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11 麦秋や空が彼女の遺書でした

 句集「むずかしい平凡」自解その11。

 麦秋とも、麦の秋とも言いますね。

 六月ごろに麦が実ってくると、枯れた茶色になってくる。季節は夏だけれど、なにか秋の色のような雰囲気。季語の面白さですね。

 麦秋のころの青空が、気持ちいいいような、そして少し物悲しいような、そんな印象で、いつも胸がかるく締め付けられるような感覚があります。

 「空が彼女の遺書でした」のフレーズを具体的には言いたくないです。読者に想像してほしい。残されたのは、麦秋のころの空だけだったということ。それだけ。たまにはこういう突き放した句と解説も許してください。

 麦秋の写真を検索したら、実際の麦秋以外に、小津安二郎の映画「麦秋」関連のスケッチがたくさん出てきて、くすっと笑ってしまいました。季語の麦秋より、映画の麦秋のほうが有名なんですね。

 note では、「#俳句」はまだまだマイナーなようです。いや、実際の社会でもそうですけれどね。

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