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小1 映画「ミコとマコ」
小学校一年生のとき、『モスラ対ゴジラ』の映画を見に行った。
姉が見に行きたかったのだが、小岩駅近くに一人で行くのは危ないから妹の私と一緒なら行ってもいいと母が許したのだ。私は途中でおそらく飽きてしまうし、家以外のトイレで用が足せなかったので、あまり行きたくはなかった。
映画館は超満員だった。座る席もなく後ろの方で立ち見だった。ずっと立っているのも辛かったが、怪獣映画は面白かった。映画が終わって帰る人がごった返す中、次の映画が始まろうとしていた。
二本立てだったのだ。昔の映画館は一度入ったら何度でも見れたし、二本立てや三本立てもあった。姉と私はせっかく来たのだから次の映画も見ることにした。
若い男女の話だった。不治の病におかされた女の人ミコと男子大学生マコとの文通から始まり、ミコは病気で顔の半分が溶けてしまい、最後には亡くなってしまう悲しいお話だった。
姉も私も涙をぼろぼろ流しながら最後まで観た。
・・・・・
マコ甘えてばかりでごめんね
ミコはとってもしあわせなの
はかない命と知った日に
意地悪言って泣いたとき
涙をふいてくれたマコ
・・・・・
「いい映画だったね」
「うん・・・」
「みてよかったね」
「うん・・・」
モスラ対ゴジラの映画のことはすっかり頭の中から消えて、帰りはミコとマコの余韻の中で口数も少なく家に帰った。
そのあとも映画のことが頭から離れなかった。
歌と一緒に悲しい場面が思い出される。
映画のタイトルはずっと「ミコとマコ」だと思っていた。
吉永小百合主演の『愛と死を見つめて』という映画だと知ったのは、ずっとあとのことだった。