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栄養療法のクリニックに行って安心したので安室ちゃんのラストツアーに参加したら電車に乗って10分でパニック発作が出たお話
こちらの記事の続き。
栄養療法のクリニックでサプリメントを処方してもらい、飲み始めて4ヶ月くらい経った。
サプリメント代だけで全部で20万近く飛んでいったと思う。
でもこの4ヶ月の間に好きなアーティストのライブがあって、電車で1時間半くらいのところまで、2回くらい行くことができた。
その時の母とのLINEが残っている。
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そしていよいよ、死に物狂いで当てた安室ちゃんのラストツアー、名古屋公演の日がやってきた。
電車と新幹線で妹と一緒に向かう。
サプリメントを飲んでるし糖質も制限してるから大丈夫と安心しきっていた私。
時間がなさすぎてご飯も食べられないまま猛ダッシュでキャリーケースを運びながら電車に飛び乗った。
今思えば空腹でダッシュして脳貧血か低血糖を起こしたのだと分かる。
空腹時や起床時は血中に糖が少ないので低血糖になりやすい。
『ふぅ、間に合ったね〜』
一本でも乗り過ごすと新幹線が行ってしまう。ギリギリセーフだった。
10分くらい経った時、
(あれ…??
やばい。キタ。これはあの″嫌な感じ”の前兆だ。)
なんて思っていたらあっという間に飲み込まれた。
頭の中に黒い海があって、その海に津波が起きた、早く逃げないと飲まれてしまうのにそんな余地もなく当たり前のように波に飲まれる。
(失神しそう。血の気が引いていく…このまま倒れたらどうしよう。どうなっちゃうのかな?降りたい。横になって休みたい。でも降りてしまったらこの切符の新幹線には乗れなくなってまた新幹線のお金を払わないといけない。あぁ、どうしよう、冷や汗も出てきた。鼓動がどんどん速くなる…)
いろんな思考がいっぺんに私を巡って苦しめる。
こんなレインボーカラーの派手な髪型と格好をして、バチバチにメイクもキメてきて田舎のローカル線にはこんな人乗っていない。
かなり目立っていたからそんな私がここで倒れたら恥ずかしい…という意味のわからない自意識過剰な考えまで浮かんできてますます具合が悪くなった。
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妹に言うか言わないか、10分くらい悩んだと思うけど実際は1分くらいだったと思う。
『あのさ、ちょっと倒れそうで気持ち悪いんだよね…』
「えっ!!」
『最悪さ、私お金払うから降りて次の電車でもいい…?』
「それは全然いいよ、大丈夫?」
妹は必死になって私の気を紛らわそうと、息子の可愛い写真とか、ムービーとか、面白い動画を探してくれて見せてくれたけど、こっちは自分のことで精一杯で、どうしたらこれを切り抜けられるのか、倒れないで済むのか、それどころじゃない。
何を見せられても上の空。
そんな親切な行為にさえ、苛立ちを覚える。
頓服薬なんて持っていないし、対処法も知らない。とりあえずこの旅行用に多めに持ってきていたアミノ酸のサプリメントを2つ一気に飲み込んだ。
各駅停車のローカル線の一駅一駅がこんなに長く感じたことはない。
次の駅までだいたい5分しかないはずなのに、30分くらいに感じる。
永遠に電車に乗っていなければならないような、まるで地獄電車。
なんとかローカル線からは降りずに新幹線の乗り場まで来れた。
新幹線ならデッキがあるしトイレにも行けるし大丈夫だろうと思ったが、家からどんどん離れて行くことに不安を覚えた。
何度か“嫌な感じ”がやってきて、その度にトイレで深呼吸した。
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名古屋に着くと、そこは地下だった。
お腹が空いたからうどん屋さんに入ろうということになって、大好物のカレーうどんを注文。
いただきます。
あれ?
地下にいるという不安からなのか、あまり降り立ったことのない土地にいることが不安なのか、何が原因か分からなかったけど“嫌な感じ“はまた私のもとにやってきて、食べることすら邪魔をしてくる。
食事に集中できない。
(名古屋の地下のこんなところで倒れてしまったらどうなってしまうんだろう…)
思考と冷や汗が止まらない。
うどんを食べてかいた汗と冷や汗が混じりなんともいえない気持ちの悪さだ。
あぁ、もう名古屋まで来てしまって具合悪いとか勘弁してくれ。
でも、自力で乗り切るしかないのだ。
高いヒールのブーツを履いていたから足の痛みもあったが、そんなのどうでもよくなるくらい、頭の中は不安でいっぱいだった。
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母の言うことは頭では分かっている。でも、言うことを聞いてくれないのだ。
ピョンピョンするというのは、ジャンプをすることで頭の中を一瞬切り替えるということ。
大好物を少し残してしまい、地上に出た。
地上に出ると不安感が消えたのか、足の痛みが増した。
なんとかツアー会場に到着。
安室ちゃんのパネルと写真を撮るのに大行列。
1時間くらい並んでやっとパネルとパシャリ。
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なんだかんだでいよいよツアーが始まる時間。その頃には不安な気持ちはおさまっていた。
私たちの席の近くに何人も警備員がいたことで、なぜか安心した。
これならライブ中に何かあってもすぐに対処してくれるだろう。
好きな音楽を聴いている時間は楽しくて、電車でのことや”嫌な感じ“のことはスッカリ忘れていた。
楽しんだあとは焼肉だ〜!!!!!!!!
焼肉屋さんに入り肉汁が染みわたるお肉を頬張る。
あれ…????
まただ。
この”嫌な感じ“がいつどこでなにをきっかけにやってくるのかさっぱり分からないが、突然襲ってくる。
焼肉屋さんは特に混んでるわけでもなく、隣に人がいるわけでもない、個室のようなところだ。
また私の食の邪魔をしてくるのか…
一旦頭が不安モードに入るとなかなか抜けられない。
美味しいお肉も、味がしなくなる。
せっかく美味しいお肉を食べてるのに自分の体への感覚だけが過敏になってそれ以外の聴覚や味覚、視覚、嗅覚が機能停止してしまう。
そして、何がきっかけに現実に戻って来れるか、それすら分からないが現実に突然戻される。
不安の渦にワープしてすぐに戻ってくる、そんな感じだ。
美味しいのか美味しくないのか分からないお肉を食べて、ホテルへ向かう。
ここから家に帰るまでは、もう家に帰れるという安心感からなのか、家に近付いているという安心感からなのか、一度も”嫌な感じ“はしなかった。
無事に行って、ライブを楽しんで帰って来れた。
それは嬉しく、楽しい思い出のはずなのに、そんな思い出を覆い隠すように1日に何度も襲ってきた”頭の中の津波“や“不安の渦へのワープ“は私のトラウマへと変わっていった。
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