9 夏蝶往来木陰はたましいの広場
句集「むずかしい平凡」自解その9。
木陰に涼んでいたら、夏蝶がやってきては去り、またやってきては去り、まるで蝶にたちにとっての広場だなあ、と、そんな風に感じていたら思わずこんな句になりました。
といっても、少しは推敲して練り上げましたけど。
「たましい」と言ったのは、なにかそこに単なる偶然ではなものを感じたからそんな言い方になったと思うのですが、直接的には、俳句の師、人生の師、金子兜太先生を失って、ちょっと寂しく思っていたところだったせいもありますね。なにか、金子先生のたましいが往来していたような感覚があったのかもしれません。
ただ、それは作者の個人的な感慨。読者は自由にいろいろ感じてもらってかまいません。
アゲハ蝶、クロアゲハだけでなく、アサギマダラなんかもなにかこちらの思いをそそるものがあります。
以前、西表島に行ったとき、オオゴマダラやカバマダラなどの南国の蝶におどろいたこともあります。
現実でいながら、現実から遊離するような夏の蝶。
きっと時間から自由なんだろうな。