凡筆堂

昭和中盤生まれの男です。グラフィックデザインとコピーライティングを生業としてきましたが…

凡筆堂

昭和中盤生まれの男です。グラフィックデザインとコピーライティングを生業としてきましたが、現役をほぼ引退。今後は明るい調子のコラムやエッセイをはじめ、軽い読み物などを発表して行きます。雑文をひとつ。「ナメクジに塩をかけると死んでしまう。やっぱり塩分の摂りすぎはよくないんだな」。

記事一覧

可もあり不可もあり

〔解説〕  「可もなく不可もなし」という言葉がある。「良いところもないが悪いところもなく、平凡である」という意味だ。たとえば「今年の新入社員はみな平凡で、可もな…

凡筆堂
2日前
143

それ、気の遣い方が違うでしょ

 梅雨が明けて暑さが本格化しはじめたころ、地元の夏祭りが行なわれた。私は氏子総代の一人なので式典の運営に携わっていた。  主な神事がすんだ後、四人の氏子総代が手…

凡筆堂
6日前
168

ヘビがまっすぐだったら横に倒れるか

 ずっと前から解けない疑問がいくつもある。  別に珍しい疑問ではないのだが、アシナガバチはなぜあんな見事な六角形が集合した巣を作れるのだろうか。六角形は四角形よ…

凡筆堂
10日前
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隣がなんだ

〔解説〕  人は他人のことが何かと気になるものだ。そして、皮肉なことに他人のほうが良く見えてしまう。  それを言ったことわざが「隣の芝生は青く見える」「隣の花は…

凡筆堂
2週間前
175

よく眠れていますか

 今朝の新聞で、今日9月3日が「睡眠の日」だということを知った。これまでも新聞は読んでいたが初めて目にした(と思う)。いままで新聞が取りあげていなかったのか、単に…

凡筆堂
2週間前
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学校の勉強はできるけど

 友人のM子は幼いときから勉強ができて、頭がいいので同級生からも一目置かれていた。成績はすべての科目で常にトップクラスだった。顔もかわいく、見るからに利発そうで…

凡筆堂
3週間前
263

「愛の虫」は飛びながらエッチ

 今年の夏はどうしてこんなに暑いのだ、と嘆きたくなる日が続いている。今日は曇りでいつもより若干気温が低いと思ったが、湿度は高くて不快さは相変わらずだ。いったいな…

凡筆堂
3週間前
165

冗談がわからない人

 現役時代のある日、私は自分の事務所で、クライアント社の担当者である男性Kさんと雑談をしていた。話のなかで、私は謙遜のつもりで、  「私なんかKさんと違って未熟者…

凡筆堂
1か月前
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所沢航空発祥記念館と飛行機のあれこれ

 お盆の期間でいろいろ混雑する猛暑の一日、親戚の新盆に出かけたついでに「所沢航空発祥記念館」に立ち寄った。  所沢というのは埼玉県所沢市のことで、人気タレント所…

凡筆堂
1か月前
199

先立つものがない

〔解説〕  元になったことわざはよく知られた「先立つものは金」である。何をするにも金が必要であるという意味で、金がなければ何もできないということに皮肉を込め、端…

凡筆堂
1か月前
169

食虫植物はなぜ虫を食う

 昨日9日、新潟県立植物園に行ってきた。日ごろはほとんど目にする機会のない食虫植物を特集していたからだ。  この植物園では、食虫植物のほかにも熱帯に生育するものな…

凡筆堂
1か月前
181

気は置けるかい

〔解説〕  本来の意味とは逆の意味に取られやすい言葉は少なくない。慣用句の「気が置けない」もそのひとつだ。  この言葉の意味は「気遣いや遠慮の必要がなく、気楽に…

凡筆堂
1か月前
166

何に熱中するのだ「熱中症」

 こう毎日暑いとうんざりする。いや、うんざりどころか、熱中症にならないか心配になったりもする。実際、熱中症になって病院の世話になる人が毎年出ているのだ。  私は…

凡筆堂
1か月前
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カラタチの夏

 毎日暑くてうんざりしているが、植物は暑さなんぞはものともせず、元気いっぱいだ。  そんな植物に接していると季節の移ろいがよくわかる。いったいどういう仕組みにな…

凡筆堂
1か月前
168

知らぬはほっとけ

〔解説〕  昔からのことわざ「知らぬが仏」は、「物事の実情を知れば腹が立ったりトラブルが生じたりすることもあるが、知らなければ穏やかな仏のような顔をしていられる…

凡筆堂
1か月前
194

東京ドーム○個分の広さって言われても

 面積や重さなどを表現するとき、何かに例えてみるという方法がある。ゾウと同じくらいの重さとか、大型トラック10台分とか。  広さでは東京ドームがよく引き合いに出さ…

凡筆堂
2か月前
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可もあり不可もあり

可もあり不可もあり

〔解説〕

 「可もなく不可もなし」という言葉がある。「良いところもないが悪いところもなく、平凡である」という意味だ。たとえば「今年の新入社員はみな平凡で、可もなく不可もなしと言ったところだな」などと遣われる。

 もとは孔子が自分の処世の態度について言ったもので、前述の解釈とは意味が若干異なる。
 孔子は「世には清い世捨て人もいるが、自分は彼らとは違って可もなく不可もなしであり、ごく普通の道を行

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それ、気の遣い方が違うでしょ

それ、気の遣い方が違うでしょ

 梅雨が明けて暑さが本格化しはじめたころ、地元の夏祭りが行なわれた。私は氏子総代の一人なので式典の運営に携わっていた。

 主な神事がすんだ後、四人の氏子総代が手分けして、出席者に酒器を配ったり神酒を注いだりしてまわった。
 この儀式は、小さな酒器に注がれた一杯の神酒を飲むだけのことなのだが、飲むという表現が大げさに感じられるほどのわずかな量だ。

 その神酒を飲んだあと、私の隣に座っていた人が「

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ヘビがまっすぐだったら横に倒れるか

ヘビがまっすぐだったら横に倒れるか

 ずっと前から解けない疑問がいくつもある。
 別に珍しい疑問ではないのだが、アシナガバチはなぜあんな見事な六角形が集合した巣を作れるのだろうか。六角形は四角形より角がふたつ増えるだけだが、構造的にはかなり複雑になる。
 しかも、たくさんのハチによる協同作業だ。話し合いなどできないし設計図もない。それなのに、まるで打ち合わせでもしたかのように、見事に作りあげる。ハチの種類によって異なるが、巣は独自の

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隣がなんだ

隣がなんだ

〔解説〕

 人は他人のことが何かと気になるものだ。そして、皮肉なことに他人のほうが良く見えてしまう。
 それを言ったことわざが「隣の芝生は青く見える」「隣の花は赤い」「他人の飯は白い」などだ。これらはいずれも羨望や嫉妬などがねじ曲がって生じたさまざまな欲の姿とも言える。
 自分以外のもの、特に身近な他人の持ち物や状況を、自分のものよりも良く見がちである、という人間の心理を表している。

 対語に

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よく眠れていますか

よく眠れていますか

 今朝の新聞で、今日9月3日が「睡眠の日」だということを知った。これまでも新聞は読んでいたが初めて目にした(と思う)。いままで新聞が取りあげていなかったのか、単に私が見過ごしていただけなのか。

 睡眠の日について調べてみたら、睡眠健康推進機構が日本睡眠学会の協力を得て、睡眠や健康への意識を高めることを目的に制定したということがわかった。
 3月18日を「春の睡眠の日」、9月3日を「秋の睡眠の日」

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学校の勉強はできるけど

学校の勉強はできるけど

 友人のM子は幼いときから勉強ができて、頭がいいので同級生からも一目置かれていた。成績はすべての科目で常にトップクラスだった。顔もかわいく、見るからに利発そうでもあった。
 後に関東某県の堅い業種の会社に就職した。そしてしっかり蓄財し、無事に職位定年を迎えて生まれ故郷へ帰ってきた。独身であったために単身での帰郷だった。

 そして。

 あるとき私は、M子からある講演を聴きに行かないかと誘われた。

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「愛の虫」は飛びながらエッチ

「愛の虫」は飛びながらエッチ

 今年の夏はどうしてこんなに暑いのだ、と嘆きたくなる日が続いている。今日は曇りでいつもより若干気温が低いと思ったが、湿度は高くて不快さは相変わらずだ。いったいなんだってんだ、とやっぱり嘆く。
 
 さて、そろそろ8月も終わりが近づいてきたが、ちょっと遡って7月2日の地元紙「上毛新聞」の記事から話を拾ってみることにした。
 ネタにしようとスクラップブックに貼っておいたが、ほかに書きたいネタがあったた

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冗談がわからない人

冗談がわからない人

 現役時代のある日、私は自分の事務所で、クライアント社の担当者である男性Kさんと雑談をしていた。話のなかで、私は謙遜のつもりで、
 「私なんかKさんと違って未熟者ですから、もっと勉強しないと」
 という意味のことを言った。するとKさんは、
 「そうですよね~」
 とにこやかに返してきた。
 私は〝は?〟と心のなかでつぶやき、あとは二秒間ほど〝……〟だった。普通なら「何をおっしゃいます。謙遜なさって

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所沢航空発祥記念館と飛行機のあれこれ

所沢航空発祥記念館と飛行機のあれこれ

 お盆の期間でいろいろ混雑する猛暑の一日、親戚の新盆に出かけたついでに「所沢航空発祥記念館」に立ち寄った。
 所沢というのは埼玉県所沢市のことで、人気タレント所ジョージ氏の出身地でもある。

 「日本で初めて飛行場ができた場所」がうたい文句の「所沢航空発祥記念館」は、「所沢航空記念公園」という名の広大な県営公園のなかにある。
 この公園は、1911年に開かれた日本初の飛行場跡地に造られたもので、こ

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先立つものがない

先立つものがない

〔解説〕

 元になったことわざはよく知られた「先立つものは金」である。何をするにも金が必要であるという意味で、金がなければ何もできないということに皮肉を込め、端的に表している。

 金がものを言うという意味のことわざには、ほかにも「地獄の沙汰も金次第」がある。悪事を働いた者が地獄へ行くときの沙汰、つまり、地獄の裁きでも、金をつかませれば有利な判決が出るといわれるくらいだから、まして俗世では、すべ

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食虫植物はなぜ虫を食う

食虫植物はなぜ虫を食う

 昨日9日、新潟県立植物園に行ってきた。日ごろはほとんど目にする機会のない食虫植物を特集していたからだ。
 この植物園では、食虫植物のほかにも熱帯に生育するものなど、日常では見ることのできない珍しい植物をたくさん見ることができる。特に子供などにとってはおもしろいだろう。
 まずは植物園の外観など。

 2棟のうち、丸屋根のドーム型の建物のほうは岩や小さな流れなどの人工構造物が組まれている。かわいら

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気は置けるかい

気は置けるかい

〔解説〕

 本来の意味とは逆の意味に取られやすい言葉は少なくない。慣用句の「気が置けない」もそのひとつだ。
 この言葉の意味は「気遣いや遠慮の必要がなく、気楽につきあえる」が正しい。使い方の例としては「キノ子さんはなんでも気楽に話し合える、ほんとに気の置けない先輩なんですよ」というぐあい。

 しかし、実際には逆に解釈され、「気配りや遠慮が必要な関係」「気を許せない間柄」と取られることが多い。

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何に熱中するのだ「熱中症」

何に熱中するのだ「熱中症」

 こう毎日暑いとうんざりする。いや、うんざりどころか、熱中症にならないか心配になったりもする。実際、熱中症になって病院の世話になる人が毎年出ているのだ。
 私は夏になると、素っ裸でラジオ体操に挑んだことを思い出すが、こう暑いとラジオ体操どころではなくなる。

 熱中症は、かつては日射病と呼ばれていた。それが、いつのころからか熱中症に名前を変えてしまった。私はしばしば、「熱中症なんていう名前では何か

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カラタチの夏

カラタチの夏

 毎日暑くてうんざりしているが、植物は暑さなんぞはものともせず、元気いっぱいだ。
 そんな植物に接していると季節の移ろいがよくわかる。いったいどういう仕組みになっているのだろうとしばしば感心しているが、誰に言われるわけでもなく、自分たちの使命を果たすかのように(というか、果たしているのだろう)着実に生長している。

 自宅からは離れた耕地にあるカラタチの木だ。

 ついこのあいだ「カラタチの花が咲

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知らぬはほっとけ

知らぬはほっとけ

〔解説〕

 昔からのことわざ「知らぬが仏」は、「物事の実情を知れば腹が立ったりトラブルが生じたりすることもあるが、知らなければ穏やかな仏のような顔をしていられる」ということを例えたものだ。
 また、「みんなにばかにされているのに、当の本人はそれを知らず、平気でいること」という意味もある。
 類語に「知らぬが仏、見ぬが秘事」「見ぬが仏」「見ぬが秘事」「無いが極楽知らぬが仏」などがある。

 少し横

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東京ドーム○個分の広さって言われても

東京ドーム○個分の広さって言われても

 面積や重さなどを表現するとき、何かに例えてみるという方法がある。ゾウと同じくらいの重さとか、大型トラック10台分とか。
 広さでは東京ドームがよく引き合いに出される。私は長い間これに疑問をもっていて、いまだに悶々としている。ほかにも悶々とすることはいくつもあるのだが、とりあえずこれ、東京ドーム。

 東京ドームは知名度が高いから広さの比較には好都合だ。テレビや新聞などで見たことがある人は多いだろ

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