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オーディオの話(2)

リスニングルームは洋室と和室のどっちがよい?

 洋室と和室のどちらがリスニング・ルームに適しているか。部屋の音響の特質として、洋室は「ライブ」、和室は「デッド」といわれ、一般的にはライブな洋室のほうが好ましいとされます。しかしながら、私はかつて和室をリスニング・ルームとして使っていたことがありますが、和室の音響は決して悪くないと思っています。

 なぜなら、畳や襖などの絶大な吸音効果によって、重心が低く落ち着いた感じの品の良い響きが得られるからです。ディスクには元々ホールの残響なども一緒に録音されているので、殊更にそれを増幅させる必要はないとする意見もありますしね。それは極端にしても、もし部屋がデッドすぎると感じてライブな方向にもっていきたければ、反射板などを用いて割と簡単に調整ができます。

 そんでもって、じゃあ、和室のほうに全面的に軍配を上げるかといえば、実はそうでもないです。あくまで個人的・独善的な好みの意見になりますが、和室は確かに音響的に優れていると感じるものの、部屋自体の雰囲気という点ではどうしても今一つの感が拭えません。まして洋楽の最たるクラシック音楽を和室で聴くのは、どうもしっくり来ない、というか大いに違和感があります。アンプやスピーカーなどオーディオ機器の佇まいとのマッチングという面でも、洋室のほうが似合っていると感じます。やっぱり、雰囲気はとても大事にする性質(たち)ですので。

 ところで、その雰囲気に関しては、部屋の「照明」も極めて大切な要素であり、また、れっきとしたオーディオ・アクセサリーの一つだともいわれます。なぜなら、音楽を聴くときは、照明は暗いほうが感覚を集中できるからです。コンサートホールだって、演奏本番のときは照明を落としますでしょ。さらに、同じ照明でも色の種類によって音の聴こえ方も変わってくるといいます。私たちの脳というCPUは視覚と聴覚を同時処理しているので、暗く感じる色温度のほうがより聴覚を研ぎ澄ますことができるそうです。お奨めは暖色系ですって。暗いオレンジ色なんかいいと思うなー。


布壁は良いですよ

 わが家が築20数年を迎えたところで全面リフォームをいたしまして、それに際して、使わなくなった子供部屋を私の自室兼リスニング・ルームに改装することにしたんです。結婚後30数年にして初めての嬉しいマイ・ルームです。壁と床の内部に防音材を施し、左右の壁には音響板を貼ってもらいました。使用した材料は、オーディオ関係の建材も手掛けている大建工業さん(大阪市)のものです。

 壁の材質については、コーディネーターの方が「ぜひ布壁(ぬのかべ)にしてください」というので、「へー」と思いながらも、天井も含めてそのようにしました。出来上がった実物を見ると、全面に細かな凹凸があります。布というので衣服のような柔らかな素材をイメージしていましたが、けっこう固くカチカチに仕上げられています。

 この壁は予想外に良い効果を発揮してくれました。音の多重反射であるフラッターエコーや、低音が不自然になるブーミングが抑えられ、微細な凹凸が細かく音を乱反射させ、布製でありながら程よい固さゆえに吸音過多とはならず、大げさに言えば、壁が音をきれいに浄化してくれる感じになります。このあたりの感覚は、板張りのキンキン響く部屋とは明らかに異なります。

 はじめはやや懐疑的に思っていた布壁ですが、たいへん気に入りましたので、皆さまもリフォーム等で部屋の壁を変える際には、ぜひ検討なさってみてください。ただし、布の性質上、臭いや汚れを吸収しやすいという欠点があるでしょうから、部屋をきれいに保つよう心掛けなくてはなりません。タバコなど、もってのほかです。


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