです。
さらに細分化してみます。

①受け入れること

介護が必要になってしまった母の姿。その母を日々介護する父の姿。
そのどちらも、今まで私が過ごすなかで一度も目にしてこなかったものですし、目にする日がくることはもっと先だとぼんやり思っていたし、そもそも深く考えたことのなかったものです。
見たくないものを見て、聞きたくないことを聞いて、その現実に目を背けたくても目の前にあって。なかなか現実を受け入れることができない日々が続きました。子どもが年々大きくなっていくように、母がどんどん良くなっていけばまた気持ちが変わったのでしょうがそんな変化が起こるべくもなく。「変わらない」現実が常に目の前にあり、その現実は長いトンネルのようだと何回も思いました。出口の見えない長いトンネル。私の気持ちが落ち込む日も多かったです。

ただ、ここ数カ月は前に比べると「受け入れられている」感覚が自分のなかであります。きっかけや理由は思い出せませんが笑 ただ単に、時間の経過とともにゆっくりと、目の前の現実を受け入れられてきたのかもしれません。

②自分の時間はどこへ?

平日は仕事に家事に育児に「介護」が加わり、土日は家事に育児に「介護」が加わり。
キャリア理論のなかにドナルド・E・スーパー氏が唱えたライフキャリアレインボーというのがあるのですが、そのなかの「ライフロール(人生の役割)」を考えたときに、以前よりあきらかに「子どもとしての役割」が増えたなと思いました。
役割が一つ増えたことで、自分の時間がどうしても減ってしまいました。
あるとき美容室で美容師さんに「澤村さんは、最近どんなことをしてストレス解消をしていますか?」と聞かれたり、キャリアコンサルティング(受けるほう)で以前からお世話になっているキャリコンさんに「澤村さん、休みがあったら何をしたいですか?」と聞かれたりしたのですが、どちらも上手く答えることができなかったことがありました。
このときに、自分の時間が取れていないこと・自分のことにあまり目を向けていないことにはっと気づかされた、なんていうこともありました。

③父からの感謝と謝罪と

あるとき父から、介護の協力への感謝と謝罪の言葉がありました。父からこういうことを言われるのはそれまでも何回もありましたが、そのとき父は私に「高畠(実家)のことより、自分のことを優先してくれ」と強く言いました。
父が私にそう言うのは痛いほどに分かりました。私が父と同じ立場になったとき、やはり私は娘や息子にそう言うと思います。父の私に対する想いに触れ、でも一方では父が介護の担い手である現状もあり。いろいろな葛藤はありましたが(今もたまにある)、上記②のこともあり「とりあえず自分優先でまあいいか」と思う日が増えました。

一年前と比べて考えるようになったこと


ぼんやりと考えるのは「自分はどう生きたいのか」ということです。
誰しもいつかは命を終える。それは両親もそうだし、私自身も。
両親は、私は、いつどんな風に命を終えるのだろう。そしてその反対側にある「生きる」ということ(もしかしたら反対ではなくすぐ隣にあるのかも)。
私はどう生きていきたいのか。何をしたいのか。
上記②③のとおり、一時期分からなくなったときもありましたが、根底には「私はどう生きようか」が常にあったように思います。

その他、地域の福祉サービスや医療について考えたり、高齢化がさらに進むとどうなるかや介護離職やヤングケアラーやダブルケアについて考えたり、それまで深く考えなかったことを自然と考えるようになったと思います。
キャリアコンサルタントとしても、「キャリアは仕事のことだけを指すではない」ということを自分自身の体験をもって改めて考えましたし、医療福祉職の皆さんの仕事ぶりに触れ、職業理解という意味でも考えることが多々ありました。

そして、これから

今の状況がずっと続くのか、いつまで続くのか、それとも続かないのか。
誰にも分かりません。
さまざまな状況や感情の変化はこれからも確実にあると思いますが、変化を恐れずにいつも変化には柔軟であろうと、そう思っています。


なかなかの長文になってしまいました(自分でびっくり)
最後までお読みいただきありがとうございました!




今年春に介護休業を取った話。アップしてから今もずっと読まれています。ありがとうございます!
(24年4月5月介護休業取得し、6月から仕事復帰しております)


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